「アートウィーク東京」開幕! 建築家の伊東加恵がデザインした2026年のAWT BARをレポート - TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
「アートウィーク東京」開幕! 建築家の伊東加恵がデザインした2026年のAWT BARをレポート

「アートウィーク東京」開幕! 建築家の伊東加恵がデザインした2026年のAWT BARをレポート

現代アートの創造性と多様性を国内外に発信するアートの祭典「アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: 以下、AWTと略)」*1.概要は後述が11⽉4⽇から5日間の日程で開催されます。

新進シェフによるオリジナルフードと、3名のアーティスト考案のコラボレーションカクテルが用意され、南青山の住宅地にオープンするポップアップバー「AWT BAR」の空間デザインを、今年は建築家の伊東加恵氏が担当しています*2.概要は後述。

『TECTURE MAG』では、AWT開幕前日に行われたプレス内覧会を取材、伊東氏に取材しました。本稿ではについてレポートします。

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)BAR〈KURU KURU〉

伊東加恵による2026年のAWT BAR〈KURU KURU〉 © Office Itokae

伊東氏による「AWT BAR」のテーマは”KURU KURU”

伊東氏は妹島和世建築設計事務所およびSANAAに10年在籍したのち、2025年に独立した新進の建築家です。

ポップアップバー「AWT BAR」の会場には、事前のプレスリリースで公開されていたオブジェが展開されています。黄、緑、ピンク、ブルーの4色と透明のアクリルの天板に、ステンレス製の円弧からなるモジュールを組み合わせたもので、構造は同じ。手で簡単にステンレスを開閉できるように設計されており、多様に形状を変え、用途を変え、今回のようなスツールやテーブルに、あるいはオブジェとなって、5日間限りのバー空間を創出しています。

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

AWT BAR 2026〈KURU KURU〉Photo: TEAM TECTURE MAG
場内の音楽はKankyō Records(カンキョー・レコーズ)のH.Takahashi氏、2カ所のモニターで流れる映像はアーティストのナイル・ケティング(Nile Koetting)氏がそれぞれ〈KURU KURU〉の空間にあわせて制作した

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

AWT BAR 2026〈KURU KURU〉Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

Photo: TEAM TECTURE MAG

「できるだけシンプルなユニットの集まりで、新しい風景をつくり出したいと最初に考えました。今回はバーとしての展開ですが、別の場所ではまた違った用途になったり、使う人が自由に楽しんで使えるようにしたかった。かつ、今回のポップアップが終わったら、折りたたんで、次の場所に移動し、また開かれて、転々とさまざまなところに展開し続けられるように考えました」(伊東氏談)

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

伊東氏によるオブジェの組み立て実演 Photo: TEAM TECTURE MAG

 

“KURU KURU” デザインコンセプト & 設計者プロフィール

アートウィーク東京(AWT)2026 ポップアップバー「AWT BAR」イメージ

AWT BAR 2026 イメージ ©️Office Itokae

アートウィーク東京(AWT)2026 ポップアップバー「AWT BAR」イメージ

AWT BAR 2026 イメージ ©️Office Itokae

「AWT BAR」は、AWTの情報を発信する拠点であり、ラウンジバーとして人が集まりくつろぐ場所です。似ていながらも少しずつ違うものが集まり、互いに関係し合うことで空間が生まれることをイメージしました。
空間を構成するのは、シンプルなステンレス製の12個の円弧からなるモジュールです。開いたり閉じたりすることで、座る場所になったり、物を置く台になったり、時にはただのオブジェになったりと、さまざまな形や役割が生まれ、それらが集まることで、この場所、この時間だけの風景がつくり出されます。今回はその集まりが「バー」という姿をとっています。別の場所、別の時間、別の環境では同じモジュールが異なる関係を生み、また新しい状態へと変化していくことを予感させます。

伊東加恵(いとう かえ):建築家。SANAAおよび妹島和世建築設計事務所に在籍中(2014-2025)、犬島プロジェクト(岡山)、2025年日本国際博覧会(大阪)のほか、展覧会などさまざまなプロジェクトを担当。2025年に独立し、オフィス伊東加恵主宰を設立、同主宰。国内外で建築・インテリアプロジェクトが進行中。

伊東加恵 近影

伊東加恵氏 近影 ©︎Office Itokae

 

「私が10年ほど在籍した妹島さんの事務所では、さまざまなプロジェクトが常に動いていて、小さなプロダクトから大きな建物までいろんなスケールのものを扱っています。そこでの経験は今につながっていると思います。今回のプロジェクトでは、モンゴルでの体験が1つ、着想のもとになっています。遊牧民の人々の住まいであるゲル(あるいはパオ)は、人力で組み立られる移動式住居として知られていますが、彼らは革紐などを留め具にしてあっという間に構造物つくってしまう。その建て方を目にして、新鮮な印象を受けました。『こんな自由でいいんだ』と。そんなシンプルなやり方で、かたちをつくって、バリエーション展開もできて、風景もつくれる、そういうモジュールをデザインしてつくったのが〈KURU KURU〉です」(伊東氏に取材、談話を要約)

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

AWT BAR 2026〈KURU KURU〉では最大サイズとなるカウンターテーブル Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

アーティストカクテルに関する情報も映像で流れるナイル・ケティング氏の作品のタイトル〈hangover〉は、ここがアルコールを楽しめるバー空間〈KURU KURU〉であることから。「背景のお酒が焦点があったりふわっとぼやけ、そこに可愛いアニメーションがうかびあがる、ナイルさんの作品もぜひ楽しんでいってください」(伊東氏談)

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

壁のアートワーク Photo: TEAM TECTURE MAG
オブジェで使った透明アクリル球の余り材を活用して制作、染色は伊東氏によるもの

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

手前のオブジェ:緑の天板の中に果物サンプルが入っている Photo: TEAM TECTURE MAG
「今回のプロジェクトは準備期間が短かったこともあり、モジュールのサイズは大中小の3種類に絞り、色はスケジュール内で入手可能だったアクリル板の中から、まず明るい印象の黄色、そして木々に囲まれた立地から緑を選び、配色しました」(伊東氏談)

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

アーティストカクテルとフードは、銀色の仮設壁の奥で用意され、3カ所の窓口から供される Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

5mm幅のアルミシールで描かれた床の模様は弧を描いて外の空間へと広がっていく Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

AWT BAR〈KURU KURU〉エントランス付近(プレス内覧会後に描画は追補されている) Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

Photo: TEAM TECTURE MAG

アートウィーク東京(ART WEEK TOKYO: AWT)POP-UP BAR〈KURU KURU〉

AWT BAR 2026〈KURU KURU〉エントランス Photo: TEAM TECTURE MAG
通常の地図アプリの推奨ルートでは辿り着けないこともある、北西側の路地を入った奥に位置する



*.アートウィーク東京(AWT)概要:世界最⾼峰の近現代美術のアートフェア、アートバーゼル(Art Basel)と提携して開催される。メイン会場を持たない分散型イベントに、今年は過去最多となる56の美術館・ギャラリーが参加。都内各所でそれぞれに開催される展覧会をつなぐシャトルバスが6日から最終日まで無料で運行されるほか、国内外のキュレーターや研究者らによるトークセッションなど多彩に展開。今年で5回目。「AWT2026」の詳細は公式ウェブサイト・SNSを参照

*2.〈AWT BAR〉設計者の選定は、AWT BARアドバイザーを務める建築家の妹島和世氏が昨年に引き続いて担当

「アートウィーク東京」AWT BAR

オープン期間:2026年11⽉4⽇(水)〜8⽇(⽇)10:00–22:30(ラストオーダー22:00)
所在地:東京都港区南⻘⼭5-4-30 emergence aoyama complex(Google Map)
入場料:無料(ただし、フード&ドリンクは有料)

AWT BAR 2026 カクテル&フード

「AWT BAR 2026」出展アーティスト3氏によるカクテルと、南青山[LA&LE] シェフによるフード
カクテル:左から、森 万里子〈All That Shines – 燦燦〉、須田悦弘〈パートタイムジョブ〉、青柳菜摘に〈田舎暮らしの5人の石鹸〉※一部、ノンコールドリンクあり / フード:りんごのタタン風サブレ(左側)、鴨のリエットとパンデピスのガトー仕立て(右側)

AWT BAR 詳細ページ
https://www.artweektokyo.com/bar/

アートウィーク東京(AWT)2026

「アートウィーク東京(AWT)」

会期:2026年11⽉4⽇(水)〜8⽇(⽇)
開場時間:会場により異なる
会場:都内の参加美術館・ギャラリー、AWT FOCUS、AWT BAR ほか各プログラム会場
主催:⼀般社団法⼈コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル(Art Basel)
特別協⼒:⽂化庁

アートウィーク東京(AWT)ウェブサイト
https://www.artweektokyo.com/

SNS @artweektokyo
https://x.com/artweektokyo
https://www.instagram.com/artweektokyo
https://www.facebook.com/artweektokyo