日本財団が中心となり、東京・渋谷区内で進められている「THE TOKYO TOILET」プロジェクト[*]における最新のトイレ(裏参道公衆トイレ)が、千駄ヶ⾕4丁目に設置されました。2023年1月20日の午後から供用を開始しています。
立地は、北参道交差点近く、首都高速道路4号新宿線の高架下。
『TECTURE MAG』では、前回に引き続き、供用開始前のメディア内覧会を取材しました(特記なき写真を除き、撮影は『TECTURE MAG』編集部)。
トイレのデザインを担当したのは、オーストラリア出身で現在はロンドンを拠点とする工業デザイナーのマーク・ニューソン氏。
日本財団によれば、常設となる建築物を手掛けるのは今回が初めてとのこと。
マーク・ニューソン(Marc Newson)氏 プロフィール
プロダクトデザイナー・インダストリアルデザイナー
1963年オーストラリア・シドニー生まれ。現在はロンドンに在住し、スタジオ・Marc Newson Ltdを構える。日用品からジェット機までジャンルを超えた幅広い分野で活躍中。代表作に2014年〈Apple Watch〉のデザインなどがあり、クライアントとして、アップル(Apple)のほか、エルメス(Hermès)、ナイキ(NIKE)などともコラボレーションし。手がけた作品は世界各国の主要なデザインミュージアムがコレクション。2005年にはタイム誌の「世界で最も重要な100人」に選出されている。
Marc Newson Ltd
https://marc-newson.com/
デザインコンセプト
私のデザインは、銅製の「蓑甲(みのこ)屋根」をはじめとする日本の伝統的な建築の引用が中心となっています。トイレが賑やかで超近代的な場所にあっても、神社仏閣や茶室、農村部などによく見られるこの屋根のかたちが、潜在的に心地よさや安らぎを感じさせるものにしたいと思いました。銅のピラミッド型屋根の緑青は、時とともにこの建築物を街に溶け込ませ、東京を織りなす構造の一部となることでしょう。
屋根の銅が緑青をふいたとき、内部の淡いグリーンと相まっての姿が楽しみに待たれる公衆トイレです。
マーク・ニューソン氏 コメント:
「私にとって、このトイレは内からも外からも信頼でき、誠実さが感じられるデザインであることが重要です。明るい内装は、私の好きな色であるグリーンの単色でシームレスかつ衛生的に仕上げられています。このトイレのデザインでは機能性、シンプルさ、そして心地よく永続的な空間であることに重点を置いています。渋谷にたくさん存在する隠れた名所のように、このトイレが魅力的でとても便利な存在になることを願っています。」
クリエイター:マーク・ニューソン(Marc Newson)
ピクトサインデザイン:佐藤可士和(SAMURAI)
設計・施工:大和ハウス工業
レイアウト協力:TOTO
所在地:渋⾕区千駄ヶ⾕4丁目28-1
床面積(全体):35.62m²(ユニバーサルブース:4.90m² / 男性用トイレ:15.53m² / 女性用トイレ:12.34m² / 共有部:2/84m²)
供用開始:2023年1月20日(金)午後より
日本財団プレスリリース(2023年1月20日)
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2023/20230120-84298.html
*.「THE TOKYO TOILET」プロジェクト:東京・渋谷区内にある17カ所のトイレを、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に利用できる公共トイレに生まれ変わらせるプロジェクト。2023年1月20時点で14のトイレが完成。2023年3月末までに予定の17カ所全てで供用開始を目指して進行中。渋谷区では、男女平等およびLGBTへの対応など、多様性を尊重する社会を推進するための取り組みを行なっており、本プロジェクトへの協力もその1つ。
日本財団「THE TOKYO TOILET」プロジェクト特設サイト
https://tokyotoilet.jp/