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前川國男建築「東京海上ビル」が来秋解体

レンゾ・ピアノと三菱地所設計が新・本店ビルの設計を担当

BUSINESS2021.10.03

東京海上ホールディングスおよび東京海上日動火災保険は、大手町2丁目に今夏竣工した常盤橋タワーへの本店移転計画に伴い、今年3月に建て替えることを発表していた〈東京海上日動ビル・本館〉について、設計コンセプトと、それらを実現する設計者として、イタリアを代表する建築家の1人であるレンゾ・ピアノ(Renzo Piano|1937-)氏が主宰する建築設計事務所・Renzo Piano Building Workshop(RPBW)と、三菱地所設計の2社に決定したことを発表しました(2021年9月30日プレスリリース)

同ビルは、建築家の前川國男(1905-1986)の設計として知られ、1974年(昭和49)に「東京海上ビルディング」として竣工。皇居を望む立地における景観のあり方を巡り、計画段階から「美観論争」が巻き起こった建物として、日本の建築史上に記される前川建築です。

東京海上日動ビル(設計:前川國男)遠景

東京駅前からの東京海上日動ビルの眺め(2021年撮影)

現名称:東京海上日動ビル・本館
所在地:東京都千代田区丸の内1丁目2番1号(Google Map
設計:前川國男建築設計事務所
竣工:1974年

東京海上日動ビル(設計:前川國男)外観

東京海上日動ビル(設計:前川國男)外観

東京海上ホールディングスでは、災害対応力や環境性能などを一段と強化するとともに、新しい働き方にも柔軟に対応していく観点から、本館と新館を一体で建て替えることを決定して今春に公表、その後の動向が注目されていました[*]
*.2021年9月には、豊田啓介、蔡佳萱、酒井康介の3氏が共同主宰するnoiz(ノイズ)がビルを解体しない保存改修案を自主的に発表している

建て替えに伴い、東京海上ホールディングスでは、ビルの歴史的価値を明らかにし、後世に伝えるために、有識者の協力を得ながら、記録調査と継承方法の検討を行う予定です。

建て替えられる新・本店ビルのビジュアルは、現時点で未発表。ビジネス・歴史・文化が共存する街「丸の内」の美しい街並みに調和し、日本の玄関口である東京駅と、緑豊かな皇居外苑を結ぶシンボリックな場所に相応しい、洗練された気品のあるデザインを目指すとのこと。
主なコンセプトは次の通りです。

1.最高レベルの災害対応力
2.国産木材の積極的な利用
3.最高レベルの環境性能の追求
4.新しい働き方や多様なニーズに対応できる柔軟性

国内林業への支援と、CO2(二酸化炭素)を都市に貯蔵する観点などから、柱や床などの構造材を含め、過去に例のないレベルで、国産木材を利用し、世界最大規模の木造ハイブリッド構造による超高層オフィスビルを建設します。
屋上などは大規模に緑化し、生物多様性の保全と、ヒートアイランド現象の緩和を図ります。電力は、100%再生可能エネルギーの導入を目指すなど、東京海上グループのサステナビリティ戦略に則ったビルとなる見込みです。

今後のスケジュールは、2022年10月に解体を着工、2028年度に新・本店ビルが竣工する予定です。(en)

新・本店ビル 計画概要
建物所有者:東京海上日動
主要用途:事務所(本店ビル)、駐車場等
規模:地下3階+地上19階
建物高さ:約100m
敷地面積 約10,147m²
延床面積:約125,000m²

東京海上ホールディングスプレスリリース(2021年9月30日)
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/210930_01.pdf

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