芝浦工大に坂茂設計"紙の建築"が登場

坂茂建築設計が設計したカフェとレストランが、芝浦工業大学の豊洲キャンパス内にオープンした。同大学の新たな本部棟の1階に配置され、「キャンパスとまちをつなぐ」というコンセプトのもと、両店ともに誰でも自由に利用できる、まちに対して開かれたデザインとなっている。

芝浦工業大学の豊洲キャンパスに、建築家の坂 茂氏（坂茂建築設計）が設計したカフェ〈SIT Global Caffe empowered by Segafredo〉とレストラン〈銀座シシリア豊洲店〉が9月21日にオープンしました。

立地は、芝浦工業大学創立100周年記念事業の一環として、設計監修を堀越英嗣氏（同大学名誉教授）、日建設計が設計して建設され、今年4月に竣工している、新たな本部棟（Centennial Main Building）の1階。

「キャンパスとまちをつなぐ」という本部棟の設計コンセプトのもと、坂氏が設計したカフェとレストランは、3層吹き抜けのピロティ空間1階にを配置され、学生以外の一般の利用も可能。キャンパスの中心となる場所にまちの賑わいを創出するとともに、学生と地域住民双方の憩いの場となることが期待されています。

芝浦工業大学豊洲キャンパス内 レストラン〈銀座シシリア豊洲店〉内観
（芝浦工業大学ニュース 2022年9月20日「豊洲キャンパス完成お披露目会を開催」より）

〈銀座シシリア豊洲店〉設計コンセプト
店内は、坂氏がこれまでにも展開している”紙の建築”（紙管による建築の主体構造）で構成されています。再生紙を使った丸と四角の紙管も材として、天井、間仕切り壁、家具などがつくられました。
外周のガラスシャッターを開くと、内外の空間が連続し、ピロティ空間全体が人々の憩いの場となります。

〈SIT Global Caffe empowered by Segafredo〉設計コンセプト
今回のプロジェクトのために、坂茂建築設計では、白ブナ材をL字型断面に成型した合板を新たに開発。天井、間仕切り壁、家具を製作しています。”紙の建築”と同様に、スタイルとしてのデザインでなく、素材と構造から開発することにより、独自のデザインをつくりあげる試みです。

〈SIT Global Caffe empowered by Segafredo〉内観 （セガフレード・ザネッティ・ジャパン 2022年9月20日プレスリリースより）

カフェを運営するのは、セガフレード・ザネッティ・ジャパン。同社のプレスリリースによれば、大学キャンパス内への出店は今回が初めて。
レストラン〈銀座シシリア豊洲店〉との行き来は自由とし、屋外にも多くの席を設けることで、内と外との境界線を取り去った、フードコート的な新コンセプトの店舗となっています。

坂 茂氏 近影

坂 茂氏 プロフィール
東京生まれ。1985年坂茂建築設計を設立。1995年災害支援活動団体 ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク（VAN）設立。紙管を使った災害時の復興住宅などで知られる。
主な作品に〈大分県立美術館〉〈静岡県富士山世界遺産センター〉〈ラ・セーヌ・ミュージカル〉などがある。
主な受賞に、プリツカー建築賞（2014年）、フランス芸術文化勲章コマンドゥール（2014年）、マザー・テレサ社会正義賞（2017年）、紫綬褒章（2017年）など多数。慶應義塾大学環境情報学部教授。

レストラン・カフェ 施設概要

利用対象：学生および一般にも公開
所在地：芝浦工業大学豊洲キャンパス 本部棟1階（Google Map）
営業時間・休業日：以下の通り

レストラン〈銀座シシリア豊洲店〉

営業時間：平日 11:00-21:00 / 土曜 11:00-20:00
休業日：日曜・祝日、夏季休業日、年末年始（12月30日〜1月3日）
銀座シシリア豊洲店インスタグラム
https://www.instagram.com/sicilia_toyosu/

カフェ〈SIT Global Caffe empowered by Segafredo〉

営業時間：平日 8:00-20:00 / 土日曜・祝日 9:00-20:00
休業日：夏季休業日、年末年始（12月30日〜1月3日）
Segafredo（セガフレード）ウェブサイト
https://www.segafredo.jp/

芝浦工業大学プレスリリース
「建築家 坂 茂氏の設計によるカフェ、レストランが豊洲キャンパスに9月21日オープン」（2022年9月20日）
https://www.atpress.ne.jp/news/326528

芝浦工業大学（豊洲キャンパス）本部棟外観

今春竣工した新校舎（新棟）は、ファサードに、風洞実験や振動解析を行ったアルミルーバーを採用しています。豊洲の街区に面したこのファサードは、上層になるほど広がっていき、未来への発展と成長を表現したデザインとなっています。

建物内は、坂氏が設計した1階の飲食店舗のほか、地下1階に体育館とアスレチックジム、2階から14階までの各フロアに、事務室、学生ラウンジ、教室などが配置されてます。

〈芝浦工業大学 本部棟〉施設概要

名称：本部棟（Centennial Main Building）
各階用途（2022年4月発表時の予定）：
・B1F：体育館、アスレチックジム
・1F：カフェ、レストラン
・2F：事務室
・3F-4F：教室、アクティブラーニング教室、事務室、学生ラウンジ
・5F-14F：研究室、オープンラボ、収録スタジオ、産学連携ラボ、法人部局など
敷地面積：30,000.26m²
構造：鉄骨造（地下：鉄骨鉄筋コンクリート造、地上：鉄骨造）
階数：地上14階＋地下1階
延床面積：44,493.00m²
建築面積：4,430.00m²
建築主：学校法人芝浦工業大学
設計監修：堀越英嗣（芝浦工業大学名誉教授）
設計・監理：日建設計
施工：鹿島建設

所在地：東京都江東区豊洲3-7-5（Google Map）
豊洲キャンパスマップ
https://www.shibaura-it.ac.jp/access/toyosu.html

芝浦工業大学プレスリリース
「芝浦工業大学 豊洲キャンパスに新校舎が竣工」（2022年4月21日）
https://www.shibaura-it.ac.jp/news/nid00002307.html