CULTURE

大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉概要

大阪ガスが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」を採用して夏季の空調負荷を抑制

CULTURE2023.03.25

2025年4月に大阪市内で開催される日本国際博覧会(2025年大阪・関西万博)の続報です。

一般社団法人日本ガス協会が主体となり出展する〈ガスパビリオン〉の名称、建築デザイン、コンセプトなどが明らかになりました。同協会およびパビリオンを構成する膜材料を製造する企業が3月23日にプレスリリースを発信しています(本稿1枚目イメージパース:日本ガス協会・SPACECOOLプレスリリースより)。

パビリオン名称は「ガスパビリオン おばけワンダーランド」。コンセプト「化けろ、未来!」。パビリオンの鏡面膜材に、大阪ガスが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」が採用されているのが特徴です。

大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉イメージ

〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉イメージ(日本ガス協会プレスリリースより)

コンセプト「化けろ、未来!」に込められたメッセージ

私たち1人ひとりが、大切な人のため、地球のために、意識や行動を大きく変える(化ける)ことで、やがて、社会が、世界が、希望に満ちた姿に変わっていく(化ける)。

日本にガスの明かりが灯ってから150年あまり。ガス業界は、原料を石炭や石油からより環境にやさしい天然ガスに転換し、省エネルギーに資する技術開発などにより、低炭素化に貢献してきました。
そして現在、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、さらなる進化、つまり「化ける」ことが必要と考えます。その取り組みの1つが、地球温 暖化の一因とされる二酸化炭素(以下、CO2)をリサイクルし、e-methane(e-メタン)[*1]という新しいエネルギー(都市ガス)に変える技術の開発。CO2が増えずに循環し、未来のエネルギーに化けることで、地球温暖化の抑制に貢献します。

未来に向かって化けるのは、エネルギーだけではありません。
ガスパビリオンで、「化けろ、未来!」を合言葉に、いのち輝く未来社会への始めの一歩を踏み出しましょう。

(日本ガス協会プレスリリースより)

*1.グリーン水素等の非化石エネルギー源とCO2を原料とし、メタネーションによって製造された合成メタンに対して用いる呼称

大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉

大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉建設予定地

ガスパビリオンのコンセプトワードの1つである「化ける」を象徴するキャラクターとして「おばけ」を採用。「おばけ」たちの不思議な世界”おばけワンダーランド”を展開します。
「おばけ」たちと一緒に、未来に化けるドキドキ・ワクワクな体験を提供。 未来を担う子どもたちの記憶に残り、豊かな心を育む原体験となる来場者参加型エンターテインメントパビリオンを目指すとのこと(パビリオンでの展示内容の詳細は、仔細がまとまり次第、追って発表予定)。

建築デザイン「化ける、建築」

鏡面の膜に覆われた建物に風景が映り込み、天候、時間帯、見る位置によって、さまざまな表情に変化する(化ける)ことで、外の世界と建物との境界を曖昧にし、不思議な世界に誘います。
空に向かって高くそびえる大胆な三角形は、希望ある未来に通じるエントランスとなり、奥行きの深い敷地に大きな演出空間を生み出します。
夜間はライトアップにより、温かさの象徴であり、ガス業界の未来への挑戦でもある「カーボンニュートラルな火」を演出します。
また、建物部材を最大限削減(Reduce:リデュース)したうえで、膜材などは再使用(Reuse:リユース)される予定です。そのほかの部材でも再生利用(Recycle:リサイクル)を行うなど「3R」に取り組み、万博終了後にも「化ける、 建築」となることを目指します。

大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉

〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉イメージパース:日本ガス協会・SPACECOOLプレスリリースより

パビリオンの膜材には、放射冷却素材「SPACECOOL」[*2]を採用しているのも特徴です。この新素材を外膜とした建築とすることで、パビリオンの空調負荷を軽減し、二酸化炭素の排出量を抑制する低炭素化を図ります。
「大阪・関西万博」のコンセプトである「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」として、Society5.0を実現するパビリオンとなる見込みです。

*2.大阪ガスが開発した高性能、高耐久の光学フィルム(詳細は下記)

放射冷却素材「SPACECOOL」概要

大阪ガスが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」は、太陽光の入熱を抑え、熱放射による出熱(熱せられた物体の熱が電磁波・光として運ばれる現象)を大きくした材料設計により実現した新素材です(製造元:SPACECOOL株式会社)。

太陽光および外気からの熱を遮断して熱吸収を抑えるだけでなく、大阪ガス独自の放射冷却技術により、宇宙に熱を逃がすことで、ゼロ・エネルギーで、外気温よりも内部の温度を下げることが可能。
大阪ガスエネルギー技術研究所にて、1.SPACECOOLを活用したテント、2.普通テント、3.他社製遮熱テントの3つで比較検証を実施(下の画)。2の普通テントと比較して、夏季における空調負荷を約40%削減できるデータを得ているとのこと。

放射冷却素材「SPACECOOL」

​SPACECOOL 2023年3月23日プレスリリースより

放射冷却素材「SPACECOOL」イメージ

放射冷却素材「SPACECOOL」イメージ(​SPACECOOL 2023年3月23日プレスリリースより)

大阪ガス プレスリリース(2023年3月23日)
https://www.osakagas.co.jp/topics/1720627_14522.html

​SPACECOOL プレスリリース(2023年3月23日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000078861.html

※本稿は2023年3月23日発表のプレスリリースをもとに作成、今後変更される可能性あり

【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン TECTURE NEWS LETTER

今すぐ登録!▶

2025年大阪・関西万博 まとめ記事

FEATURE2022.07.18

「2025年大阪・関西万博」カウントダウン!

注目のパビリオンなど建築・デザインの最新情報まとめ、随時更新

2025年大阪・関西万博 民間パビリオン

CULTURE2022.07.18

永山祐子氏がパナソニックのパビリオン「ノモの国」を設計

2025年大阪・関西万博 民間パビリオン ニュース
CULTURE2023.01.20

板坂諭設計、パソナのパビリオンは「心臓(いのち)の螺旋 ~アンモナイトからiPS心臓(いのち)まで~」がテーマ

「2025年大阪・関西万博」民間パビリオン
CULTURE2023.03.09

リード アーキテクトは永山祐子氏、ドバイ万博日本館で手がけたファサード資材をリユース・再構築するサステナブル建築

2025年大阪・関西万博〈ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier〉概要
CULTURE2023.08.26

坂茂建築設計、紙・竹・炭素繊維を用いた“廃棄物ゼロ建築”で海洋問題を啓発

大阪・関西万博 民間パビリオン〈ブルーオーシャンドーム〉概要
CULTURE2023.10.19

高松伸が民間パビリオンを設計、細尾の西陣織を纏った外装に

飯田グループHDと大阪公立大学が2025年大阪・関西万博出展概要を発表

2025年大阪・関西万博 TOPICS

CULTURE2020.07.13

藤本壮介氏が「大阪・関西万博」会場デザインプロデューサーに就任

各テーマ事業のプロデューサーは福岡伸一、落合陽一ら8名を発表 Sou Fujimoto ©David Vintiner
COMPETITION & EVENT2020.12.25

2025年「大阪・関西万博」マスタープラン発表

会場デザインプロデューサーを務める藤本壮介氏によるデザイン
COMPETITION & EVENT2021.07.31

【審査結果】大阪・関西万博が迎賓館・大催事場・小催事場の各設計者を公募

審査を藤本壮介、妹島和世、佐藤可士和が担当 / 日建設計 大阪オフィス、伊東豊雄建築設計事務所、安井・平田設計共同企業体が最優秀に
CULTURE2021.12.24

落合陽一「いのちを磨く」パビリオンの製作チームが法人設立

大阪・関西万博へ向け、noiz architects、WOWらが参画する(一社)計算機と自然
CULTURE2022.07.13

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)ニュース

藤本壮介がデザインした大屋根(リング)の最新パースと万博会場内配置図を公開

RECOMMENDED ARTICLE

  • TOP
  • CULTURE
  • ARCHITECTURE
  • 大阪・関西万博〈ガスパビリオン おばけワンダーランド〉概要発表、大阪ガスが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」を採用して夏季の空調負荷を抑制
【購読無料】空間デザインの今がわかるメールマガジン
お問い合わせ