東京・上野にある国立西洋美術館は、1959年(昭和34年)に開館し、美術館としては東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇ります。
創建当初から使用されている本館は、20世紀を代表する建築家の1人であるル・コルビュジエ(Le Corbusier|1887-1965)が設計を手がけた[*1]日本で唯一のコルビュジエ建築作品です。2007年に国の重要文化財に指定、2016年にはユネスコが認定する世界遺産[*2]にも登録されています。
本館の世界遺産登録は、三度目の申請で実現したものでした。登録に際し、1959年以降に行われた美術館の改装・改修工事によって、本館の前庭が創建当初の状態から改変され、コルビュジエが意図した広場空間など、創建時のデザインの一部が失われているという指摘を受けており、これを是正する必要がありました。国立西洋美術館では、2020(令和2)年10月から長期休館に入り、必要な耐震補強などの大規模改修のほか、創建当初の姿に可能な限り戻すための整備・リニューアルを実施しています。
この長期休館中の美術館の様子に密着したドキュメンタリー映画『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』が、7月15日に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで封切られます(以降、全国の映画館で順次公開予定)。
撮影期間は、2020年10月の休館から2022年4月にリニューアルオープンするまでの1年半におよび、美術館の知られざる舞台裏に迫るとともに、国立西洋美術館の「ほんとうの姿」を浮かび上がらせます。
「わたしたちの国立西洋美術館」というタイトルには、松方コレクションから始まる長い歴史をもつ国立西洋美術館が日本の美術鑑賞の環境にいかに大きな役割を果たしてきたのかを知った上で、日本の美術館・博物館の課題と将来像について考えていただきたい、という気持ちが込められています。また「奇跡のコレクション」が意味するのは、実業家の松方幸次郎が収集した作品に限らず、あらゆる美術作品が安全に保管され時に展示される背景に存在する、美術に関わる人々の不断の努力への謝辞です。(映画公式サイト / 大墻 敦監督デイレクターズ・ノート テキストより)
映画『わたしたちの国立西洋美術館』予告編(ナレーション:井浦 新)(2023/06/19)
製作・監督・撮影・録音・編集:大墻 敦
録音・照明:折笠慶輔
録音:梶浦竜司
カラーグレーディング:堀井威久麿
音楽:西田幸士郎
演奏:閑喜弦介(クラシックギター)、多久潤一朗(アルトフルート)
音楽録音・リレコーディング:深田 晃
技術協力:KIN 大石洋平 宮澤廣行
協力:国立西洋美術館
配給・宣伝:マジックアワー
本編上映時間:105分
映画『わたしたちの国立西洋美術館』公式ウェブサイト
https://www.seibi-movie.com/
映画 公式SNS
https://twitter.com/seibimovie
※封切館のシアター・イメージフォーラムでは、7月15日から20日までの間、関係者らが登壇するトークショーが開催される
https://www.imageforum.co.jp/theatre/news/6573/
*1.設計:ル・コルビュジエ / 監理:坂倉準三、前川國男、吉阪隆正、文部省管理局教育施設部工営課(当時名称)
*2.「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の構成資産のひとつとして、2016年に本館が登録されている
国立西洋美術館「美術館の建築」
https://www.nmwa.go.jp/jp/about/building.html