CULTURE

安藤忠雄が設計する新美術館が直島に2025年春開館予定

アジアの現代アートを中心に展示・収集。ベネッセアートサイト直島の美術館群を形成し、諸施設を結ぶ新拠点に

CULTURE2023.09.05

国内外にその名が知られる「ベネッセアートサイト直島」[*1]を展開する公益財団法人福武財団(香川県・直島)は、香川県・直島町に、新たな美術館「直島新美術館(仮称)」(以下「新美術館」)を2025年春に開館予定であることを発表しました(2023年9月5日プレスリリース)。

ベネッセアートサイト直島で10番目の安藤建築

1992年に開館した〈ベネッセハウス ミュージアム〉のほか、〈地中美術館〉(2004年開館)、〈李禹煥美術館〉(2010年開館)など、[ベネッセアートサイト直島]にて数々の建築設計を手掛けてきた安藤忠雄氏。2022年3月には9番目となる〈ヴァレーギャラリー〉がオープン。新美術館はこれに続くもので、10番目の安藤建築によるアート施設となります。

2022年3月にオープンした〈ヴァレーギャラリー〉

ベネッセアートサイト直島

[ベネッセアートサイト直島]における9番目の安藤建築〈ヴァレーギャラリー(Valley Gallery)〉内観(撮影:矢野勝偉 / 画像提供:ベネッセアートサイト直島)

建設地は、島民の生活や行政の中心となっている本村地区[*2]近くの高台。建築規模は地下2階、地上1階で、丘の稜線をゆるやかにつなぐような大きな屋根が外観の特徴となっています。

内部空間は、トップライトから自然光が入る階段室が地上から地下までをほぼ直線で結び、階段の両側に4つのギャラリーが配置されます。
地上フロアの北側にはカフェが併設され、瀬戸内海を臨むテラスからは、豊島(としま)や行き交う船といった瀬戸内海らしい風景を眺めることができます。

美術館の外装デザインでは、本村地区集落の景観になじむよう、焼杉のイメージにあわせた黒漆喰の外壁や小石が積まれた塀が施工される予定で、同様に、美術館までのアプローチなども、直島の歴史や人々の営みと美術館での体験が緩やかにつながるようにデザインされているとのこと。

安藤忠雄 近影

建築家 安藤忠雄氏

「直島新美術館(仮称)」施設概要

建設地:香川県香川郡直島町3299-73
敷地面積:6,017.67m²
延床面積:3,176.43m²
開館予定:2025年春
ディレクター:三木あき子

アジア地域のアーティストの作品を中心に展示・収集予定

「ベネッセアートサイト直島」ではこれまで、安藤氏が設計した〈ベネッセハウス ミュージアム〉や〈地中美術館〉などを中心に、欧米諸国の現代アート作品を数多く収集・展示してきました。そして近年では、ベネッセグループの企業理念である「Benesse=よく生きる」とも連携し、アーティストの活動を支援するために1995年にスタートした「ベネッセ賞」の舞台を、イタリアの「ヴェネツィア・ビエンナーレ」から「シンガポール・ビエンナーレ」に移行するなど、アジア地域で展開されている現代アートに対して大きな関心を寄せています。

2025年春に開館する新美術館では、日本も含めたアジア地域のアーティストの代表作のほか、社会や環境、時代に対するアーティスト独自の批評精神を感じさせる作品も積極的に展示・収集する計画です。企画展示のほか、トーク、ワークショップといったパブリックプログラムも開催し、より幅広い美術館活動に取り組む予定です。

個々の施設から美術館群へ

1990年代初頭より、直島では「ベネッセアートサイト直島」が企画・運営する作品、施設が何棟も設置されてきました。島内にも数々のアート・文化施設が点在しています[*2]
新美術館は、形成されつつある美術館群とこれらの施設を有機的に結びつける存在として機能します。これまで以上に自然や集落と一体化したアート体験を創出するとともに、「ベネッセアートサイト直島」を運営する福武財団の発表によれば、アート・建築・自然とコミュニティが調和・融合した新たな発展形を目指すとのこと。

同財団では、これまで以上に多様な視点や表現、時代や社会に対する多義的なメッセージを発信していく計画です。人々が島を繰り返し訪れ、島内外の多種多様な人々と出会う交流・連携の場として機能することを意図して、新たな美術館が建設されます。

「ベネッセアートサイト直島」公式ウェブサイト
https://benesse-artsite.jp/



[*1] 「ベネッセアートサイト直島」
瀬戸内海の直島、豊島、犬島を舞台に、ベネッセホールディングスと公益財団法人福武財団が展開しているアート活動の総称


[*2] 直島町本村地区
島民の生活や行政の中心的なエリア。空き家となった古い家屋などを改修し、アーティストが空間そのものを作品化する「家プロジェクト」(1998年~)や〈ANDO MUSEUM〉(2010年)などを公開中。
島の玄関口である宮ノ浦地区では、実際に入浴できる銭湯〈I♥湯(アイラブユ)〉(2009年)や、旧パチンコ店をギャラリーに改修した〈宮浦ギャラリー六区〉(2013年)など、瀬戸内の島々の歴史、文化、民俗に新たな視点で触れることができる文化施設が展開されている。

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