イタリアを代表する建築家でデザイナーのミケーレ・デ・ルッキ氏と、彼が主宰する建築スタジオAMDL CIRCLEによるリサーチプロジェクト「EARTH STATIONS」の全容を紹介する展覧会「EARTH STATIONS by AMDL CIRCLE ミケーレ・デ・ルッキと未来を共有する建築」が、兵庫県神戸市のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催されます。
本展は、2021年2月から開催される予定でしたが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的な拡大の影響で、開催が延期されていました。待望の開催決定です。
作家略歴
ミケーレ・デ・ルッキ(Michele De Lucchi)プロフィール
イタリア、フェラーラ⽣まれ。イタリアのデザイン界を代表する巨匠建築家。デザイン・スタジオ「アルキミア」に参加し、その後⼀⼤デザインムーブメントを巻き起こした「メンフィス」のメインメンバーとして活動。建築家として、住宅、オフィスから⼯業⽤建造物、⽂化施設に至るまで、世界各国の重要な建築プロジェクトに携わる。
これまでにエルメスを始めとするヨーロッパのラグジュアリー・ブランドや有名企業の依頼を受け、家具や照明などさまざまなプロダクトやコレクションをデザイン・設計し、⾰新的なデザインを発表し続けている。現在、⽇本、中国、ジョージア、イタリアといった、世界各地のラグジュアリー・リゾートのデザインに携わる。イタリア・アレーゼ市では、旧アルファロメオ工場跡地の都市計画や、同市のショッピングセンターを設計。ミラノ近郊のブレッソ市では、製薬分野の技術⾰新に特化したキャンパスプロジェクトに参画している。また、サウジアラビアのミスク・アートスクールでは、建設予定の新しいヘッドクォーターの建築家として選出されている。
1988年から2002年まで、イタリアのオリベッティ(Olivetti)社のデザイン・ディレクターを務め、在任中の2000年には、それまでの功績を認められ、当時のカルロ・アツェリオ・チャンピ⼤統領からイタリア共和国ウッフィチャーレ勲章を授与されている。AMDL CIRCLE 概要
ミケーレ・デ・ルッキが率いるヒューマニズムに基づいた建築とデザインで知られるクリエイティブで学際的なスタジオの名称。
代表的な作品に、ドイツ銀⾏ビル、ドイツ鉄道、ENEL(エネルギー会社)、イタリア郵便局、ヘラ(エネルギー会社)、インテーザ・サンパオロ銀⾏、ウニクレディト銀⾏などがある。イタリア国内外のさまざまな⺠間企業・組織と政府機関において、職場環境とコーポレートアイデンティティを設計・デザインしている。
そのほかに、ミラノのトリエンナーレ美術館や、ローマのエスポジツィオーニ宮殿、ベルリンのノイエス・ミュージアム、ミラノのガレリア・ディタリアなどの美術館および展⽰システムをデザインしている。AMDL official website
https://amdlcircle.com/
ミケーレ・デ・ルッキ氏(以下、ミケーレと表記)は、1980年代にデザインムーブメントを巻き起こしたデザイナー集団・メンフィス(Memphis)の主要メンバーとして活動し、建築・デザイン界の第一線で現在も活躍し続けています。
イタリアの国内外にて、住宅、産業施設、オフィスや文化施設など、さまざまな建築プロジェクトや、ミュージアムのプランニングなどを手掛けています。
日本国内では、ジンズホールディングス傘下のアイウエアブランド、ジンズ(JINS)が、2017年に立ち上げた「JINS Design Project(ジンズ デザイン プロジェクト)」でのコラボレーションや、群馬県前橋市に2020年12月に開業した〈白井屋ホテル〉のスペシャルルームの1つを手掛けたことが知られています。
日本での現在進行形のプロジェクトの1つに、2017年に閉館した旧六甲山ホテル[*]を改修し、2019年に〈六甲山サイレンスリゾート〉としてオープンした、同施設の再生プロジェクトがあり、ミケーレが主導しています。
*.1929年に宝塚ホテルの別館として開業(設計:古塚正治)。2007年に国の近代化産業遺産認定。2016年に八光自動車工業が取得。2017年12月31日をもって”六甲山ホテル”としての営業を終了、旧館および本館の改修工事に入り、開業当時の外観や内装の一部も開業当時の姿に復元し、2019年7月に〈六甲山サイレンスリゾート〉としてリニューアルオープン。イタリアの修復技術と日本独自の工芸技術を融合したこの修復工事を、設計・監修を担当したミケーレが指揮している
本展は、建築の進化する役割と象徴的な建物の必要性をめぐる、ミケーレの考察から生まれた、新しい建築のタイポロジー「EARTH STATIONS」を日本で初めて本格的に取り上げるものです。
会場では、〈六甲山サイレンスリゾート〉や、世界各地でのプロジェクトにつながる建築家の思想を、模型や映像で紹介。あわせて、ミケーレがデザインした家具や照明などのプロダクトも展示し、メンフィスから現在に至る、建築・デザイン界の巨匠の思索を辿ります。
会期中は、〈白井屋ホテル〉の設計を担当した藤本壮介建築設計事務所を率いる建築家の藤本壮介氏をゲストに招いて、〈六甲山サイレンスリゾート〉で予定されている今後の展開や、自然と建築、社会情勢の変化と建築などをテーマにミケーレに話を聞くトークイベントも開催されます。
会場となるデザイン・クリエイティブセンター神戸は、三宮の海側にある旧生糸検査所を改修した施設で、愛称はKIITO(キイト)。デザイン都市・神戸の拠点の1つです。
企画展「EARTH STATIONS by AMDL CIRCLE ミケーレ・デ・ルッキと未来を共有する建築」
会期:2022年7月16日(土)~8月7日(日)
開場:11:00-19:00
休場日:月曜(祝日・振替休日の場合は、翌日火曜休)
観覧料:無料
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
所在地:兵庫県神戸市中央区小野浜町1-4(Google Map)
主催:デザイン・クリエイティブセンター神戸
協力:杢谷一級建築士事務所、愛知模型コンサルタント、徳岡工務店、tanagokoro
後援:神戸市、駐日イタリア大使館、在大阪イタリア総領事館
協賛:六甲山サイレンスリゾート、八光自動車工業、リビング・マーケティング、ALESSI、Alias、Altemide、Caimi、Cassina ixc. 、Danese、De Padova、Gebrüder Thonet、JINS、Poltrona Frau、Produzione Privata、Unifor
企画:AMDL CIRCLE
日時:2022年7月18日(月・祝)15:00-17:00
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸 1F KIITOホール
出演:ミケーレ・デ・ルッキ、藤本壮介
モデレーター:木田隆子(『エル・デコ』ブランドディレクター)
言語:英語(会場逐次通訳あり)
参加費:無料(要事前申込)
定員:150名(申込多数の場合は抽選)
申込受付:デザイン・クリエイティブセンター神戸 ウェブサイトにて
受付期間:6月16日(木)〜6月30日(木)
トークイベント ゲスト略歴
藤本壮介(Sou Fujimoto)プロフィール
1971年北海道生まれ。東京大学工学部建築学科卒業後、2000年藤本壮介建築設計事務所を設立。
2014年フランス・モンペリエ国際設計競技最優秀賞(ラルブル・ブラン)に続き、2015、2017、2018年にもヨーロッパ各国の国際設計競技にて最優秀賞を受賞。国内のプロジェクトでは、2019年津田塾大学小平キャンパスマスタープラン策定業務のマスターアーキテクトに選定されたほか、2020年に2025年日本国際博覧会(略称「大阪・関西万博」)の会場デザインプロデューサーに就任。2021年には大分空港海上アクセス旅客ターミナル建設工事基本・実施設計業務最優秀者に選出、飛騨高山大学(仮称)本校キャンパスの設計者に選定されている。
主な作品に、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2013(ロンドン、2013年)、House NA(日本、2011年)、武蔵野美術大学 美術館・図書館(2010年)、House N(2008年)などがある。藤本壮介建築設計事務所 公式ウェブサイト
http://www.sou-fujimoto.net/
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)公式ウェブサイト
https://kiito.jp/