「NAMURA ART MEETING ’04‒’34」(以下、NAM)とは、2004年にスタートしたプロジェクト。現在から2034年までの30年間を芸術のひと連なりの現場ととらえ、芸術活動と隣り合う社会や個人が”出来事”を共有しつつ、未来を創造するという試みで、芸術によって新しい価値観や意味を見いだすアートの実験場として、これまで大阪市内にて活動してきました。
2016年に森村泰昌アナザーミュージアム&アーカイブルームにて開催されたVol.05「臨界の芸術論 II ―10年の趣意書」から7年ぶりとなるVol.06では、「臨海の創造論Ⅱ EXPOSITIONING OVER 2025」をタイトルに掲げ、建築家らが登壇するトークや、ライブパフォーマンスなど、3つのプログラムが執り行われます。
「2025年日本国際博覧会」(以下、略称あり)を控えた大阪において、その周辺エリアの創造拠点や人々が集い、外からの視点、地元の姿勢などについても議論される予定です。
「NAM」開催趣意
2004年から2034年までの30年を芸術のひと連なりの現場ととらえ、芸術活動と隣り合う社会や個⼈が”出来事”を共有し、未来を創造するという実験的な場として、これまで第⼀線で活躍する知識⼈やアーティストなどを招いたシンポジウム、展覧会、パフォーマンスなどを、連続した時間を凝縮する「ART MEETING」という独⾃の形式で⾏ってきました。
温暖化、パンデミック、戦争と続く2020年代、いまあらためて⾜元を⾒つめ直し、世界的困難の先、その臨界に望む創造とは何かをここから問い、未来を眼差す機会を求め「MEETING」を開催します。
2004年のNAM始動後、さまざまに派⽣、蓄積が進んだ北加賀屋地域の創造拠点やアーティストらと連携するとともに、この20年をふりかえりつつ、⼤阪で開催される「EXPO 2025 大阪・関西万博」のその先を来場者とともに思考/志向します。(NAMURA ART MEETING ’04‒’34 実行委員会)
日時:2023年4月9日(日)
会場:クリエイティブセンター大阪(CCO: Creative Center OSAKA)
所在地:大阪府大阪市住之江区北加賀屋4-1-55 名村造船所大阪工場跡地(Google Map)
※会場ではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)予防対策を実施
※雨天決行(但し、会場は臨海地域につき、悪天候やその他の理由により、予告無くプログラムの中止や開催時間が 変更になる場合あり)
※チケット購入者は、Meeting#01、#02、#03の入退場自由
主催:NAMURA ART MEETING’04-’34実行委員会
実行委員:大島賛都、甲斐賢治、木ノ下智恵子
事務局:仲川あい
助成:一般財団法人おおさか創造千島財団
協賛:リッジクリエイティブ
協力:adanda、音ビル、コーポ北加賀屋、contact Gonzo、ソルトムーン、千島土地、千鳥文化、dot architects、Morimura@Museum、remo(NPO法人 記録と表現とメディアのための組織)
「NAMURA ART MEETING’04-’34」公式ウェブサイト
https://nam04-34.jp/
ミーティング#01
開催時間:14:30-16:00
会場:CCO 製図棟4F ドラフティングルーム
テーマ:「EXPO2025 ⼤阪・関⻄万博における芸術・⽂化の創造性」
2025年に開催される「大阪・関西万博」とはいったい何か? それは芸術の現場に何をもたらすのか? 同万博会場に建設される〈⼤催事場〉の設計を担当する建築家の伊東豊雄⽒を招き、その視座に浮かび上がる万博に⽣起する芸術・文化の創造性について考察する。
登壇者:伊東豊雄(建築家)、 藤村⿓⾄(建築家・東京藝術大学准教授、RFA主宰)
登壇者プロフィール(敬称略)
伊東豊雄
建築家。1941年ソウル市生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。菊竹清訓建築設計事務所勤務を経て、伊東豊雄建築設計事務所設立。2011年にこれからのまちや建築のあり方を考える場として「伊東建築塾」を設立。
主な建築作品に〈せんだいメディアテーク〉(2000)、〈台中国家歌劇院〉(2016)などがある。
主な受賞に、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、プリツカー建築賞など。藤村龍至
建築家・RFA主宰、東京藝術大学准教授。
1976年東京生まれ。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年より藤村龍至建築設計事務所(後にRFAと改称)主宰。2016年に東京藝術大学准教授就任、現職。2017年よりアーバンデザインセンター大宮(UDCO)ディレクターを務める。
公共施設の設計のほか、指定管理者として管理運営も行う。自治体での街路・公園・河川などの公共空間を活用した都市再生事業、都市計画や施設管理関連の計画策定にも多く参画。
主な著作に『批判的工学主義の建築』(2014、NTT出版)、『藤村龍至 プロトタイピング-模型とつぶやき』(2014、 LIXIL出版)、『ちのかたち 建築的思考のプロトタイプとその応用』(2018、TOTO出版)など、ほか執筆多数。
ミーティング#02
開催時間:16:30-18:30
会場:CCO 製図棟4F ドラフティングルーム
テーマ:「現状報告 ― 大阪のアートの現場から」
世界的な困難の渦中、そして枯渇する⼤阪の芸術⽂化状況において、この巨大な地方都市で⾃⽴・⾃律する芸術⽂化の実践者たちが集い、通り過ぎようとする「EXPO2025 大阪・関西万博」とその先をみつめ、対話を繰り広げる。
登壇者:家成俊勝(建築家)、笹原晃平(アーティスト)、多⽥智美(編集者)、塚原悠也(アーティスト)
モデレーター:⼭本浩貴(⽂化研究者)
登壇者プロフィール(敬称略)
家成俊勝
建築家、京都芸術大学空間演出デザイン学科教授。
1974年兵庫県生まれ。関西大学法学部卒。大阪工業技術専門学校卒。2004年より赤代武志とdot architects(ドットアーキテクツ)を共同主宰。建築における設計、施工のプロセスにおいて、専門家、非専門家に関わらず、さまざまな人々を巻き込む超並列設計プロセスを実践。建築を専門としながらも、他分野の人々との恊働プロジェクトにも数多く参画している。笹原晃平
アーティスト
1984年東京都出身。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。
周辺環境への取材とその場の関係性の構築から出発し、インスタレーション作品を発表する。表現メディアに固執せず、さまざまな方法論で制作を行う一方で、一貫して「人間の生活」を探求することにより、美術のみならず人類学や建築学などの総合的な分野への接続を試みている。
国内外でのプロジェクト多数。2007年に作品〈Home and Away〉で川俣正賞を受賞。多田智美
編集者
1980年生まれ。大阪を拠点に編集者として活動を展開。編集事務所・MUESUM代表。どく社共同代表。
「出来事の創出からアーカイブまで」をテーマに、アートやデザイン、建築、福祉、地域にまつわるプロジェクトに参画・伴走。「編集」の概念を広げながら、紙やウェブの制作はもちろん、建築の設計プロセスや企業理念の構築、学びのプログラムづくりなど、多分野でのメディアづくりを手がける。塚原悠也
アーティスト
大阪市在住。関西学院大学大学院文学部美学専攻修士課程修了。NPO法人ダンスボックスのボランティア、運営スタッフを経て2006年よりパフォーマンス集団コンタクトゴンゾの活動を開始。既存の概念を無視したかのような即興的なパフォーマンス作品などをこれまで多数制作。
京都国際舞台芸術祭共同ディレクター、大阪アーツカウンシルの専門委員なども務める。山本浩貴
文化研究者
1986年千葉生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員。韓国・光州のアジアカルチャーセンター研究員、香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教を経て、2021年より金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師。
著作に『現代美術史』(2019、中央公論新社)、『ポスト人新世の芸術』(2022、美術出版社)など。
ミーティング#03 ライブパフォーマンス
開催時間:14:00-20:00(1時間30分×3回)
会場:CCO 製図棟1F ブラックチェンバー
「Polymorphism:コンポジションにおける『集団即興』という装置」
関西を拠点にさまざまな方面で活動する音楽家・美術家が集い、単なる即興演奏ではなく、コンポジションの中で集団即興が1つの装置として機能する表現を試みる。
ステージは存在せず、さまざまな場所に演者が位置し、それぞれの場所から音を発生させる。各演者は時間を共有し、時間軸の中に置かれたテーマに沿って集団即興を演じていく。
キュレーション:日野浩志郎(音楽家・作曲家)
作曲・構成:DODDODO(音楽家)
出演:関口大和(自作楽器、electronics)、梅田哲也、立石雷(笛、太鼓)、石原只寛(sax electronics)、カメイナホコ(keyboard,etc)、Juri Suzue(electronics)、1729(DJ)、角矢胡桃(electronics)、Flagio(Kontrabass)、山内弘太(guitar)、山本信記(Trumpet、electronics)、田上敦巳(electronics)、吉田ヤスシ[OBOO](vocal、electronics)、DODDODO(electronics)、VJ,Lighting:catchpulse
ゲストプロフィール(敬称略)
日野浩志郎
音楽家・作曲家。
1985年生まれ。大阪拠点の音楽家、作曲家。メロディ楽器も打楽器として使う打楽器アンサンブル「goat」や、電子音楽ソロプロジェクト「YPY」などを行う。
主な作品に、舞台音響作品「GEIST(ガイスト)」、10名の演奏者による作曲作品「INTERDIFFUSION A tribute to Yoshi Wada」、太鼓芸能集団「鼓童」との音楽映画「戦慄せしめよ/Shiver」(2021年公開、監督:豊田利晃)などがある。
DODDODO
音楽家。
2000年より関西を中心に活動を開始。鉄の音、皮の音、水の音などの生々しい質感を持った音からエレクトロ、アバンギャルド、民族音楽までさまざまな音の断片を採取、コラージュし、独自の音世界を展開している。
国内外の数々のレーベルからの作品リリースや、コンピレーション参加を重ね、日本全国のほか、海外10カ国のヨーロッパツアーやオーストラリアツアーなどを展開。さまざまなミュージシャンとの即興演奏や、映画への楽曲提供、野外フェス「こんがりおんがく祭」の主催など、国内外を問わない活動は多岐にわたる。
各イベント参加方法:チケット制
販売期間:2023年4月9日(日)14:00まで
料金:前売 2,000円、当日 2,500円、オンライン配信 1,000円
※当日券は現地受付にて現金でも購入可
※ミーティング#01と#02はオンライン配信あり
※Peatix購入に限り、7日間のアーカイブ視聴可
前売・当日チケット
https://peatix.com/event/3488557
オンライン配信チケット
https://peatix.com/event/3514682
以下・北加賀屋界隈のさまざまなスペースにて、展覧会、ブックショップ、オープンスタジオなども併催(営業時間は各スペースにより異なる)
1)NAMURA ART MEETINGアーカイブルーム
開館時間:14:00-20:00
会場:コーポ北加賀屋
所在地:大阪府大阪市住之江区北加賀屋5丁目4-12(Google Map)
※「NAM」チケット購入者のみ観覧可
Vol.00から現在までの「NAMURA ART MEETING ’04-‘34」の記録や出来事をドキュメンテーションしたアーカイブルームを開設。過去の資料を閲覧できるほか、ゲストの関連書籍などを展示(会場設計:dot architects / 編集:三木 学 / グラフィック:倉澤洋輝)。
2)展覧会「contact Gonzo×dot architects展」&1日書店「I remember bookstores.」
開館時間:10:00-20:00
会場:コーポ北加賀屋
所在地:大阪府大阪市住之江区北加賀屋5丁目4-12(Google Map)
「NAMURA ART MEETING ’04-‘34」の開催にあわせ、展覧会と書店を1日限定で営業。
出展するcontact Gonzoとdot architectsは、アート、建築、NPOなど分野にとらわれない人々が集う、もうひとつの社会を実践するための協働スタジオ。本展では、両事務所がこれまで密かに構想してきた博物館のプランが披露される。グッズや作品販売も予定。
1日限定書店では、書籍わたしは思い出す / I remember 11年間の育児日記を再読して」(発行:remo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織])を販売(書籍詳細はこちら)。
http://coop-kitakagaya.blogspot.com/
3)MASK所蔵作品特別公開
会場:MASK[MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA]
所在地:大阪府大阪市住之江区北加賀屋5丁目4-48(Google Map)
開館時間:12:00-18:00
MASKは、約1,000m²の工場・倉庫跡に、国際的に活躍する現代美術作家の大型作品を保管・展示するスペースとして2014年に開館。現在は、宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、名和晃平、持田敦子、やなぎみわ、ヤノベケンジの作品が保管されている。今回の「NAMURA ART MEETING ’04-‘34」の開催にあわせて、MASKが収蔵する作品が一般公開される。
https://mask.chishima-foundation.com/
4)展覧会[顔- KAO]
開館時間:11:00-19:00(最終入館18:00)
会場:Morimura@Museum(M@M)
所在地:大阪府大阪市住之江区北加賀屋5丁目5-36(Google Map)
料金:一般 600円 学生 200円
Morimura@Museumは、美術家・森村泰昌の作品を常設する美術館。400m²のフロア面積に、2つの展示室とライブラリー、サロン、ミニシアター、ショップがある。
https://www.morimura-at-museum.org/
5)高野千聖 個展「Cycle」
開館時間:11:30-18:00(食堂 11:30-18:00 / BAR 18:00-23:00)
会場:千鳥文化
会場の〈千鳥文化〉は、北加賀屋エリアに残る築60年の旧千鳥文化住宅を、dot architectsが2017年にリノベーションした複合施設。「クリエイターや地域の人びとの交流する」をコンセプトに、食堂・バー・ギャラリー・ホール・テナントで構成される(運営:adanda)
http://chidoribunka.jp/
フリンジ企画エリアマップ
https://www.google.com/maps/d/u/2/edit?mid=1YqwXixaNn13Hcvrqgu2Sza3CuU-qq7w&usp=sharing
北加賀屋でのアートへの取り組みについて
大阪市住之江区の木津川河口に位置する北加賀屋は、かつて造船業で栄えましたが、産業構造の変化に伴い造船所の転出が進み、空き工場や空き家が増えていました。
2004年にスタートした「NAMURA ART MEETING(NAM)」をきっかけに、千島土地株式会社では「北加賀屋クリエイティブ・ビレッジ構想」を2009年に提唱。遊休不動産をアートにより活用する取り組みが進み、アーティスト、アートNPOなど多様な関係者が集積しています。現在では約40カ所の拠点があり、それぞれが独自に活動中です。
エリア内には国内外のアーティストが描いた多数の壁画や屋外アート作品も点在し、アートのまちとして来訪者も増加しています。(千島土地株式会社 2023年3月29日プレスリリースより)おおさか創造千島財団 ウェブサイト
https://chishima-foundation.com/