東京・新富町のビルの谷間にひっそりと佇む、築約100年の古民家が、板坂 諭氏が主宰する事務所・the design laboのサテライトオフィスとして再生されました。さらにスペースの一部をギャラリー空間「the design gallery」として運営、1月10日より「Pierre Jeanneret展」が開催されています(入場は完全予約制、後述する特別公開日を除く)。
建物が建てられた大正後期に活躍したスイス人建築家でデザイナーのピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)が、インド・チャンディーガルでのプロジェクトのためにデザイン・製作したことで知られる家具15点が、the design laboが改修して再生された和の空間で展示されています。
東京メトロ新富町駅至近、築地橋の交差点に面した〈the design gallery〉外観 Photo by Ikunori Yamamoto
甘味処だった「井筒屋」のファサードは、銅板が張られたいわゆる「看板建築」 Photo by Ikunori Yamamoto
建物について
新富町駅前にひっそりと佇む古民家・井筒屋。
約100年前の大正後期に建造された木造3階建ての建物です。
関東大震災による倒壊や大戦による消失を免れ、再開発が著しいこのエリアでビルに囲まれながらも奇跡的に残っているこの建物は、かつて目の前に建っていた劇場・新富座の甘味処として愛されていました。
家主が転居して離れたあと、外壁には落書きが加えられ、すっかり生気を失ってしまった建物を見て、我々はその建物の蘇生を決意しました。
2024年1月「井筒屋」は100年の時を経て「the design gallery」として生まれ変わりました。(the design labo)
1階 内観 Photo by Ikunori Yamamoto
1階 内観 Photo by Ikunori Yamamoto
改修された3階内観 Photo by Ikunori Yamamoto
英国で生まれ、米国にも伝えられた、ギャンブレルと呼ばれる二面切妻二段勾配屋根の形状が見てとれる
メッセージ
ピエール・ジャンヌレ(1896-1967)と、彼の従兄弟であるル・コルビジェ(Le Corbusier|1887-1965)が設計事務所を開設した1922年は、井筒屋が建てられた年代です(編集部註.大正11年)。
ジャンヌレはその後、インド・チャンディーガルに移り、建築だけでなく、数多くの家具を生み出しました。
旧井筒屋がある新富町界隈は、江戸時代末期に外国人居留地であった築地・聖路加エリアに隣接していることから、かつては外国文化が入り混じっていた土地柄でした。そのため、この建物にもあらゆる文化を許容する柔軟さが備わっています。
日本とインドで場所は違えども、同じだけの時間が経過したジャンヌレの家具と井筒屋の空間の調和をお楽しみ下さい。
Photo by Ikunori Yamamoto
建物のオーナーの希望により、2階に設置されていた桐箪笥とファサードの「井筒屋」の看板はそのまま残し、それ以外の床や壁や天井や装飾は一旦取り外して改修工事が進められた。基礎を打ち増し、柱を追加し、梁を補強したうえで、インテリアとして大正時代の建具や照明を集め、往時の姿を想像しながら空間をつくりこんでいったという(インスタグラム @izutsuyagallery 2023年12月の投稿より)
the design gallery from the design labo on Vimeo.
#the design gallery Movie(注.再生と同時に音楽が流れます)
会期:2024年1月9日(火)〜2月9日(金)
休業日:月曜・土曜・日曜
営業時間(予約可能時間):13:00-19:00
会場:the design gallery(※the design labo サテライトオフィス)
所在地:東京都中央区新富2-4-8(Google Map)
協力:Gallery Attic
主催:the design labo
入場方法:アポイントメント制
予約方法:インスタグラム(@izutsuyagallery)のダイレクトメールメッセージから希望の日時を連絡して予約すること
※2月10日(土)13:00-18:00に限り、予約不要で見学可(18:00より展示品の撤収を開始)
the design gallery 公式インスタグラム
https://www.instagram.com/izutsuyagallery/
the design labo 公式ウェブサイト
https://www.thedesignlabo.co.jp/