無人で家を建設することができる3Dプリンタ技術「Sphere(スフィア)」を開発・提供するスタートアップ、セレンディクスパートナーズ(兵庫県西宮市、CEO:小間裕康、COO:飯田国大)は、3Dプリンタ(ロボット)によって、世界最先端の家(Next House)をつくるプロジェクト(2019年12月スタート)の概要を発表。あわせて、意匠権を特許庁に申請したプロトタイプのデザインも公開しました(同社 2021年2月2日プレスリリース)。
セレンディクスパートナーズとは?
同社のCEOを務める小間裕康氏は、京都大学発の電気自動車(EV)ベンチャーとして、2010年にグリーンロードモータース(現:GLM株式会社)を設立し、代表取締役に就任。独自のEVプラットフォームをもとにEVスポーツカー「トミーカイラZZ」を開発するなど、2019年6月に同社を退任するまでに数々のプロジェクトを手がけました。次なるプロジェクトとして、世界最先端の家づくりに取り組んでいます。
なお、現在、3Dプリンタを活用して住宅開発を行うプロジェクトを進めているのは、日本国内ではセレンディクスパートナーズ1社のみとのこと[*1]。
*1.セレンディクス・パートナーズ調べ・発表
世界最先端の家(Next House)開発の背景
日本国内では、木造住宅の担い手である大工就業者数が減少の一途をたどっており[*1]、現在の住宅供給を維持するには、ゆくゆくは3Dプリンタ(ロボット)が住宅をつくることが予想されます。
3Dプリンタでの住宅建設の概況としては、海外の住宅メーカーなど複数の企業が開発を進めていますが、既存住宅の延長線上での開発となっており、鉄筋などの構造体を必要としているとのこと[*1]。
これに対して、セレンディクスパートナーズでは、住宅の形を球体(Sphere / スフィア)とすることで、構造体を必要としない、3Dプリンタでの住宅開発を進めています。これが世界最先端の家「Sphere」プロジェクトです。
「Sphere」開発の目的
1.3Dプリンタで自然災害に強い「Sphere(球体)」の家を創る
2.家をロボット(3Dプリンタ)が創る
3.世界最先端のIoT・AI技術を取り入れる
4.日本国際博覧会協会主催の「大阪・関西万博2025」へ世界最先端の家「Sphere」を出展。
5.スーパーシティ・オープンラボに、ロボットが創る世界最先端の住宅提案として、インフラ開発で登録(済)。
世界最先端の家「Sphere」プロジェクトの目標・ビジョンを要約すると、以下の通りです。
・年齢・家族構成・仕事にあわせて、車を買い替えるように家を買い替えることができるように、建設費総額は30坪で300万円以下とする
・形状は物理的に最強の形である球体(Sphere)とし、強風に耐え、耐震性もある、自然災害に強い家とする
・構造材は鉄筋などを用いず、3Dプリンタと複合素材を用いてつくる
・ロボット(3Dプリンタ)で無人化を実現し、家の建設コストの過半を占める人件費と物流費を大幅に低減
・工期は24時間以内とする
デザイナーはNASA火星移住プロジェクトにもビジュアルを公開
このほど発表されたプロトタイプの建築デザイン[*2]は、ニューヨークを拠点に活動する、建築家の曽野正之氏(クラウズ・アオ共同代表[*3])が担当しています。
*2.建築物の意匠として、経済産業省 特許庁に登録を出願中
*3.Clouds AO: Clouds Architecture Officeは、デザイン・リサーチ分野の知見を統合する創造性にフォーカスした活動を目的とし、建築家の曽野正之氏とオスタップ・ルダケヴィッチ氏が2010年に設立した事務所
2021年2月2日発表のプレスリリースでは、アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration: NASA)と共同で火星移住プロジェクトを進めている、ニューヨークの設計事務所・クラウズ・アオのウェブサイトにて、プロトタイプのデザインを初めて公開したことも発表されました(住宅モジュールの作品名は「MARS-ICE-HOME」)。この建築デザインも、クラウズ・アオの曽野氏が担当しています。
クラウズ・アオ(Clouds AO: Clouds Architecture Office)
https://cloudsao.com/
プロジェクトの詳細は、同社のプレスリリース、またはセレンディクスパートナーズの公式ウェブサイトを参照してください。(en)
セレンディクスパートナーズ プレスリリース(2021年2月2日)
https://www.atpress.ne.jp/news/245331
セレンディクス ※社名変更
Serendix.com