アラブ首長国連邦(UAE)の首都・アブダビのサディヤット文化地区に2025年4月にオープンした〈teamLab Phenomena Abu Dhabi(チームラボフェノメナ アブダビ)〉の建築概要が公開されました。
〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉の総床面積は17,000m²。コンセプトに掲げた「環境現象」のもと作品群がつくられています。それぞれが独立して存在するのではなく、作品を生み出すさまざまな現象を生む「環境」そのものによって成立しているとのこと。

ジャン・ヌーヴェルの設計による〈ルーヴル・アブダビ〉、フォスター アンド パートナーズの設計による〈ザイード国立博物館〉、オランダの設計事務所Mecanooによる〈アブダビ自然史博物館〉が既存するサディヤット文化地区には、フランク・ゲーリーの遺作の1つとなる〈グッゲンハイム・アブダビ〉がいよいよ今年開館予定
© DCT Abu Dhabi, Miral(アブダビ文化観光局、ミラル)
〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉概要
所在地:UAE, アブダビ, サディヤット文化地区(Google Map)
敷地面積:28,930.54m²
建築面積合計:12,156.68m²
延床面積:17,367.43m²
構造:RC造(Reinforced Cement Concrete)
ファサード:GRC+GRPパネル外装
リードアーキテクト:MZ Architects
コラボレーティブアーキテクト:チームラボアーキテクツ
開業予告(2022年6月時点)
チームラボがアブダビ・サディヤット島に進出!〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉2024年開館予定

©︎ チームラボアーキテクツ Photo: Vincent Hecht
流線型の外観が特徴的な建築は、その圧倒的な没入型のアート体験を提供する内部空間を前提に、建築家のマルワン・ズゲイブ(Marwan Zgheib)氏が2002年にアブダビに設立したMZ Architectsがリードアーキテクトを務めてデザイン。コラボレーティブアーキテクトとして名を連ねたチームラボアーキテクツ(teamLab Architects)とのタッグで誕生した建築作品です。

©︎ チームラボアーキテクツ Photo: Vincent Hecht
施設概要
〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉は、アブダビ文化観光局、デベロッパー・ミラル社による、他に類を見ない、没入型のアートのミュージアムです。本プロジェクトは、世界水準の文化・芸術環境の構築に取り組むアラブ首長国連邦の強い意志を体現しています。
〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉では、コンセプト「環境現象」をテーマにした、デジタルテクノロジーによるアート作品を多数展示しています。会場となる建築は、それ自体が特徴的な存在であり、現代的なデザインと自然から着想を得た要素が調和することで、芸術的探求に最適な空間を生み出しています。
建築は MZ Architectsによって構想され、砂漠のうねる砂丘や周囲の海のリズミカルな波といった、自然の有機的な形態からインスピレーションを得ています。粒子同士の混沌とした相互作用を、好奇心や生命の根源的要素に根ざした体験を内包する、統一感のある有機的な形へと昇華させています。
建物のうねる曲線と有機的な形状は、光の移ろいを捉え、静止の中にさえ動きを感じさせます。流れるような壁面は、従来の建築が持つ硬直した境界をなくし、形態と空間の間がシームレスにつながっています。これは単なる建築物ではなく、さまよい、探索し、新しい発見をするための体験そのものです。
「私たちの意図は、“生きている”と感じられる建築を創ることでした」と、プリンシパル アーキテクトのトニー・アビ・ゲブライエルは語ります。「形、光、知覚が常に対話し続ける空間を通じて、訪れる人々が“見る”だけでなく、“感じる”ことができる場所を目指しました。」
会場の曲線的な構造は来場者を包み込み、視覚的にも身体的にも一体感のある体験を提供し、それぞれのインタラクションがもたらす感情的な響きをより一層高めます。建物の外観も体験の本質を反映・増幅するよう緻密に設計されており、すべての来場者の記憶に鮮烈で忘れがたい印象を残します。

©︎ チームラボアーキテクツ Photo: Vincent Hecht
チームラボアーキテクツ代表 河田将吾氏による建築解説
今回のチームラボフェノメナは、いつも私たちが行う空間作りと逆の順番でつくっていったことが挑戦的でした。まず、自然にある有機的な形状と環境により形状がきまる「環境現象」というコンセプトが設定されました。
©︎ チームラボアーキテクツ
私たちは人間の行動に基づいて内部空間の設計を開始し、その後、橋から見える海沿いの敷地を選定しました。そして、私たちが内部の作品空間の形状を確定した後、アブダビのMZ Architectsがファサードを設計しました。通常は、ファサードを決め、内部の壁を決めていくのですが、今回は逆で、自由に内部空間を決めて、その後、外部ファサードを決定しています。そのため、建築の外観には、内部の形状がそのまま現れている部分があることがみてとれます。
例えば、作品〈Wind Form〉の複雑な3D曲線を実現するには、デジタルで作成した形状を、現実の空間で誤差なく再現することが不可欠でした。そのために、複数の関係者とのデータ連携が重要になりました。開発したソフトによって、実際の空間とデジタルで作成した形状との誤差を自動的に可視化して共有しました。
左:デジタルで作成した形状 / 中央:誤差を可視化した図 / 右:現実の空間
© チームラボアーキテクツ
チームラボ〈Wind Form〉 ©︎ チームラボ©︎ チームラボアーキテクツ
チームラボ〈Circulating Universe of Water Particles〉 ©チームラボ
〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉の内部には、巨大な柱のような物体が、森のように立ち並ぶ空間〈Circulating Universe of Water Particles〉があります。見る人はそれらを柱だと認識しますが、実は建物を支える構造ではありません。これは視界を遮り、奥行きを生み出すことで好奇心を刺激する演出であり、プロジェクターやセンサーなどの機材を収納する役割も担っています。つまり、構造上は柱のない広大な空間なのです。
今回、私たちの作品体験にとってベストな環境をつくりあげるため、完成に至るまでの7年間、世界中から多くのプロフェッショナルが集まり、協力して実現しました。それは、デジタルテクノロジーによるアートを空間化し、複数人で同時に没入し、体験できる世界。有機的な形状の空間は、人間と空間の境界をなくします。この世界では、デジタルとリアルの境界が次第に曖昧になり、作品はただ見るものではなく、その環境の中で過ごし、体験するものへと変わります。抽象化した自然そのものなのです。
#teamLab YouTube: Architecture of teamLab Phenomena Abu Dhabi(2025/12/17)〈teamLab Phenomena Abu Dhabi〉建築概要
https://architects.team-lab.com/jp/projects/teamlab_phenomena_architecture/

チームラボ〈Order in Chaos〉 ©チームラボ

チームラボ〈Wind Form〉 ©チームラボ

チームラボ〈グラフィティネイチャーと鼓動する大地〉 ©チームラボ

チームラボ〈Biocosmos〉 ©チームラボ
#teamLab YouTube: teamLab Phenomena Abu Dhabi Highlight Video(2025/12/16)
teamLab Architects Website
https://architects.team-lab.com/jp/
#Miral YouTube: teamLab Phenomena Construction Update(2023/12/27)