南川憲二(ディレクター)、荒神明香(アーティスト)、増井宏文(インストーラー)の3氏によるアーティストの目[mé]が、空き家だった一軒家をホワイトキューブへと改装した作品《space》を青森にて制作。この空間を美術館のサテライト会場として、若手アーティストの作品を紹介する展覧会が、青森・十和田市現代美術館の主催で7月より開催されています。
初回となる展覧会は、主にインスタレーション・アートを制作する大岩雄典の個展です。
大岩雄典は、多層な空間と、物語やせりふといった言葉を中心にした作品の制作や、研究、執筆、キュレーションなど、多岐にわたって活動している作家です。
物語論・言語哲学、フィクション研究、ゲームスタディーズなどの自身の関心領域に留まらず、戯曲、話芸、漫才、ホラーといったさまざまな言葉の様式を。独自の視点から空間に組み込む(install:インストールする)ことで、固有の時間感覚をもつ「空間芸術」として作品を提示しています。
美術館での初の作品発表となる本展のために、大岩は、展覧会場「space」とその周辺の十和田市街の空間が持つ性質を注意深く観察し、これまでの作家の関心であったドラマ(劇)、鑑賞者の行為や動線、展覧会の制度との、一種の「地口」を見出しています。言葉遊びのような空間の操作は、展示会場「space」から十和田市街へと重ねて投影され、観客のパラノイア的な想像を掻き立てることでしょう。《space》および大岩作品の観覧は無料。
大岩雄典 プロフィール
美術家。1993年埼玉県生まれ。東京藝術大学大学院映像研究科博士後期課程在籍。「空間」というものを、単なる形態を越えて、ゲーム的可能性、他人との親近感、時間との共働、契約や欲望の関係、言葉の効力、歴史・フィクションといった、存在しうる多様な相の織り合わせととらえ、インスタレーション・アート(空間芸術)の形式を再解釈する。わたしたちが他者や物質と、ときに観客や作者と、いかに「居合わせ(contemporary)」なくてよいのかを主題に、たとえば近年は、感染症拡大下で変容した空間のありかたに注目して、執筆を含むいろいろな制作をおこなう。
近作に、カードゲーム・インスタレーション〈刑吏たち伴奏たち〉(2022)、作家やギャラリー同士の経済関係をジュースに変換した〈margin reception〉(2021)、ノイズに苛まれる話芸としての「漫才」に着目した〈バカンス〉(2020)など。
会期:2022年7月1日(金)〜9月4日(日)
会場:space(十和田市現代美術館 サテライト会場)
所在地:青森県十和田市西三番町18-20(Google Map)
開館時間:10:00-17:00
休館日:月曜(但し、8月1日、8日、15日は開館。祝日の場合はその翌日休館)
観覧料:無料
主催:十和田市現代美術館
後援:青森朝日放送、青森テレビ、青森放送、デーリー東北新聞社、東奥日報社、十和田市教育委員会
キュレーター:中川千恵子
「渦中のP」ビジュアルデザイン:北岡誠吾
作家プロフィール・展覧会詳細
https://towadaartcenter.com/exhibitions/space_oiwa/