CULTURE

〈九段会館テラス〉が今夏竣工

昭和初期の帝冠様式建築・旧九段会館 再生プロジェクト

CULTURE2022.05.01

老朽化と震災による建物破損などにより、2011年に惜しまれつつ閉館した九段会館。東急不動産と鹿島建設による再生プロジェクトがいよいよ完了し、今夏に竣工を迎えます。

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

〈九段会館テラス〉エリア鳥瞰イメージ(画面右奥は日本武道館を含む皇居外苑 北の丸公園)

旧九段会館(東京都千代田区九段南)は、1934年(昭和9)に軍人会館として建設された、帝冠様式を代表する建築。戦後はレストランやホール、宿泊施設などを備えて開かれた施設となり、昭和と平成期に計3回の改修を重ねながら、結婚式や各種イベントなどに使用されてきました。

その歴史に終止符が打たれたのは、2011年。3月に発生した東日本大震災の影響で、天井部分が崩落するなど、集客施設として使用できなくなり、閉館したまま廃業。その後、一般入札を経て、東急不動産と鹿島建設が出資する合同会社(ノーヴェグランデ)による、70年間の定期借地での再生プロジェクト事業が2018年に立ち上げられ、「(仮称)九段南一丁目プロジェクト」として2019年9月に着工し、今日に至ります。

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

〈九段会館テラス〉ロゴ

再生事業では「水辺に咲くレトロモダン」をコンセプトに掲げ、スクラッチタイルの外装が美しい、昭和初期の名建築の真正性を追求し、建物および内外装の一部保存と復原が行われました。
自然豊かな皇居周辺の水辺空間との回遊性も高めつつ、保存部分を含めて地下3階、地上17階規模の複合施設として建て替えられます。

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

〈九段会館テラス〉付帯施設 フロア構成イメージ

プロジェクトでは、帝冠様式の特徴が色濃い、旧九段会館の北側と東側部分がL字状に残されています(保存棟)。
免震対策と、中性化で劣化したコンクリートの補修対策を実施。建物の顔とも言える外壁のスクラッチタイルも、落下防止対策を1枚1枚に講じたうえで、創建時の姿を偲ばせる外観になるとのこと。

保存棟の保存・復原工事は、2021年12月に完了。竣工は2022年7月末の予定です。

今年3月には、施設名称が〈九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)〉に決定したことが発表され(東急不動産+鹿島建設プレスリリース)、あわせて、地下1階から地上5階の低層部に用意されるシェアオフィスや、1階と5階に入る店舗などの付帯施設のフロア構成と概要なども明らかになっています。

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

小規模オフィス「九段会館テラス Classic Office」ラウンジ イメージ

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

会議室での飲食利用イメージ(バリューマネジメント2022年4月30日プレスリリース

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

宴会場「真珠」結婚式開催イメージ(バリューマネジメント2022年4月30日プレスリリース

保存棟の建物には、シェアオフィス、店舗、カンファレンスセンター、宴会場などが整えられます。
2階-4階に入る「九段会館テラス Classic Office」は、旧九段会館のクラシカルな雰囲気を残しつつ、最新のセキュリティシステムと、ハイスペックな機能を備えた小規模オフィスで、屋上庭園と専用ラウンジも利用できます。

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

〈九段会館テラス〉屋上庭園 イメージ

屋上庭園はウエディングでも使用され、都内では希少という屋上挙式となります。1階から2階まで吹き抜け空間となるロビーでの挙式にも対応。昭和のレトロ・モダンの雰囲気を踏襲しつつ、改装された新しい空間にて、ホテルウエディングさながらの挙式をサポートします。

また、保存棟の4階には、ギャラリーも新設され、歴史ある旧九段会館の歴史を後世へと伝えます。

保存棟のフロア構成と主な付帯施設

地下1階
公益食堂「九段食堂 KUDANSHOKUDO for the Public Good」
・運営:モノサス「MONOSUS 社食研」
・協力:フードハブ・プロジェクト

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

食堂「九段食堂 KUDAN-SHOKUDO for the Public Good」イメージ

クリニックモール
・構成:内科・⽪膚科・⻭科・⽿⿐科・薬局

地下1階+保存棟1階
会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート九段下(Business-Airport Kudanshita)」
・構成:サービスオフィス54室、シェアワークプレイス、ミーティングルームほか
・開業予定:2022年10月3日
・延床面積: 2,293.96㎡(693.91坪)

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

地下1階・1階「ビジネスエアポート九段下 シェアワークプレイス」イメージ

保存棟2階-4階
九段会館テラス Classic Office

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

「九段会館テラス Classic Office」イメージ / 右:3階 テナント専用ラウンジ

保存棟2階-3階
バンケット(宴会場)「鳳凰」「真珠」

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

宴会場「真珠」パーティ開催イメージ

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

会議室でのウエディング 親族控室利用イメージ(バリューマネジメント2022年4月30日プレスリリース)

保存棟5階屋上
オフィスワーカー専用ラウンジ、屋上庭園

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

5階 ワーカー専用ラウンジ イメージ

これらの付帯施設のほか、自然豊かな皇居北の丸公園に隣接し、お堀端の立地であることを最大限に活かして、敷地⻄側の牛ヶ淵沿いには、親水性の高い歩行者デッキを整備。さらに正面玄関前にも緑豊かな広場「九段ひろば」が整備されました[*2]。来館者を迎えるとともに、近隣のワーカーや住民らとの交流を創出する計画です。
*2.公益財団法人都市緑化機構主催 第32回「緑の環境プラン大賞」(旧称:緑の環境デザイン賞)シンボル・ガーデン部門 緑化大賞選出(受賞者:合同会社ノーヴェグランデ)

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

「九段ひろば」イメージ

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

「九段ひろば」イメージ

九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)

〈九段会館テラス〉外観イメージ

〈九段会館テラス〉施設概要

英名表記:KUDAN-KAIKAN TERRACE
事業主体:合同会社ノーヴェグランデ(東急不動産、鹿島建設が本プロジェクトのために出資する事業会社)
所在地:東京都千代田区九段南1丁目6-5(Google Map
用途:事務所、店舗、集会所、駐車場など
敷地面積:約8,765m²
延床面積:約68,036m²
構造:S造(CFT造)・RC造・SRC造
規模:地下3階+地上17階
高さ:約74.9m
設計:鹿島・梓 設計・工事監理業務共同企業体
施工:鹿島建設
ウエディングプロデュース:バリューマネジメント
レストラン・宴会・カフェ「VMG CAFE KUDAN-KAIKAN TERRACE」運営:バリューマネジメント
竣工:2022年7月末(予定)


本稿参照元:
東急不動産+鹿島建設プレスリリース
https://www.tokyu-land.co.jp/news/2022/001403.html

https://www.tokyu-land.co.jp/news/eef25949086a80c766679efaff689d5a.pdf
https://www.tokyu-land.co.jp/news/09a6cf6adbd08df335ccb310d29fddbe.pdf

バリューマネジメント プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000239.000018871.html

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