石川県金沢市に、新たなホテル〈SOKI KANAZAWA(そき かなざわ)〉が昨年11月に開業しています。
施設名の「SOKI」とは、「素の器」の意。ありのまま(=素)の飾らない本質を追求し、その土地の自然や風土、素材を嗜む場所(=器)という意味とのこと(UDSによる開業告知 / プレスリリースより)
「SOKI」ブランドとしては、TONERICO:INC.(トネリコ)がインテリアデザインを担当し、2020年11月に静岡県・熱海市に開業した〈SOKI ATAMI〉に続く2拠点めで、都市部への進出となります。
〈SOKI KANAZAWA〉開業にあたり、建築・デザインのプロジェクトチームの構成は以下の通りです。
インテリアデザインを、CIBONE、ISSSEY MIYAKE、LEMAIRE、ARTEKなどの商空間のインテリアをはじめ、都市の遊休地を一時的に占有して一般へ解放する運動「SKWAT」などで知られる、DAIKEI MILLS(ダイケイ・ミルズ)が担当しています。
事業主:大和ハウスリアルティマネジメント
企画・設計・ホテル運営:UDS
インテリアデザイン:DAIKEI MILLS
グラフィックデザイン:desegno ltd.
スタイリング:白日
アートワーク:岩村寛人
香りコンテンツ監修:EarthRing
建築設計・施工:大和ハウス工業
ホテルの立地は、市の賑わいの中心部および近江町市場にも近い袋町。「まちとのつながりを感じるホテル」として、空間やコンテンツを“つくり込みすぎないこと“に重きをおいたとのこと。
〈SOKI KANAZAWA〉ロビーからエントランス方向の眺め Photo: DAISUKE SHIMA
館内は、ロビー・レストラン・客室など、それぞれの空間が分断されない、ひとつにつながった「器」として感じられる空間を目指して設計されました。金沢らしさを感じ、土地に根付いた場を構築するために、地元の素材や職人が製作したアイテムを要所で採用。マテリアルでは、木や石、土や鉄といった自然に近い素材をふんだんに使用しています。
建物の外構部では、県内の能登に自生する赤松をはじめ、地域の山々にみられる自然風景をイメージした植栽となっています。
エントランスのアプローチから建物内部の廊下、レセプションの床の仕上げは、金沢のまちなかでも古くから見られる石の洗い出しを採用。まちの風景をそのまま内部へと引き込むようなデザインで、まちとのつながりを表現したとのこと。
レセプションの壁は、自然顔料の藍で染めた左官仕上げ。円形のテーブルは、観光やまちあるきの情報を伝えるホテル側スタッフと宿泊客の距離を近づける、コミュニケーションの場となる。Photo: DAISUKE SHIMA
客室は全12タイプ(18〜37m²)を用意。こちらの空間でも、白木や鉄などを中心とした自然の素材感のあるインテリアのデザインで統一されています。
スーペリアグループツイン(27m² / 定員4名) Photo: DAISUKE SHIMA
Photo: shuhei tonami
スタイリングツイン(34.8m² / 定員2名) Photo: DAISUKE SHIMA
寝具アイテムでは、海に流れ出る前のプラスチックごみをリサイクルしてつくられた再生綿を採用 Photo: shuhei tonami
客室アイテムとしては、山中漆器の木地を使った木製の湯のみをはじめ、地元企業が手がける珪藻土のコースターやオーガニックの棒ほうじ茶、九谷焼の製作過程で生まれる不純物を釉薬にリユースした食器など、石川県内でつくられ、人々に愛されている品々が用意されています。
また、プラスチックゴミ削減のため、客室にペットボトル容器の飲料水は置かず、2階に設置したウォーターサーバーの利用を推奨。
アメニティーの1つ、歯ブラシの柄の部分は竹製 Photo: shuhei tonami
県内・白山麓にあるアロマ蒸留所・EarthRing(アースリング)とコラボレーションしてしつらえた特別な香りを、ユニバーサルルームとしても機能する客室「ハーバルルーム」に用意している。 画像提供:Earthring
館内共有部では、EarthRingが手がける香り豊かなアロマオイルを県産ヒバチップに振りかける「サシェづくり」も体験できる。 Photo: shuhei tonami
大浴場の湯船は県内の昔ながらの公共浴場・総湯にみられるロの字型の湯船 Photo: DAISUKE SHIMA
大浴場では地元の間伐材や柑橘類などを再活用した香り湯や季節湯も期間限定で提供予定 Photo: shuhei tonami
ホテル付帯の和食料理店「空潮/空汐(そらしお)」の運営は、地元企業の加賀建設が担います。同社は、金沢の港町、金石を拠点に建築総合サービスを手がける一方で、飲食業や場づくりなどの地域活性化事業を展開している企業です。
1F 和食料理店「空潮/空汐(そらしお)」内観 / 栗の木の柱は地元の材木店の職人が仕上げたなぐり加工、カウンターは天然木タモ材による約8mの1枚板 Photo: DAISUKE SHIMA
〈SOKI KANAZAWA〉の1Fにオープンする店舗「空潮/空汐」は、同社がこれまでに金石や金沢駅構内に出店している、地元でも人気の「お味噌汁食堂 そらみそ」が監修する新業態店舗となります。
店名は、朝食営業時は「空潮」、夕食営業時は「空汐」と表記し、読みはどちらも「そらしお」。朝・夕食ともに宿泊者以外の利用も可能とのこと。
季節と金沢ならではの地域性を表現した「空潮」朝食メニュー(運営:加賀建設) Photo: shuhei tonami
〈SOKI KANAZAWA〉外観 / エントランス付近 Photo: DAISUKE SHIMA
所在地:石川県金沢市袋町2番1号(Google Map)
構造:S造 地上8階建
敷地面積:935.80m²
延床面積:4612.36m²
客室数:130室
施設構成:ホテル(1〜8F)、大浴場(1F)、レストラン「空潮/空汐(そらしお)」(1F)
チェックイン・支払い:自動チェックイン機、キャッシュレス決済を導入
開業:2022年11月19日(土)
和食料理店「空潮/空汐(そらしお)」
席数:34席
営業時間:
「空潮」:朝食 7:00-10:30(L.O. 10:00)/ メニュー例:炊き立ておひつご飯と北陸の季節食材でつくる15種の番菜朝食膳 1,980円(税込)
「空汐」:夕食 17:00-23:00(L.O. 22:00)/ 素材と季節を小鉢で楽しむ小料理各種(予算目安:7,000円〜)
レストラン運営:加賀建設
インスタグラム:https://www.instagram.com/sorasio.official/
〈SOKI KANAZAWA〉公式Webサイト&SNS
https://www.so-ki.jp/kanazawa
https://instagram.com/soki_kanazawa
https://www.facebook.com/SOKI-Kanazawa-100647109387245