2024年5月24日初掲、26日会場画像とオーディオガイドリンクを追加
今年2月よりスタートしたクラウドファンディングも大成功を納め、建築公開イベント「東京建築祭」がいよいよ開幕。5月25日と26日の2日間限定で都内各所で開催されます(一部イベントは5月18日〜24日に開催)。
『TECTURE MAG』では、「東京建築祭」のローンチ時と今年4月の公式ウェブサイトオープンおよび見学ツアーなどのプログラムの概要が発表された際に、イベントニュースとしてそれぞれ掲載してきました。
5月25日・26日の本会期に先立ち、公式プログラムの会場として連ねている、日本橋の三越劇場でのキックオフイベント(5月20日、本稿1枚目の画像は終了後の記念写真)と、日本工業倶楽部会館の特別見学イベント(5月13日)をそれぞれ取材。参加者の熱気と期待感に満ちた会場の様子をレポートします。
「東京建築祭」の初回開催への支援を求めたクラウドファンディングでは、目標金額400万円に対し、156%の6,243,333円を達成し、大成功を収めました。
支援に対するリターンの1つに、三越劇場で5月20日に行う「東京建築祭キックオフイベント」への招待があり、パートナー企業など関係者も多数出席し、以下の内容で開催されました。
東京建築祭キックオフイベント
日時:2024年5月20日(月)18:00-20:00
ナビゲーター:倉方俊輔(実行委員長、建築史家)
ゲスト(登壇順):齊木由多加(三越劇場 副支配人)、藤本壮介(建築家)、田中 仁(ジンズホールディングス代表取締役CEO)、
進行スケジュール:
・開会挨拶
・三越劇場 副支配人・齊木氏による三越劇場の建築解説
・実行委員長・倉方氏による「東京建築祭」開催概要説明
・藤本壮介氏による自作品解説(テーマ:建築を都市に開くということ)
・田中 仁氏による前橋市におけるまちづくり、「めぶく。」プロジェクトの解説
・倉方、藤本、田中の3氏による鼎談
・閉会挨拶
・記念撮影
「私は日本の近代建築史を専門に研究しています。これまでに大阪でのイケフェスや京都モダン建築祭といった建築公開イベントの立ち上げから携わってきました。今回が初開催となる東京建築祭の最新情報は公式ウェブサイトなどに出ていますが、これほどの規模で東京都心部の歴史的建造物や通常は内部に入れない建物が一般に公開されるのは本当に初めてのことです。」(倉方氏談)
「このような公開イベントのよいところは、もちろん、気になっていた建物、通常非公開の建物の中を見学できるということが1つ大きくありますが、それだけではなく、例えば、どれも現役の建物で、ふだん使われているものですから、こういった人たちが使っているんだとか、竣工年は古いけどこんなふうにリノベーション、改修して使い続けられているということも知ることができる絶好の機会となります。建物は使われなければ壊されてしまいます。建物を生かし続けることを可能にしている、その背景にあるストーリーもぜひ、感じ取っていただきたい。」(倉方氏談)
「初年度からこれほどの規模で開催できるとは正直、思っていませんでした。パートナー企業をはじめ関係各所に対し、この場を借りて御礼申し上げます。定員があるガイドツアーに対して僕たちの予想を超える応募もありました。当日は入場制限がかかる会場もあるかと思います。円滑な運営を手伝ってくれるボランティアスタッフに手を挙げてくれた皆さんにも感謝申し上げます。
当日は見学者からいろんな質問をされることでしょう。そういった人と人との出会いこそがとても重要で、とても良いことだと僕は考えています。教師と生徒といった教える側・教えられる側という立場ではなくて、建築を介して、人と人とが直に話をして、いろんな出会いが生まれる。例えば、僕の挨拶に先立ち、この会場(三越劇場)の副支配人である齊木由多加さんに、この劇場と建築の成り立ちについて簡単にレクチャーしてもらいましたが、三越という百貨店にこんなにも建築が大好きで詳しい方がいたのかと、今日ご来場の皆さんは初めて知ったのではありませんか? そういった経験ができるのも、建物公開イベントの良さだと思います。
この「東京建築祭」が、人と人、人と建物、そして人とまちとのさまざまな出会いの場になってほしいと願っています。」(倉方氏談 / 以上、2024年5月20日「東京建築祭」キックオフイベントでの主催者挨拶を『TECTURE MAG』編集部にて要約)
クラファン支援に対して、上記・キックオフイベントのほかにも、さまざまなリターンイベントが実施されました。
そのうちの1つが、会員以外は利用できない日本工業倶楽部会館の特別見学会です。
日本工業倶楽部会館は1920年(大正9)竣工。前述の三越劇場を内包した三越日本橋本店と同じく、横河工務所(現在の横河建築設計事務所)が設計し、近世復興様式を採用した洋風建築です。建物の老朽化などのため、取り壊しの危機を迎えましたが、建物の1/3に免震処置を施して保存、残りの部分を再現新築する方法で再生されました。
今回の特別見学会では、建物の保存・再生に関わった、三菱地所設計の野村和宣氏が講師を務め、明治維新以降の丸の内一帯および建物が面する和田倉通りが有する地域性、今日に至る歴史について紐解き、その後、同氏の解説によるガイドツアーが行われました。
日本工業倶楽部会館 特別見学会 開催概要
実施日:2024年5月11日(土)10:00-11:30
講師:野村和宣(三菱地所設計エグゼクティブフェロー、神奈川大学教授、東京建築祭実行委員)
会場:日本工業倶楽部会館
定員:40名(クラファン支援特典の1つ)
なお、建物の歴史などについては、一般社団法人日本工業倶楽部 公式ウェブサイトにも掲載されています。
実施日:2024年5月25日(土)、26日(日)
注.5月18日(土)〜5月24日(金)に実施する先行プログラムあり
開催エリア:日本橋・京橋、丸の内・大手町・有楽町、銀座・築地、ほか
参加建築:以下のほか、詳細は公式ウェブサイト参照
参加費:原則無料、ガイドツアーや各種イベントは有料あり
※一部イベントは予約制(申込受付はすでに締切)
特別公開(公式ウェブサイト掲載順):築地本願寺、三井本館、堀ビル(goodoffice新橋)、日証館、岡田ビル、三越劇場、安井建築設計事務所 東京事務所、東京ステーションホテル、*明治生命館(丸の内 MY PLAZA)、*新東京ビルヂング、*国際ビルヂング、丸石ビルディング、カトリック築地教会、神田ポートビル、旧宮脇ビル(川崎ブランドデザインビルヂング)、SHUTL(中銀カプセルタワービル カプセル再活用)、**井筒屋、江戸屋
[*]印の会場は5月23日〜25日開催、[**]印の会場は5月25日(13:00-15:00)のみ実施
※開場時間など詳細は「東京建築祭」公式ウェブサイトを参照(パンフレットPDFデータ[26.7MB]公開中)
神田
ガイドツアー(注.予約制、受付終了):Ginza Sony Park(建設中)、日本工業倶楽部会館、三越日本橋本店、meet tree GINZA、帝国ホテル東京、日比谷公園、リクルート九段坂下KSビル、TOKYO TORCH(建設中)、髙島屋日本橋店、旧東京中央郵便局、明治生命館、教文館・聖書館ビル、帝国劇場、東京會舘、市政会館、JINS東京本社、銀座ライオンビル、GINZA KABUKIZA(銀座 歌舞伎座)、銀座高木ビル、パインヒルI、水天宮ほか
連携企画(開催期間は店舗により異なる)
・銀座 蔦屋書店「東京建築祭ブックフェア」
・丸善ジュンク堂書店「東京建築祭を楽しむ」ブックフェア
見学サポート・無料巡回バス情報
計3系統:大手町・有楽町・丸の内「丸の内シャトル」、日本橋・京橋「メトロリンク日本橋」「メトロリンク日本橋Eライン」
https://tokyo.kenchikusai.jp/program/001053/
パートナー企業(主催者発表順、5月24日時点):ジンズ ホールディングス、山下PMC、竹中工務店、三菱地所設計、梓設計、安井建築設計事務所、日建設計、隈研吾建築都市設計事務所、久米設計、日本設計、DE-SIGNグループ、Tokyo Localized、NTTファシリティーズ
協力:一般財団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、一般社団法人中央区観光協会、一般社団法人東銀座エリアマネジメント、一般社団法人東京建築アクセスポイント、東京へリテージマネージャーの会、照明探偵団、マヌ都市建築研究所、フラットフィールドテクノロジーズ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [芸術文化魅力創出助成]
実行委員長:倉方俊輔(大阪公立大学教授)
実行委員:伊藤香織(東京理科大学教授)、田所辰之助(日本大学教授)、山﨑鯛介(東京工業大学教授)、野村和宣(三菱地所設計 エグゼクティブフェロー、神奈川大学教授)、松岡孝治(公益財団法人東京観光財団)、宮沢 洋(ブンガネット代表)、以倉敬之(合同会社まいまい 代表)
監事:田中 慎(税理士法人田中経営会計事務所 税理士)
事務局:合同会社まいまい
主催:東京建築祭実行委員会
「東京建築祭」公式ウェブサイト
https://tokyo.kenchikusai.jp/
「東京建築祭」公式SNS
Instagram
https://www.instagram.com/tokyokenchikusai/
X(旧Twitter)
https://twitter.com/tokyokenchiku
ハッシュタグ:#東京建築祭
「東京建築祭」YouTubeチャンネル
公開中のコンテンツ:#東京建築祭の歩き方ー特別公開建築を徹底解説ー(2024年5月7日ライブ配信のアーカイブ)
https://www.youtube.com/@tokyo_kenchikusai/featured
倉方俊輔氏によるオーディオガイド
※iPhone対応、予め端末に「まいまい京都アプリ」のダウンロード要(無料、ただしアプリとファイルのDLにかかる通信費は別途負担)
https://www.maimai-pocket.com/index.html#LogoTitle
東京初の大規模建築一斉公開イベント「東京建築祭」5/25-26開催決定! MOTION GALLERYでクラウドファンディングを開始