CULTURE

〈チームラボボーダレス〉がお台場から麻布台に移転

アマン、ジャヌなどが開業する新街区の地下空間にオープン予定【記者発表会レポート】

CULTURE2022.08.25

2023年に竣工・開業を目指して進行中の「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(2022年12月に新街区名称を「麻布台ヒルズ」と発表)の敷地内・地下空間に、、アート集団・チームラボの作品を展開するミュージアム施設がオープンすることが明らかになりました(2022年8月24日 森ビル+チームラボ共同記者発表会および両社それぞれのプレスリリースにて同日正午に発表)。

お台場〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉

「エプソン チームラボボーダレス」東京お台場 ©︎チームラボ

今年8月31日で閉館する、東京・お台場のミュージアム施設〈森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス〉(以下、チームラボボーダレスと略)の新たな移転先として発表されたもので、ティザーサイトもこのほどオープンしました。
新たな施設は、森ビルが進める「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の開業スケジュールにあわせ、2023年に竣工・開業を予定しています(その後、開業日を2024年2月9日と発表)。

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」とは

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は、地下鉄神谷町駅と六本木1丁目の中間エリアにて、森ビルが進めている、約8.1ヘクタールの開発区域面積を有する大型再開発事業です(※2022年12月14日に正式名称を「麻布台ヒルズ」と発表 / 森ビルプレスリリース)。

森ビル「虎ノ門・麻布台プロジェクト」

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」平面計画図 ⒸDBox for Mori Building Co.

森ビル「虎ノ門・麻布台プロジェクト」

「麻布台ヒルズ」全景イメージ(神谷町側 / C街区側より) Ⓒ DBox for Mori Building Co., Ltd.

2019年に森ビルが事業計画の概要を発表し、2021年2月には、大きく4つに区分される街区に、オフィス、住宅、商業施設、ホテルなどが建設され、建築・デザインの領域で、ペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ(PCPA)、ヘザウィック・スタジオ、藤本壮介建築設計事務所など、国内外の著名事務所が参画することなどが発表されています(詳細は『TECTURE MAG』2021年2月19日ニュースを参照)。

森ビルとAmanが提携、アマンレジデンス 東京とジャヌ東京が〈麻布台ヒルズ〉に2023年開業

なかでも注目を集めているのが、世界的なラグジュアリーブランド・アマンのブランデッドレジデンス〈アマンレジデンス 東京〉と、同ブランド系列のホテル〈ジャヌ東京〉の開業です。

この地に移転する〈チームラボボーダレス〉は、〈アマンレジデンス 東京〉が高層部に入るA街区のタワー棟と、〈ジャヌ東京〉が入るB-2街区のタワー棟、住宅とオフィスが入る低層のC街区に囲まれた、中央広場の地下に建設されます。

森ビル「麻布台ヒルズ」

中央広場(イメージ) ©︎ DBox for Mori Building Co., Ltd.

森ビル「虎ノ門・麻布台プロジェクト」

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」立面計画図 ⒸDBox for Mori Building Co.

より「ボーダレス」な世界へと進化

現時点で、虎ノ門・麻布台プロジェクトの文化施設〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉の床面積や、展示されるアート名と構成は非公開。チームラボと森ビルの両者により、今後検討が重ねられ、決定するとのこと。
但し、「境界のない1つの世界の中で、さまよい、探索し、発見する」という、〈チームラボボーダレス〉の基本コンセプトは踏襲されます。

お台場〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉

「エプソン チームラボボーダレス」東京お台場 チームラボ〈呼応するランプの森 – ワンストローク〉 ©チームラボ ※移転先での展示は未定

ギネス認定されている〈チームラボボーダレス〉

〈チームラボボーダレス〉は、森ビルとチームラボが共同で運営するミュージアム施設です。2018年6月に東京・お台場にオープンしました。
同エリアにある日本科学未来館を会場に、2014年11月から翌年5月にかけて開催された特別展「踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」では来場者数が45万人以上を記録。その後も国内各地で開催した特別展で軒並み好評を博したチームラボですが、8月24日の記者発表に出席した、チームラボの工藤 岳氏の回想によれば、「4年前の開業時は本当に人が来てくれるのかわからず、不安だった」とのこと。

お台場〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉

「エプソン チームラボボーダレス」東京お台場 建設中の場内 ©チームラボ

〈チームラボボーダレス〉の館内には、フロアマップや動線を敢えて用意せず、「地図のないミュージアム」として、約1万m²広さに、作品同士の境界がない、どこまでもつながっているアート群を展開。その多くは、人のふるまいによってインタラクティブな反応を示し、同じ瞬間は二度とない、そのとき・その人にしか訪れないアート体験を提供しています。

お台場〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉

「エプソン チームラボボーダレス」東京お台場 チームラボ〈地形の記憶〉季節限定作品「川とフナ」 ©チームラボ ※移転先での展示は未定

2019年1月1日から12月31日までの1年間の来館者数の合計は、219万8284名となり、単一アート・グループとして世界で最も来館者が多い美術館「Most visited museum (single art group)」として、ギネス世界記録に認定されています[*1]
*1.同認定において、ギネス側はカテゴリー「単一アート・グループ (single art group)」を新設。アーティストではなく、アートコレクティブ(アート集団)として認定されている(2022年8月24日共同記者説明資料より)

さらには、米国のTIME誌の特集「世界で最も素晴らしい場所 2019年度版(World’s Greatest Places 2019)」に選出されたほか、第25回ティア・アワード(Thea Awards)にて、優秀功績賞(Thea Awards for Outstanding Achievement)を受賞するなど、国内外から高く評価されているミュージアムです。

お台場〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉

「エプソン チームラボボーダレス」東京お台場 チームラボ〈追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく〉 ©チームラボ ※移転先での展示は未定

東京・日本のデスティネーションに

チームラボによると、来館者数の内訳は、国内と海外でおよそ50%ずつで、そのうち、海外からの来館者を国別でみると、1位はアメリカ、次いでオーストリア、中国。さらに、同社の調べによれば、彼らの半数が「〈チームラボボーダレス〉を目的に来日した」と答えているとのこと(2022年8月24日共同記者説明資料および説明より)。
経済的な波及効果も高く、施設最寄のゆりかもめ青海駅の乗降客数は、開館前の2017年に比べ、2年後の2019年には約1.9倍に。隣接していた商業施設(パレットタウン)においても、同様の来館者数の増加(約1.5倍)がみられたとのこと(準拠:同上)。

森ビル+チームラボ 記者発表会

森ビル+チームラボ 共同記者発表会の様子(左:杉山 央氏、右:工藤 岳氏)

8月24日にお台場で行われた記者説明会に登壇した、森ビルの杉山 央氏(新領域企画部)は、移転先として、都心の虎ノ門・麻布台を選んだ理由を2つ挙げています。1つは、森ビルが進める”まちづくり”において、文化・芸術の要素を付加したいこと、2つめには、納材業者を含めた来館者の利便性の向上を図りたいとのこと。
世界の人々を魅了する「東京・日本のデスティネーション」としての地位を強化させていく考えです。

現時点では、展示する作品の詳細は未定ながら、チームラボの工藤氏は「よりボーダレスなミュージアム施設となります」と宣言。
「お台場でのこの4年間の展示は、人知れず進化を続けてきた。たとえば、コロナ禍以降では、感染症対策として、それまで人の手が触れないと反応しなかった作品を、触れる手前で感知するように変更したり、最近では、上海に展示中の作品とも連携させている。移転先の虎ノ門・麻布台においても、展示する作品やアート体験をより進化させ、よりボーダレスな体験を人々に提供する空間となる予定です。」(工藤氏談)

〈森ビル デジタルアート ミュージアム:チームラボボーダレス〉

「チームラボボーダレス」 東京 虎ノ門・麻布台プロジェクト © チームラボ

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」新ミュージアム ティザーサイト
https://www.teamlab.art/jp/e/borderless_azabudai/

虎ノ門・麻布台プロジェクト 詳細
https://www.mori.co.jp/projects/toranomon_azabudai/

チームラボ 概要

アートコレクティブ。
2001年から活動を開始。集団的創造によって、アート、サイエンス、テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的な学際的集団。アーティスト、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など、さまざまな分野のスペシャリストから構成されている。
チームラボは、アートによって、自分と世界との関係と新たな認識を模索したいと思っている。人は、認識するために世界を切り分けて、境界のある独立したものとして捉えてしまう。その認識の境界、そして、自分と世界との間にある境界、時間の連続性に対する認知の境界などを超えることを模索している。全ては、長い長い時の、境界のない連続性の上に危うく奇跡的に存在する。
ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、シリコンバレー、北京、メルボルンなど世界各地でアート展を開
催。ミュージアム・大型常設展を東京・お台場「チームラボボーダレス」、東京・豊洲「チームラボ
プラネッツ」、上海「teamLab Borderless Shanghai」、マカオ「teamLab SuperNature Macao」などで開館したほか、今後も、アブダビ、ジッダ、ハンブルク、北京、ユトレヒトなどに施設をオープン予定。
チームラボの作品は、ロサンゼルス現代美術館(ロサンゼルス)、ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(シドニー)、南オーストラリア州立美術館(アデレード)、サンフランシスコ・アジア美術館(サンフランシスコ)、ア
ジア・ソサエティ(ニューヨーク)、ボルサン・コンテンポラリー・アート・コレクション(イスタンブール)、ビクトリア国立美術館(メルボルン)、アモス・レックス(ヘルシンキ)に収蔵されている。
teamLab Website
http://teamlab.art/jp/
SNS
https://instagram.com/teamlab/
https://www.facebook.com/teamLab.inc
https://twitter.com/teamLab_news


#森ビル YouTube公式チャンネル:”ヒルズの未来形”「虎ノ門・麻布台プロジェクト」イメージムービー(2019/08/22)

チームラボ プレスリリース(2022年8月24日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000855.000007339.html

森ビル プレスリリース(2022年8月24日)
https://www.mori.co.jp/company/press/release/2022/08/20220824120000004369.html

「麻布台ヒルズ」名称決定プレスリリース(2022年12月14日)
https://www.mori.co.jp/company/press/release/2022/12/20221214100000004425.html

 

新街区「麻布台ヒルズ」11/24開業、商業施設、オフィス、ウェルネス、ギャラリー、グリーンを複合・集約したコンパクトシティ[内覧会レポート]

開業日決定 プレスリリース(2023年12月21日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000996.000007339.html

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