黒川紀章(1934-2007)が設計した、東京・中央区に現存する〈中銀カプセルタワービル〉を後世に引き継ぐことを目的に、さまざまな活動をおこなっている、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト(東京都中央区、代表 前田達之)が、書籍『中銀カプセルスタイル~20ストーリーズ~(仮)』の出版に向けたクラウドファンディングを開始しました(同プロジェクト 2020年8月21日プレスリリース)
中銀カプセルタワーは、日本におけるメタボリズム建築の代表作です。日本はもちろん海外からの人気も高い建物で、ハリウッド映画やドラマ、ミュージックビデオなどにも頻繁に登場します。
奇抜な外観とカプセルを交換することができるメタボリズムのコンセプトに注目されがちですが、10平米の狭小空間をカスタマイズしながら楽しむ人が増加し、幅広い年代層で人気が高まっています。
このクラウドファンディングは、普段は見ることができないカプセル内部の魅力を伝えることで、多くの人に保存活動への興味を持ってもらうことを目的としています。
今回の書籍出版は、共に青月社から刊行された書籍、2015年の『中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟』と、2017年『中銀カプセルガール』に続く「カプセル本」の第三弾として企画されました。一般的に知られているメタボリズムのコンセプトや外観にはあえてフォーカスせず、カプセルの内部と人を主役に据えています。
書籍概要(予定)
書名(仮):『中銀カプセルスタイル 20ストーリーズ 』
編著:中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト
判型:A4変型判(天地210×204mm)
装丁:並製128ページ、カラー/モノクロ
予価:2,420円(税込)全国書店にて流通
編集・発行:草思社
刊行予定:2020年11月
48年前のオリジナルの内装を残したカプセル以外にも、和室やアンティーク調にリノベーションされたものや、最新のデジタル機器を備えたものなど、同じカプセルとは思えないほど多様な内側を紹介します。
また、住居や事務所、セカンドハウスなどさまざまな用途で活用している“人物”にもスポットをあて、それぞれのカプセルスタイルについて語ったテキストも収録しています。
クラウドファンディングのリターンは、書籍のコンテンツを中心に、撮りおろし写真で作成した卓上カレンダーや、20カプセルの内部と住人のインタビューを記録した映像DVD、書籍巻末への氏名クレジットなどを用意。なかでも映像DVDは、1カプセル2分程度のものを20カプセル、約40分にわたり、360度で撮影したカットや、リアルな住人の声なども収録し、カプセルの空気感が伝わってくる充実の内容です。建物の管理組合の承認を得ており、普段は撮影することができないロビーや階段などの共有部の映像も含まれています。
#保存・再生プロジェクトNakagin Capsule Tower YouTube公式チャンネル「中銀カプセルスタイル(Nakagin Capsule Style)DVDダイジェスト版(1カプセル/20カプセル)」(2020/08/20)
2018年6月には、カプセルタワービルの地主であり、約3割の議決権所有者であった中銀グループが、同社の権利を投資グループに売却しています。現在、投資グループの議決権は6割を超え、8割以上になった場合、建物解体への動きが加速します。
中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクトでは、カプセルの交換施策などさまざまな提案を行っていますが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で白紙に戻ってしまったプランもあり、極めて厳しい立場に置かれているとのことです。(en)
#保存・再生プロジェクトNakagin Capsule Tower YouTube公式チャンネル「中銀カプセルスタイル(Nakagin Capsule Style)DVDダイジェスト版」(2020/08/20)
「中銀カプセルタワーが今こそスゴイ! 普段は見られないカプセルの内側に迫り、20のストーリーを紹介する、出版プロジェクト」
https://motion-gallery.net/projects/capsulestyle
中銀カプセルタワービルの保存・再生を目的に2014年にオーナーや住人で結成。カプセル見学ツアーや、1カ月間から宿泊が可能なマンスリーカプセルの運営を行うことで、多くのカプセルファンを獲得してきた。建築好き以外の層を取り込むために、カプセルに関連した各種イベントも開催。メディア対応や、ファッション・MV撮影の補助も行っている。
公式ウェブサイト:https://www.nakagincapsuletower.com/