
2025年7月22日初掲、7月24日関連イベント情報追記
東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間にて、20組の若手建築家たちによるグループ展「新しい建築の当事者たち」が7月24日より開催されます。
本展では、現在開催中の「2025年日本国際博覧会(EXPO 2025 大阪・関西万博、以下「万博」と一部で略)」において、公募当時で1980年1月1日以降生まれの一級建築士事務所の開設者を対象として、万博会場のトイレ・休憩所・展示施設・ギャラリー・ポップアップステージ・サテライトスタジオの設計者を決める「休憩所他 設計業務 公募型プロポーザル」にて選出された20組の建築家たちが、万博開催期間中に利用を限った仮設建築物をつくるという前提のもと、それぞれに提案した各施設を実現するまでの道のりを、スタディ模型などのさまざまな資料を展示して振り返ります。
彼らの取り組みを通して、今日の複雑な社会状況に主体的に関わり、それに応えようとする、”新しい建築の当事者”の像を浮かび上がらせ、人々と共有することを試みるものです。
本展開催に向けたディスカッションの様子(撮影:根本友樹)
出展者 ※順番は任意、 [カッコ内]は事務所名
[GROUP]井上 岳、棗田久美子、齋藤直紀、中井由梨、赤塚 健
[大西麻貴+百田有希 / o+h]大西麻貴、百田有希
[KIRI ARCHITECTS]桐 圭佑
[工藤浩平建築設計事務所]工藤浩平
[KUMA&ELSA]隈 翔平、エルサ・エスコベド
[studio m!kke + Yurica Design and Architecture + Studio on_site]小林広美、竹村優里佳、大野 宏
[小俣裕亮建築設計事務所/new building office]小俣裕亮
[KOMPAS]小室 舞
[t e c o]金野千恵
[斎藤信吾建築設計事務所+Ateliers Mumu Tashiro]斎藤信吾、根本友樹、田代夢々
[axonometric]佐々木 慧
[一般社団法人コロガロウ / 佐藤研吾建築設計事務所]佐藤研吾
[PONDEDGE+farm+VOID]鈴木淳平、村部 塁、溝端友輔
[ナノメートルアーキテクチャー]野中あつみ、三谷裕樹
[MIDW+Niimori Jamison]服部大祐、新森雄大
[AHA 浜田晶則建築設計事務所]浜田晶則
[萬代基介建築設計事務所]萬代基介
[三井嶺建築設計事務所]三井 嶺
[山田紗子建築設計事務所]山田紗子
[米澤隆建築設計事務所]米澤 隆
大阪・関西万博 休憩所他 設計業務 公募型プロポーザル 実施概要と審査結果
現地レポート
EXPO 2025 見るべきトイレ、休憩所、展示施設、ギャラリー、ポップアップステージ、サテライトスタジオ
「1980年1月1日以降生まれの一級建築士事務所の開設者であり、建築士法に基づく一級建築士の資格取得者であること」を応募資格として実施されたプロポーザルで選出された建築家による20の施設 ※KUMA&ELSA提供の〈トイレ6〉を除き TEAM TECTURE MAG 撮影
展覧会コンセプト
新しい建築の当事者たち
社会状況の複雑さが加速的に進むこの時代において、建築は何を提案することができるでしょうか。
建築に関わる人は生産者と消費者に分かれ、また高度に産業化された建材・構法によって機械的に建築がつくられるように、建築を取り巻く状況はますます専門化、細分化され、建築に関わることの主体性が失われつつあるように思われます。一方、そのような状況での建築家の取り組みとして、建築の企画から運営まで参画することで、作り手と使い手の関係を再構築することや、これまで建材として扱われてこなかった素材を活用するための仕組みをつくること、作り手としてその場所で入手可能な素材、技術を収集してつくること、資源の循環の中に身を置いて建築や解体後の材料を取り扱うことなども見られるようになりました。
わたしたちは「EXPO 2025 大阪・関西万博」において、休憩所、イベントステージ、トイレ等施設の設計者選定プロポーザルで選定された建築家たちで、それぞれが博覧会のための施設にとどまらない提案を行なっており、その実践は「今、建築に関わること、建築の当事者であることとはどういうことか」という問いを浮かび上がらせています。本展では、万博に関わってきたわたしたちそれぞれの背後にある思想や発想のルーツ、実現に向けたプロセスや博覧会後の構想などを展示します。単に所与の条件を解いて計画することにとどまらず、自らが当事者として建築にまつわるさまざまな局面に参画することに、建築の主体性を回復する糸口があるのではないでしょうか。それはまた「なぜつくるのか」といった建築に宿命的についてまわる問いへの等身大の回答でもあります。
建築の主体を新しい視点で捉え、既存の枠組みや制約を乗り越えようとする群像景を通して、これからの建築を展望する手がかりとしたいと考えています。「新しい建築の当事者たち」展実行委員 工藤浩平、小俣裕亮、桐 圭佑、國清尚之
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施設検討段階のドローイング ©「新しい建築の当事者たち」出展者
展示検討段階の模型とモックアップ ©Jumpei Suzuki
本展監修者・アドバイザーからのメッセージ
子供たちがいる社会にこそ未来があるように、建築の概念を更新し続ける新しさにこそ、この先への希望はある。
しかしその新しさはもはや、1970年の万博の時代とは異なる。建築家はもはやエリートではない。建築家とは、当事者として状況に巻き込まれ、あるいは異なる立場の多くの当事者たちを巻き込んで、建築を未知の領域にまで押し拡げていく人々のことだ。万博というまたとない機会をいかして、建築の新たな生み出され方を追求する人々のことだ。徹底的な議論が放つ切実な輝きは、あるうねりとして語りかけてくる。考えよ。行動せよ。その先に未来がある。
平田晃久(「新しい建築の当事者たち」展 監修者)
「新しい建築の当事者たち」展監修者 平田晃久 いつの時代も若者が未来をつくっていく。今回の20組の建築家たちのもっとも素晴らしい特質とは、誠実さだと思う。それぞれ違った視点をもちながらも、各自のさまざまな状況にとことん誠実であり、素材に、テクノロジーに、地球環境に、建築そのものに、社会や人に、どこまでも誠実だ。そして徹底的に誠実であるがゆえに、我々の社会や常識の歪みをあぶり出す。誠実であることが違和感となる社会に僕たちは生きている。彼らの、時に泥臭く、時に優しさに満ちた誠実な眼差しの先に、僕たちはこの先の建築の希望を感じ取るに違いない。
(藤本壮介「新しい建築の当事者たち」展 アドバイザー)
タイトル英語表記:Emerging Architecture, Own Ways exhibition with 100 questions
出展者:前述・上記のとおり
会期:2025年7月24日(木)~10月19日(日)
開館時間:11:00-18:00
休館日:月曜・祝日・夏期休業期間(8月11日[月]~8月18日[月])
入場料:無料
会場:TOTOギャラリー・間
所在地:東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F(Google Map)
電話番号:03-3402-1010
主催:TOTOギャラリー・間
企画:TOTOギャラリー・間運営委員会(特別顧問:安藤忠雄、委員:貝島桃代、平田晃久、セン・クアン、田根 剛)
監修:平田晃久
アドバイザー:藤本壮介
実行委員:工藤浩平、小俣裕亮、桐 圭佑、國清尚之
会場構成:佐々木 慧
グラフィックデザイン:村田 塁(farm)
後援:一般社団法人東京建築士会、一般社団法人東京都建築士事務所協会、公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部、一般社団法人日本建築学会関東支部、公益社団法人日本建築士会連合会
協力:藤本壮介建築設計事務所
本展詳細
https://jp.toto.com/gallerma/ex250724/index.htm
「新しい建築の当事者たち」ポスター ©Jumpei Suzuki
※決まり次第、TOTOギャラリー・間 ウェブサイトにて発表 →追記:7月23日 15:00に「プレゼンテーションイベント」「ディスカッションイベント」「ファミリーイベント」の発表あり
TOTOギャラリー・間 ウェブサイト
https://jp.toto.com/gallerma
『TECTURE MAG』では、大阪・関西万博プレスデーにて現地を取材。各種レポートをはじめ、本展で紹介される各施設についても設計コンセプトや竣工写真などで詳しく紹介しています。詳細は特集「EXPO2025 -建築からみた万博-」にて。