京都市左京区の京都市京セラ美術館にて、「中立点|In-Between ―第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示帰国展」(以下、帰国展と略)が3月1日まで開催されています。観覧無料の企画展です。
会場の桜水館は、2020年に京都市美術館が京都市京セラ美術館としてリニューアルオープンするまで事務所棟として使われていた建物で、現在は改修工事の途中[*1]。外周部に工事用の足場が組まれ、内部もまだ荒々しい状態の空間が、昨年イタリア・ヴェネチアで行われた国際建築展[*2,3]の日本館展示を再構築して伝える舞台となっています。帰国・凱旋展が東京以外で開催されるのは今回が初めて。

改修工事途中の旧事務所棟・桜水館が本展の会場 Photo: TEAM TECTURE MAG
*1.外観を生かしたまま文化的要素を有する施設に改修予定
*2.ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(Venice Architecture Biennale: 本稿ではVABと略す):イタリア・ヴェネチアで隔年開催。日本の展示は、日本館展示と企画展があり、日本館展示では国際交流基金が毎年キュレーターを選定し、建築家の吉阪隆正(1917-1980)の設計で1956年にジャルディーニ地区の公園内に建てられた〈日本館〉で展示を行うのが通例。日本館展示とともに別会場でも行われる企画展を含めた詳細は、国際交流基金ウェブサイトの記載が詳しい
*3.第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展:イタリア人建築家のカルロ・ラッティ(1971-)が総合ディレクターを務め、総合テーマ:知性/自然/人工/集合知(Intelligens. Natural. Artificial. Collective.)のもと、出展者それぞれに展示が行われた(会期:2025年5月10日~11月23日)

旧事務所棟・桜水館 Photo: TEAM TECTURE MAG
『TECTURE MAG』では、開幕前に京都市京セラ美術館で行われたプレス内覧会を取材。同美術館の館長で、昨年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示(以下、VAB日本館展示と一部で略)のキュレーターを務めた建築家の青木 淳氏ら関係者に話を聞きました。
第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示および同帰国展 関係者
キュレーション・チーム
青木 淳(キュレーター)
1956年横浜生まれ。建築家。1982年東京大学修士課程建築学修了。1991年青木淳建築計画事務所(現在、ASに改組)を設立、主宰。京都市美術館(通称:京都市京セラ美術館)館長。東京藝術大学名誉教授家村珠代(キュレトアリアル・アドバイザー)
1960年東京生まれ。インデペンデント・キュレーター。1992年東京藝術大学博士課程満期修了。1991年から2009年まで目黒区美術館学芸員。2016年より多摩美術大学芸術学科教授出展作家チーム
藤倉麻子+大村高広
藤倉麻子
1992年埼玉生まれ。アーティスト。2016年東京外国語大学外国語学部南・西アジア課程ペルシア語専攻卒業。2018年東京藝術大学大学院メディア映像専攻修了大村高広
1991年富山生まれ。Office of Ohmura主宰。2020年東京理科大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。博士(工学)。2023年より茨城大学工学部都市システム工学科助教SUNAKI(木内俊克&砂山太一)
木内俊克
1978年東京生まれ。SUNAKI共同代表。京都工芸繊維大学 未来デザイン工学機構 特任准教授。2004年東京大学建築学専攻修士課程修了砂山太一
1980年京都生まれ。SUNAKI共同代表。京都市立芸術大学美術学部総合芸術学専攻 准教授。東京藝術大学大学院美術研究科建築研究領域博士後期課程修了。博士(美術)日本館展示撮影:高野ユリカ#開幕前日に本館地下講堂で行われた記者発表会の様子(左から、藤倉麻子、大村高広、土屋隆英[京都市京セラ美術館 企画学芸課長]、青木 淳、家村珠代、砂山太一、木内俊克の7氏) Photo: TEAM TECTURE MAG
青木氏は、約3年にわたる本館の改修工事を建築家の西澤徹夫氏と共同(青木淳・西澤徹夫設計共同体)で手がけ、2019年4月1日付で同館の館長に就任している
動画編集:高橋りかこ
帰国展会場 桜水館とは
2025年VAB日本館展示の概要
吉阪建築・日本館の床の「穴」
・作家チーム / 藤倉麻子+大村高広 | 建築家チーム / SUNAKI
ヴェネチアから京都に展示を「平行移動」
・藤倉麻子+大村高広作品の再構築(2階)| SUNAKI作品の再構築(1階)|概要展示(1階)
アーキペラゴな関係性に希望を見出すVAB日本館展示
帰国展 関連情報

本館東側に広がる日本庭園を挟んで新館キューブの対面にある桜水館(画面中央付近) ※2023年5月撮影 Photo: TEAM TECTURE MAG
会場の桜水館は、1933(昭和8)年に大礼記念京都美術館としてオープンした本館と同時期に建てられました。規模は地下1階+地上2階。見た目の印象とは異なり木造です。
館長の青木氏によれば、戦後に本館がGHQに接収されていたあいだに一度だけ展覧会が行われたといい、それ以来の展示利用となります。これまで非公開の建物であり、改修途中の内部に入ることができる、貴重な機会です。

Photo: TEAM TECTURE MAG

建物の出入り口には「事務所棟」の札が残されたまま Photo: TEAM TECTURE MAG
帰国展は、VAB日本館展示を、桜水館の空間へ作品を寄せながら再構築したものです。
ヴェネチアでの展示がどのようなものだったのかを事前に頭に入れておくと、帰国展への理解がより深まることでしょう。以下、青木館長の解説をもとに概要をまとめました。
VABでは開催年ごとに定められるテーマのもと展示が行われます[*3]。昨年は「Intelligens. Natural. Artificial. Collective.(知性。自然。人工。集合。)」で、環境問題へのアプローチが求められたとのこと。地球温暖化の悪影響が世界各地でみられ、なかでも潮位上昇による水害が近年顕著な水の都・ヴェネチアでは、巨大な可動式水門で高潮を食い止めようとする「モーゼ・プロジェクト」が進行中であり、この都市ならではのテーマだったといえます。
「そこで僕たちが考えたのは、自然を制御しようなんて人類の思い上がりであろうと、それぞれ同等の関係なのだという、このマインドセットから始めないと、解決もなにもできないんじゃないかということ。太古の昔、人と動物は対等の関係にあり、そして植物と昆虫のあいだには我々とは異なる質のコミュニケーションが存在するとする学説もあります。人と自然、人とモノとを同等・同列に捉え直そうとしたとき、もしかすると、AIという最新の知能をそこに介在させれば、これまでにない新たな関係性が生まれるかもしれない。種と個体数が爆発的に増え、生物でいえばカンブリア紀にあたる現在のAIが、その過渡期を超えた近い未来では、AIを介した人と自然、人とモノとの対話が今よりも可能になっているかもしれない。この仮説に基づいて、吉阪隆正が設計した建築を舞台に、2025年5月から約半年にわたって企画展を行いました」(青木氏談)
吉阪が設計した日本館は、2階の床の中央に四角い穴が開いているのが大きな特徴です(後述する藤倉麻子と大村高広の両氏による展示の風景画像を参照)。設計当時の資料をあたった青木氏は「最初のプランはこれとは異なるものだったので、何らか日本的な要素を求められた吉阪が意図的にこの穴をあけたと思われる」と分析しています。
「日本館の展示では、この穴をどのように扱うかがいつも課題となります。穴を作品の一部に取り組んでしまうか、いっそ隠すか。過去の日本館展示ではこの2択だったところ、僕たちは、穴を穴としてあるがまま存在させ、日本館のほかの建築的エレメント(要素、モノ)とともに、今回の展示のストーリーにアクター(演者)として登場させることにしました」(青木氏談)

吉阪建築・日本館を構成するエレメントについて説明する青木氏 Photo: TEAM TECTURE MAG
画面の「斜めループ」は初期の名称で「動線リング」を指す
そのストーリーというのが、日本館を構成する7つのエレメント、すなわち「穴」、「柱」、「壁」、「煉瓦テラス」、「イチイの木」、「動線リング」、「階段庇」が、情報の交換(対話)をはじめるというもの。キュレーターと作家がひとつのチームとなり、脚本がつくられました。物語の主人公に据えたのは「穴」。日本館出展者に難儀な存在だと思われていることを知っている、存在価値に思い悩む台詞が与えられています。「穴」の吐露に対し、壁柱らほかの演者が反応、自分語りのような会話が展開していきます。作家チームがブラッシュアップした台詞は、戦前から続く日本館の歴史や都市のエポックメイキングについても触れており、日本館および展示を理解する助けとなります。
2階の映像インスタレーションを制作したのは、藤倉麻子と大村高広の両氏によるユニットです。「AIの力を借りて人間と非人間との対話が成立しうる少し先の未来」という設定に基づき、さきの日本館を構成するエレメントと人間との対話が展開されます。
ひとつのスクリーンには、90代・70代・30代・40代・10代(本稿の並びは脚本記載より)と設定された人間が登場、円卓で食事をとる実写映像。もう一方のスクリーンには、対話で発せられた言葉を色彩・構図・動きといった映像的要素へと翻訳することで構築されたフィクショナルな3DCG映像が流れます。
また、アクターが日本語で喋り出すと、モニターにその英訳が表示され、会場内に近接して展示されている日本館の模型にスポットがあたり、どのエレメントに該当したセリフなのかを補足します。
下の画像2点がVAB日本館での展示風景です。それぞれ異なる表現の作品ながら、相互補完の関係にあります。

第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展⽇本館展⽰⾵景(2階) ©⾼野ユリカ
フロア中央、ガラスに囲われているのが吉阪が設けた「穴」。実写の映像作品が向かって右側。対する左側は藤倉氏によってつくられたフィクショナルな3DCG映像
2階の作品群を担当した作家のひとり、大村高広氏は、本作について次のように説明しています。
「この脚本をどのように表現したらいいのか、AIにはできない、人間たちが食事をしているシーンとともに進行させるのがいいだろうと考えました。食事が進んで料理が減っていく過程は、竣工してからの時間は巻き戻せない、不可逆的であることを示しています。イメージしたのは、家で食事をしながら皆でテレビを見ているような、他愛のない会話がずっと続いていく感じ。人間のアクター同士がギクシャクしているようにみえるのは演出です。17分33秒の映像を見終えると、日本館への理解がなんとなく深まっている、そんな作品になっています」(大村氏談)
※本作については、窓研究所ウェブサイトへの大村氏の寄稿が詳しい
https://madoken.jp/series/37904/
そして2階の穴から見下ろせる1階ピロティと建物および外周部では、上階の映像作品ともリンクした立体作品を、建築家の砂山太一と木内俊克の両氏によるユニット・SUNAKIが制作しています。
SUNAKIは、本展の柱となる生成AIの制作(後述)と、7つのエレメントのうち実体がない2つ、「穴」と、建物の外を巡る人の動線の軌跡である「動線リング」にかたちを与えて作品化することを試みました。
「穴」の表現としては、上階の映像で主人公の「穴」の発話と連動して、四角い穴の直下に設置された銅製の立体作品(皿)に光があたり、穴を介して上階の点上に四角い光のかたちがあらわれます。
「動線リング」の表現では、3Dプリントでパーツを粘土出力してつなぎあわせたプランターを用意。日本館をぐるりと1周できるルートにこの〈土レール〉を配置しています。プランターの植物には、作品の一環として現地スタッフが水をやって育てていたとのこと。

第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展⽇本館展⽰⾵景(1階 ピロティ) ©⾼野ユリカ
SUNAKIが制作した皿状の銅製立体作品と、3Dプリント出力されたパーツをつなぎあわせた〈土レール〉のはじまりを確認できる
SUNAKIはさらに、日本館の7つのエレメントにまつわる情報をもとに、それぞれの生成AIを作成しています。上階の映像作品で繰り返される会話と同期して、7つのエレメントがリアルタイムで思考して会話を行うプログラムをつくり、結果的に、ヴェネチアでの会期中に対話のバリエーションは2万を超えたとのこと。その”進化した台詞”は、1階に設置した携帯端末(iPhone)の画面に表示されて流れ続け、来場者が読めるようになっていました。
量子力学の領域で称されるパラレルワールド(並行世界)、そして日本の神話や民間伝承などにも見られる「あちらとこちらの世界」の世界観を暗示している作品です。
ヴェネチアでの展示では、青木氏は企画当初から、日本館の四角い穴を介して、あちら側とこちら側、現実と非現実、リアルとフィクショナルないしはバーチャルという相反するものが逆転する、そんな現象を創出したいと考えていたといいます。
「ピロティから穴の向こうの2階を見上げると、そこで展開されているのはフィクションの映像作品なんだけれども、どこかリアルさが感じられる。逆に2階から見下ろすと、ピロティの光景は現実ではないように思える。これは事前に日本館をチームで見学したときにも感じていたことで、そのときの体験をうまく表現できたと思っています」(青木氏談)
#Japan Foundation 国際交流基金YouTubeチャンネル:青木淳「中立点」第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示 ※ダイジェスト版(2025/05/08)
#Japan Foundation 国際交流基金YouTubeチャンネル:青木淳「中立点」第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示 ※ロングバージョン(2025/07/23)
このように、ヴェネチアでの展示は、吉阪建築と密接に結びついたサイト・スペシフィックなものでした。そのため、構成要素をそぎ落とした一般的な美術館のホワイトキューブでは展示が成立しません。桜水館のフロアに「穴」はないものの、桜水館の建物は内装が解体され、構造体である柱や壁はむき出しの状態、開口部からは周辺の緑が見え、風も入り込んでくるなどの点が、VAB日本館の「穴」のあり方と共通していることから、青木氏はヴェネチアでの展示の文脈をここに移植できると考えたとのこと。
2組の作家はVAB日本館展示での模索をあらためて見つめなおし、それぞれ作品展示を行なっています。

「中立点|In-Between ―第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示帰国展」桜水館1階展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館2階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館2階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館2階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館2階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館2階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館1階 SUNAKI作品展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG
1階では、改修工事前のがらんどうを斜めに貫通するようにして、銅製の細長い立体が円弧を描いて展示されています。
「桜水館の展示は、私・砂山と木内のほか、SUNAKIのコレクティブメンバーである寺岡波瑠と、サポートメンバーの好田一生とともにゼロから考えてつくりました。まず我々は、日本館という固有の条件と強く結びついていたインスタレーションを、そのまま桜水館に移植することはできないということから出発しました。今回の展示は、VABにおける「IN-BETWEEN」展の〈動線リング〉を概念的に翻訳し、場所の固有性を、遠隔地の環境下に重ね合わせる最小限の試みです。」(砂山氏談)
「ここでは、リングを物体としてではなく、考え方として京都へ移動させています。地表に沿って運ぶのではなく、宇宙的な基準で平行移動させると、ヴェネチアの地面は京都において約84.7度傾き、斜めのリングはほぼ垂直の軸として現れます。空間内のグレイに塗られた部分がヴェネチアの地中にあたります。」(寺岡氏談)
そして桜水館の地面に半分埋められているiPhoneもSUNAKI作品です。中途半端にもみえる傾きは、ヴェネチアの会場にてモニター画面として機能したこの端末が、同地にあったときの角度をそのまま、京都に「平行移動」させていることを示したものです。

Photo: TEAM TECTURE MAG

Photo: TEAM TECTURE MAG

Photo: TEAM TECTURE MAG

Photo: TEAM TECTURE MAG
「この立体作品は、紐が垂れたときにできる懸垂曲線ではなく、”むくり”をつけています。両端でそれぞれ反対方向にかけた微妙なねじり具合によって、このかたちと構造が成立しています。ヴェネチアでのリングの状態を、異なる経緯度の地点に平行移動させることは、角度が変わり、異なる重力方向を与えることになる。その結果、その移植先の場所に応じた固有の形や構造的な条件がリングに出てきます」(木内氏談)
宇宙からの視点で「平行移動」させるという展示概念は、地球上のどの場所でも展開が可能であるとSUNAKIは考えています(実際に昨年、チェコでのグループ展において、VAB日本館展示の〈土レール〉から派生した展示を行っている)。京都市京セラ美術館では、このSUNAKIの展示概念を作品として所蔵する予定とのこと。

展示の「平行移動」概念イメージ Photo: TEAM TECTURE MAG

3Dプリントによるプランター〈土レール〉のパーツ Photo: TEAM TECTURE MAG

Photo: TEAM TECTURE MAG
2階に続く階段を挟んで、左側では、ヴェネチア会場を撮影した画像のスライドショーや動画、現地での関係者インタビューを上映(国際交流基金YouTubeチャンネルでも公開中)。現地を訪れたことがない来場者のために、VAB日本館展示に関する情報を提供しています。

桜水館1階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

VAB日本館展示の脚本を収録したハンドアウトなどが置かれた什器は、旧事務所棟で使われていたもの(展示前は本館2階談話室に展示されている本館の建築模型の台として使用) Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館1階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG

桜水館1階 展示風景 Photo: TEAM TECTURE MAG
「本展の大きな特徴は、僕と家村さんのキュレーターチームと、2組の出展作家チーム、3者が同等であったこと。展示作品も、吉阪建築のエレメントも、すべて同等。総覧すればもちろん1つの出展作品ですが、決して融合していない。大村さんの言を借りると、分島(アーキペラゴ)的に、互いが中立の関係を保ったままでの展示であり、ヴェネチアではその企図を示したタイトル”中立点”を掲げました」(青木氏談)

青木氏によるプレゼンテーション画面より Photo: TEAM TECTURE MAG
「AIを用いた展示をしたいと考えたとき、僕はAIに関して知識が乏しいので、建築業界ではその分野における第1人者であるSUNAKIのふたりに参加を依頼しました」(青木氏談)
「英語タイトルの”In-Between”とは、日本語では中立というよりも”間(ま)”という言葉に近い。僕の師匠にあたる磯崎 新(1931-2022)は1978年にパリで個展『MA Space-Time in Japan』を開催しているのですが、それ以降、海外に磯崎さんの”MA”の概念が伝わったようで、VAB日本館展示を取材してくれた海外メディアのほとんどが日本の”間”という空間概念を知っていました。ただし、磯崎さんが提示した”MA”と本展での”間(ま)”は少し違います。僕たちは、2つ以上のものが融合する意の”間”ではなく、どちらが主で従でもなく、バラバラな状態なんだけれども、何らかの方法を介したら一体化できるのではないかという仮説をたて、展示を行いました。現代は分断の時代と言われています。双方相容れない状態でも、そこに共存の可能性はあるのだという姿勢をみせないと、戦争になってしまいます。マインドセットから始めないといけないかもしれない世界において、AIといういわば第三の知性は、もしかすると、分断した社会の助けになりうるかもしれません。ヴェネチアと今回の帰国展では、そんな僕らの希望を伝えています」(青木氏談)

帰国展会場にて(左から、木内俊克、砂山太一、青木 淳、家村珠代、大村高広、藤倉麻子の6氏) Photo: TEAM TECTURE MAG
[了]
Photo of the day & Texed by Naoko Endo / TEAM TECTURE MAG
※本稿では既出ニュースの表記「ヴェネツィア」をプレスリリースどおり「ヴェネチア」と表記した
会期:2026年1月24日(土)〜3月1日(日)
開催時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
会場:京都市京セラ美術館 桜水館(Google Map)
所在地:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
休館日:月曜
観覧料:無料
「中立点|In-Between ―第19回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示帰国展」京都市京セラ美術館にて2026年1月24日より開催
展覧会詳細
https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition/20260124-20260301

撮影:来田 猛 Photo: Koroda Takeru

撮影:来田 猛 Photo: Koroda Takeru