東京に本社を構えるタマディック(TAMADIC)は、東海エリアの事業拠点である愛知県名古屋市に、坂 茂氏の設計により、新社屋〈タマディック名古屋ビル〉を建設することを発表しました(2020年7月2日プレスリリース)。
同ビルは、CLT(直交集成材)を活用した、地上8階・地下1階の木質免震構造オフィスビルで、2021年11月に竣工の予定です。
CLT(Cross Laminated Timber)とは、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した集成材のこと。今回の新社屋建設プロジェクトでは、国産の杉材を使用し、ハイブリッド柱などの構造と、仕上げ材などの意匠の両面で活用されます。
同社によれば、モックアップで柱の性能確認試験を行った結果、一般的な配筋のRC断面だけの場合と比較して、断面形状・CLT板厚により、最大耐力が約3.8~5倍、剛性が約1.3~1.6倍という、優れた構造性能があることが確認されているとのこと。
各階の床は、CLT板を型枠としてコンクリートを打設した(RC+CLT)構造に。柱と同様に、常時はRC断面で床を支えますが、RC+CLTの合成構造とすることで、床の振動や”たわみ”を抑え、強度、剛性、遮音性、耐火性能の高い床構造となります。また、一般的なRC造で必要な支保工(しほこう)が最小限となることで、他の工事を同時に進めることができるため、工程の短縮化にも繋がります。
執務室の環境として、南・西側の窓には、最新の旅客機にも使用されている「スマート調光ガラスシステム」を採用。空調には、床全面から気流を送り出す「滲みだし空調」を採用。気流感を抑え、静かで温度むらの少ない快適な室内環境を創出します。
さらに8階には、多目的ホールのほか、社員が利用できるフィンランド式サウナを常設。健康促進のみならず、社員間のコミュニケーションの活性化、集中力の向上など、エンジニアリング業務の効率化を図ります。
タマディックでは「働きがいのある職場の実現」「健康保持・増進」を重点施策として、健康経営に取り組んでおり、今回の新社屋建設プロジェクトにおいても、さまざまな部署と役職を横断したプロジェクトメンバーが、コンセプトの策定を進めています。(en)
〈タマディック名古屋ビル〉
所在地:愛知県名古屋市中区丸の内2丁目
用途:事務所
建築設計:坂茂建築設計
構造設計:陶器浩一+飯島建築事務所+高橋俊也建築構造研究所
設備設計:テーテンス事務所
敷地面積:637.4m²
建築面積:約510m²
延床面積:約4,500m²
構造:RC造、一部鉄骨造、木造(免震構造)
階数:地下1階、地上8階
地下階:駐車場
地上階:1階 エントランス・ショールーム・ものづくりラボ / 2~3階 執務室 / 4階 会議室 / 5-6階 設計室 / 7階 研修室 / 8階 多目的ホール・フィンランド式サウナ
完成予定:2021年11月
株式会社タマデック 2020年7月2日ニュースリリース
https://www.tamadic.co.jp/news/detail.php?id=184