2022年5月18日初掲、2023年2月7日画像追加
西日本最大のターミナル駅・JR大阪駅の北側、梅田貨物駅跡で進行中の「うめきた2期地区開発プロジェクト」において、(約45,000m²)をかけて整備される、都市公園(仮称 うめきた公園)の本格的な工事が開始されました。
2017年12月に、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が実施した「うめきた2期地区開発事業者募集」にて、開発事業者に選定されている、2期開発事業者JV9社の代表企業である三菱地所が発表したものです。
※その後、2023年2月7日に阪急阪神不動産が以下・最新情報を発表
・プロジェクト名称を「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」に決定
・ロゴマーク発表(下の画)
・都市公園内に整備する「(仮称)ネクストイノベーションミュージアム」の運営会社を右記2社に決定:トータルメディア開発研究所、野村卓也事務所
・「大屋根施設 情報発信棟」の運営会社決定:凸版印刷
・国際的な環境認証制度「LEED(R)-ND」において、GOLD認証(計画認証)を取得
・本プロジェクト公式ウェブサイトをリニューアル
「うめきた2期地区開発プロジェクト」は、2025年に開催予定の「大阪・関西万博」の予定地・夢洲と共に、大阪府・大阪市のスーパーシティ型国家戦略特別区域に指定されており、大阪府・大阪市、UR都市機構との公民連携で建設が進められています。
プロジェクト全体の工事は、2020年12月に着工しています(阪急阪神ホールディングス 2020年12月22日プレスリリースより)。「大阪・関西万博」の開催前年に公園の一部などが先行してオープンする予定です。
「うめきた2期地区開発プロジェクト」にて整備されるうめきた公園(仮称)は、地区面積(約91,150m²)の約1/2、約45,000m²を有し、大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の規模を誇ります。
「市民・来街者のQOL向上」と「企業・研究機関などによるイノベーション創出」により、豊かな未来生活を実現する“Osaka MIDORI LIFE”の創造という大きな計画コンセプトのもと、オフィス・商業施設・中核機能・ホテル・分譲住宅などで構成する民間宅地と一体的に整備されます。
うめきた公園(仮称)は、北と南側にわかれ、歩行者デッキ(上空通路「ひらめきの道」)でつながれます。回遊性の向上をはかるとともに、整備される水景や、桜も植樹される緑豊かな公園の風景を上から俯瞰できるという、これまでの梅田エリアにはなかったランドスケープが創出されます。
都市公園として、大規模災害発生時には広域避難場所として機能するほか、公園を含むプロジェクト全体においては先導的な省CO2技術が積極的に導入されているとのこと。
デザインコンセプトは「未来へのひらめきと原動力となる『みどり』」。米国のランドスケープアーキテクト集団・GCNを迎え、民間宅地を含めた敷地全体を1つの「みどり」の大地として捉え、一体的かつシームレスに計画されています。
最大高さ約3mのランドフォーム(盛土)を、南北の公園をまたいでうねるように配置することで、3つの主要空間(リフレクション広場、うめきたの森、ステッププラザ)を結び、奥行き・立体感のある空間・景観をつくり出します。
GGNプロフィール
1999年にアメリカ・シアトルで創立された、世界でも注目のランドスケープ建築集団。
代表作品は、アメリカ・シカゴのミレニアムパークにある「ルリー・ガーデン」(2004)、ワシントンD.C.「国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館」(2016)など多数。主な受賞に、スミソニアン・クーパー・ヒューイット賞(2011)、ランドスケープの権威に贈られるASLA賞(2017)などがある。GGN Web Site
https://www.ggnltd.com/「この公園は、我々にとって日本で初めてのプロジェクトです。この土地がもつ記憶や、大阪城の石垣など、日本のクラフツマンシップ(職人文化)や、これまでに多くの橋を架けてきた河川の文化、水の都・大阪からのインスピレーションを、都心の公園というパブリック空間や地域とのつながりを踏まえたデザインに落とし込んでいます。植栽のデザインにも力を入れており、大阪の在来種や、日本らしさを感じられる樹木・草花が、四季折々の風景をつくります。市民に愛される大阪の新しい名所になることを期待しています。」(GGNコメント)
本プロジェクトに伴い、地下鉄の新駅(大阪駅・通称「うめきた駅」)が開設されます。
新駅近い南公園には、大屋根を有する新駅直結の複合施設が建設され、この設計を、建築家の妹島和世と西沢立衛氏が率いるSANAA(サナア)が手掛けます。
大屋根施設からは、水景を中心とした「リフレクション広場」が眼前に広がります。まちの玄関口に位置するため、一帯の総合的なインフォメーションを司る情報発信棟のほか、天然芝の広場との一体利用で1万人規模の集客開催も可能なイベントスペースと、カフェ・レストランなどの飲食施設が同じ屋根の下に入ります。
「南北に約120mの長さを持つ大屋根は、都市公園のランドスケープと呼応するようにゆるやかに起伏します。半屋外の大屋根イベントスペースと、情報発信棟、カフェ・レストラン棟を、1つの屋根の下にそれぞれ配置することにより、中と外が自然とつながり、公園と地域に開いた場所となります。」(SANAAコメント)
このほか、うめきた公園(仮称)の南側には、リフレクション広場を中心に、運動や健康に関する展示やプログラムなどが体験できるスポーツキューブ、パーティーレストラン棟が西側に配置されます。
歩行者通路「ひらめきの道」で結ばれたうめきた公園(仮称)の北側には、ビューレストラン、多目的施設「みんなのキューブ」、大人から子どもまで幅広い年齢層で「あそび」と「学び」を体験するエデュテインメントキューブ、そして、地元・大阪を拠点とする建築家の安藤忠雄氏が設計監修者を務める、ネクストイノベーションミュージアムも建設されます。
安藤氏が設計監修を手がけるネクストイノベーションミュージアムは、天井高さ15mを誇る大展示室を擁する施設です。新しいプロダクト・製品や技術、サービス、アートなど、ライフデザイン・イノベーションに資する「モノ」や、イベント・プログラムなど、さまざまな「コト」に触れられる、体験型のミュージアムとなる予定です。飲食・物販機能も併設されます。
これらの施設の管理・運営のため、事業者JVでは、大阪市指定管理者制度に基づくパークマネジメントとエリアマネジメントを一体的に運営する法人組織の設立を予定しているとのこと。
スケジュールでは、2024年夏頃に民間宅地とうめきた公園(仮称)の一部が先行して開園。全体開園は2027年春頃となる見込み。
策定された計画および各施設の詳細は、三菱地所ほか関係各社発表のプレスリリースを参照してください。
なお、本稿の内容は発信当時のものであり、今後計画や施設名称が変更となる場合があります。
事業名称:うめきた2期地区開発プロジェクト
プロジェクト名称:グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)※2023年2月7日発表
事業者:三菱地所、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、積水ハウス、竹中工務店、阪急電鉄、三菱地所レジデンス、うめきた開発特定目的会社(出資者:大林組)
計画地:大阪駅北大深西地区 土地区画整理事業区域内
地区面積:約91,150m²
設計(全体統括):日建設計・三菱地所設計
施工:うめきた2期共同企業体(竹中工務店・大林組)
【都市公園】
公園名称:(仮称)うめきた公園
計画地:大阪府大阪市北区大深町地内
公園面積:約45,000m²
整備主体:大阪市・独立行政法人都市再生機構
整備手法:防災公園街区整備事業(一部、土地区画整理事業)
基本設計:日建設計・三菱地所設計
実施設計:日建設計
デザイン提案等:事業者JV
デザインリード:GGN
照明デザイナー:内原智史デザイン事務所
サインデザイナー:井原理安デザイン事務所
サインプロジェクトマネジメント:メック・デザイン・インターナショナル
施工:大林組・竹中工務店・竹中土木特定建設工事共同企業体
【北街区】
賃貸棟
設計:日建設計・竹中工務店
監理:日建設計
敷地面積:約8,400m²
延床面積:約64,200m²
階数:地上26階+地下3階
分譲棟
設計:竹中工務店・日建ハウジングシステム
敷地面積:約7,320m²
延床面積:約72,600m²
階数:地上46階
【南街区】
賃貸棟
設計:三菱地所設計・日建設計・大林組・ 竹中工務店
監理:三菱地所設計・日建設計
敷地面積:約25,260m²
延床面積:約314,250m²
階数:西棟 地上39階+地下3階 / 東棟 地上28階+地下3階
分譲棟
設計:未定
スケジュール
2024年夏頃 先行まちびらき、以降は段階的なまちびらきを予定
2027年春頃 公園全体開園
2027年度 全体まちびらき
うめきた2期地区開発プロジェクト / グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA) Webサイト
https://umekita2.jp/
三菱地所プレスリリース(2022年5月17日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000166.000016002.html
阪急阪神不動産プレスリリース(2022年5月17日)
https://www.atpress.ne.jp/news/310322