東京・銀座4丁目にイッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)の新たな拠点が2月3日にオープンしました。空間デザインを吉岡徳仁氏が手がけ、所在地が銀座4丁目4-2であることから〈ISSEY MIYAKE GINZA / 442〉と命名されています。
同じ銀座4丁目の至近には、既存店(ISSEY MIYAKE GINZA)が引き続き営業中で、1階フロアを改修して展示スペースを新設した〈ISSEY MIYAKE GINZA / 445〉としてリニューアルオープンしています。
内外観とも白を基調にしたニュートラルでミニマルなデザインは、佐藤卓氏によるものです。
『TECTURE MAG』では、2つのストアがグランドオープンする前に開催されたメディア向け内覧会を取材。本稿では、〈ISSEY MIYAKE GINZA / 445〉にて2月3日より開催中のこけら落とし展「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE No.6 Special Installation[The Plant Series]」の会場の様子を伝えます(特記ありの画像1点を除き、撮影は全て『TECTURE MAG』編集部)。
店舗は元より2フロアでの展開でしたが、吉岡氏による新店舗オープンに伴い、1階に展示空間「CUBE」を開設したのが特徴です。取り扱いブランドは、132 5. ISSEY MIYAKE、me ISSEY MIYAKE、HaaTの3つ。新店舗〈ISSEY MIYAKE GINZA / 442〉と合わせると、イッセイ ミヤケの全ブランドが両店にて揃います。
「CUBE」のこけら落としは、日本を代表するグラフィックデザイナーの1人である田中一光氏(1930-2002)の作品をモチーフにするプロジェクトに焦点を当てた企画展示「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE No.6 Special Installation[The Plant Series]」です。
会場構成を、日本デザインセンターの三澤デザイン研究室(主宰:三澤 遥氏)が担当しています。
タイトルに含まれる「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」とは、イッセイ ミヤケが2016年に開始した、田中一光氏の作品をモチーフとするプロジェクトです。田中氏が遺したブラフィック作品のサイズや色彩を忠実に再現しつつも、作品を単に絵柄として扱うのではなく立体にすることで作品の魅力が増幅し、いきいきとしたエネルギーを表現することを目指しています。これまでに、田中氏の1995年の作品〈写楽二百年〉や、1996年の〈墨戯〉、タイポグラフィをリスペクトして衣服やバッグなどに仕立てたコレクションを発表してきました。
「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE」特設ページ
https://www.isseymiyake.com/ikkotanaka/
今年1月に発表された、数えて第6弾となるコレクション「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE No.6」は、田中氏の「植物」シリーズをピックアップ。牡丹(ぼたん)や杜若(かきつばた)などの花[*]をグラフィックで表現した田中作品の構図そのものを、衣服の構造として取り込むことを試みています。
*.花:田中氏のグラフィック作品:〈ぼたん—B〉(1990年)、〈ぼたん—C〉(1990年)、〈グラフィックデザインの今日〉(1990年)、〈紫のかきつばた〉(1992年)、〈赤と白のつばき〉(1992年)の作品群を指す。今回の「植物シリーズ」では、「ただ、一輪の大輪に咲き誇る花が描きたかったまでのこと」と田中氏が書き残した、艶やかな牡丹や芍薬を思わせる花、成田国際空港に設置された作品〈赤と白のつばき〉と、琳派の影響がみられる〈紫のかきつばた〉がモチーフとなっている(プロダクト詳細:https://www.isseymiyake.com/ja/news/10190)
こけら落とし展では、「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE No.6」から発売されたワンピース、ロングシャツ、コート、傘などのコレクションが、プロダクトのモチーフである牡丹の花から抽出された色をベースとした場内に展開。切り絵をベースにデザインされながら、躍動感に溢れた田中氏の「花」との親和性もある、デザイナーの三澤 遥氏の作品〈動紙〉が取り入れられるとともに、コレクションを紹介したインスタレーションが展開されます。
2月3日[金]より、「IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE No.6 Special Installation[The Plant Series]」がISSEY MIYAKE GINZA / 445で開催。会場構成・展示作品等のデザインを三澤デザイン研究室が担当しました。 pic.twitter.com/3C1mywIuBu
— 三澤 遥 Haruka Misawa (@MisawaDesign) February 20, 2023
#三澤遥氏公式Twitter 2023年2月20日投稿より、場内の動画をシェア
展示空間の着想のエッセンスとして、田中一光氏のグラフィックから色紙(いろがみ)という素材や鮮やかな色を、イッセイ ミヤケの衣服から造形や機能性、動きを抽出し、それらを無数の紙の粒子として表現しました。会場では粒子たちがひそひそと動き、静かに色を発しています。それはまるで、色そのものが生きているような不思議な光景。空間、グラフィック、衣服が溶け合ったような世界。(三澤デザイン室 ウェブサイト「WORKS」ページよりテキストを引用)
銀座の「CUBE」は今後、京都の「KURA」や、大阪の〈ISSEY MIYAKE SEMBA〉の地下にあるクリエイションスペースに続く、イッセイ ミヤケの文化を発信する東日本の拠点として機能します。
イッセイ ミヤケの活動について発信するほか、人びとの暮らしを豊かにするようなデザイン、アート、工芸などまつわる企画展示やイベントを開催する計画とのこと。
同社のプレスリリースによれば、「デザインとものづくりに対する、思考と実践のプロセスがつまった箱。発見と発展の場所となり、制作の現場となり、交流のためのひらかれた空間」となります。
展示期間:2023年2月3日(金)〜2023年3月29日(水)
会場:ISSEY MIYAKE GINZA / 445
所在地:東京都中央区銀座4丁目4-5(Google Map)
営業時間:11:00-20:00
休業日:会期中無休
ISSEY MIYAKE Webサイト
〈ISSEY MIYAKE GINZA / 445〉ストア
https://www.isseymiyake.com/ja/stores/46