
羽田空港に隣接する羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第1期事業)において、大田区と官民連携で開発が進められた大規模複合施設・HANEDA INNOVATION CITY®(羽田イノベーションシティ / 略称:HICity®)がこのほどグランドオープンを迎えました。
HICity®(エイチ・アイ・シティ)は、日本初のスマートエアポートシティです。最寄駅は羽田空港第三ターミナルにほど近い天空橋(東京モノレール、京急羽田線)。
約5.9ha(ヘクタール)の敷地内には、研究開発施設・オフィス、先端医療センター、イベントホール、宿泊施設、日本文化体験施設、飲食施設などが建設され、延床面積は約13万m²を超えます。国内外のヒト・モノ・情報がフラットに集まるこの場所から、「先端」と「文化」の境界を越えた交流を誘発し、新たなビジネスやイノベーション創出の拠点となることを目指します。
HANEDA INNOVATION CITY®(羽田イノベーションシティ)施設概要
略称:HICity®(エイチ・アイ・シティ)
所在地:東京都大田区羽田空港1丁目1番4号(アクセス)エリアマップ
事業主体:羽田みらい開発(鹿島建設、大和ハウス工業、京浜急行電鉄、日本空港ビルデング、空港施設、東日本旅客鉄道、東京モノレール、野村不動産パートナーズ、富士フイルム)
主要機能:先端モビリティセンター(テスト路併設)、先端医療研究センター(医療・研究施設、滞在施設)、研究開発拠点(ラボ、大規模オフィス)、区施策活用スペース、会議研修センター(カンファレンスルーム・滞在施設)、ライブホール、文化体験商業施設、水素ステーション、交流・連携スペースなど
敷地面積:約5.9ha ※羽田空港跡地第1ゾーン全体では約16.5ha
延床面積:約131,000m²
規模:地上11階・地下1階
認定・選定:国家戦略特区、民間都市再生事業計画[国土交通大臣認定2018年 / 特定都市再生緊急整備地域内]、国交省・内閣府・総務省・経産省「スマートシティ官民連携プラットフォーム」参画(2019年)、国土交通省「スマートシティ / 先行モデルプロジェクト」選定(2020年)、総務省「データ連携促進型スマートシティ推進事業」選定(2020年)
※HANEDA INNOVATION CITY、HICityおよびそのロゴは羽田みらい開発株式会社の登録商標A〜L ゾーン配置図
HANEDA INNOVATION CITY ®︎(羽田エアポートシティ)遠景 撮影:保井崇志
スケジュール:
2023年6月30日 全体竣工
2020年7月3日 まち開き(一部先行開業)
2023年11月17日 グランドオープン公式ウェブサイト
https://haneda-innovation-city.com/
『TECTURE MAG』では、11月16日に開催されたメディア向け見学会を取材、施設各所の見学レポートを掲載します(特記なき画像は羽田みらい開発提供)。
敷地内では、カフェなどの商業施設が先行してオープン。ハード面の整備だけでなく、音楽ライブなどのイベントもあわせて企画・実施されており、すべての人々に開かれた「まち」として成長していく予定です。
各施設を結ぶ、歩行者専用デッキ(2F)「イノベーションコリドー」
マルシェなどの各種イベントに使用できる屋外広場「フォーラム(Forum)」
HICity Square cafe & bar(エイチアイシティ スクエア カフェバー)※グランドオープニング期間中は、保井崇志 写真展「LIFE Scene HANEDA」会場として使用
ZONE H 1-2Fにオープンしたライブホール〈Zepp Haneda(TOKYO〉は国内最大級の約3,000人(※スタンディング時)収容可能
ZONE E 屋上 足湯スカイデッキ
自動運転バスや自立走行ロボットの実証実験も始まっています。今後も段階的にレベルを上げ、いずれは無人で公道を走行できるようにする計画とのこと。
自動運転バスの実証実験風景
ロボットを活用したフードデリバリーシステムの実証実験や複数メーカー・複数台のロボットとエレベータとの連携基盤システム、統合管制システムなどを開発中。施設への本格導入に向けた知見の蓄積を今後も推進していく
サービス高度化の実現のために、BIMモデルを用いたデータ連携基盤を構築し運用中。HICity内のビーコンや映像解析AIを用いて人流データを取得し、人流・モビリティ・ロボットなどの施設内のリアルタイム情報の可視化を推進する。データの可視化や活用に向けた取り組みを今後も継続予定。
ロボット犬こと四足歩行ロボット・Spot(スポット / Boston Dynamics社製)は、ゼネコン各社が現場への導入を目指してかねてより実証実験を進めている(2020年12月7日鹿島建設プレスリリース)
藤田医科大学による次世代医療・研究の拠点施設として、、グランドオープンに先行した2023年10月2日に開所(ZONE A(B1-4F))。再生医療やがんゲノム医療の提供をはじめ、最新機器による健診、高度な不妊治療、ITを用いたリハビリテーションなど、保険診療にとらわれない革新的な医療を展開しています(詳細は藤田医科大学 2022年12月8日プレスリリース参照)。
施設内には手術支援ロボットやさまざまな医療機器メーカーのラボを備え、新規治療法の開発や創薬などの研究に取り組むことで、医療における産学連携JAPANモデルの確立、さらには国民の健康に寄与することを目指すとのこと。
藤田医科大学東京 先端医療研究センター内観 / 先端リハビリテーションセンター
コロナ禍より増えつつあったインバウンド利用に対応した開所で、館内のサイン計画は日本語・英語・中国語表記。約100万円かかる人間ドックの海外からの予約は中国人で埋まっている
[藤田医科大学東京 先端医療研究センター]先端リハビリテーションセンター 館内設備の1つ、世界に3台(すべて日本国内)しかないキヤノン製「全身用320列面検出器型の立位・座位CT」(詳細はキヤノンメディカルシステムズ 2017年プレスリリース参照)
上記・先端医療研究センターの上階、ZONE A(5~10F)には〈ホテルメトロポリタン 羽田〉が2023年10月17日に開業。ホテルメトロポリタンとして15番目の出店。これまで東日本エリアに14ホテル・4,146室を展開していますが、羽田エリアではこれが初となります。
客室フロア 通路
10F エレベーターホール
客室 ジュニアスイート
客室(ジュニアスイート)からの夜間眺望
“旅に寄り添う、おもてなし”をテーマに、旅のニーズにあわせて選べる客室(全13タイプ、計237室)のほか、屋上展望デッキ、レストラン、ジムなども備えています。
ホテル利用者専用「THE ROOFTOP」
THE ROOFTOP(夜間)
基準階は1,700坪強、最大8分割に対応可能なフロアプレートを有するオフィスフロアがZONE Bに2024年1月オープン予定。各階南北2カ所に専用バルコニーを有するほか、共用部には、リフレッシュコーナー、パントリー、東西に羽田空港や富士山を望む専用の屋上デッキも設けられます。
オフィスフロア イメージパース
ZONE J・K 3F / イノベーションサロン
イノベーションサロンは、ベンチャー企業から大手企業まで、幅広い就業者・研究者とクリエーターやアーティストなど国内外を問わず活動する来訪者のための交流・連携拠点としてオープン。
より便利でストレスフリーな羽田 空港の実現を掲げ、空港の課題解決に異業種連携で取り組む、日本空港ビルデングによる研究開発拠点がZONE C 3Fに2024年1月にオープンします。企業参画型コワーキングスペースなど「検証 (テストフィール ド) 」と「発表(プレゼンテーション)」の場を備え、国内外の空港へ のソリューション導入を目指すとのこと。
研究開発拠点・terminal 0(ターミナルゼロ)内観イメージパース ※2024年1月30日オープン予定
ZONE D 2Fにある[AI_SCAPE]は、コックとウェイターをロボットが務めるの未来型レストラン。人手不足などが懸念される食の現場において、ロボットと 人が共生し、社会課題を解決することを目指した実証実験の場です。プロデュース・運営は、工場などに導入されているロボットの開発・製造を手がける川崎重工業(2022年4月20日川崎重工業プレスリリース)。同社のラボを併設しており、迅速かつフラットにプロジェクトを進行させる計画とのこと。
2022年4月20日に先行オープンした川崎重工業の研究施設「Future Lab HANEDA」に併設されたレストラン・AI_SCAPE(アイ・スケープ)
AI_SCAPE(アイ・スケープ)厨房で働くロボット。オーダーは、テーブルの隅に表示されるQRコード®︎をスマートフォン端末のカメラで読み取り、入力する。注文を受けたロボットが配膳するまでの所用は約6分
厨房とテーブルを往復するロボットは、障害物があると自動手停止する機能を有し、テーブルとベンチは四脚式ではなく、ロボットが”壁”と認識する形状となっている
AI_SCAPE 公式ウェブサイト
https://kawasakirobotics.com/jp-sp/future-lab-haneda/
11月17日から19日にかけてグランドオープン記念イベント「Grand Opening Event ∅」が開催されています。18日と19日には、Signature Event(シグネチャーイベント)として「“INNOVATION(イノベーション)”とは何か?」をテーマにしたトークセッションが開催されます。
期間:2023年11月17日(金)~19日(日)
開催時間:10:00-18:00 ※コンテンツにより異なる
会場:HICityおよびエリア周辺
入場料:無料 ※一部コンテンツは有料、定員あり・要申込
イベント特設サイト
https://haneda-innovation-city-gop.com/
イベントカテゴリー:「先端」と「文化」から派生した6つのカテゴリーと、HICityが目指す姿を象徴する1つのシグネチャーイベントを展開
企画内容:今回のオープニングイベントにも出展・参加している、世界を舞台に活躍中の表現者たちを招き、参加者とともにイノベーション(Innovation)について考える。HANEDA INNOVATION CITYの目指す姿を体現するオープニングイベント
DAY1:2023年11月17日(金)
登壇者:尾角典子(アーティスト)、齋藤精一(パノラマティクス主宰)
DAY2:2023年11月18日(土)
登壇者:川田十夢(AR三兄弟)、窪田 望(現代美術家)、we+(ウィープラス / 林 登志也、安藤北斗)
時間(共通):17:00-19:00
会場(共通):ZONE E 2F DEJIMA
参加方法:イベント特設サイトより要事前申込
https://haneda-innovation-city-gop.com/event/216
HANEDA INNOVATION CITYの目指す姿を体現するイベント「Innovation IDOBATA」登壇者の顔ぶれ(左から敬称略、尾角典子、齋藤精一、川田十夢、窪田 望、林 登志也+安藤北斗(we+)
企画内容:AR三兄弟 川田十夢氏による、ARやAIやQRなど新旧テクノロジーを織り交ぜて、自分だけのテクノロジー名刺を作成するワークショップ(予約制)
参加アーティスト:AR三兄弟
日時:2023年11月18日(土) 15:00-17:00
会場:ZONE E 2F DEJIMA(予定)
AR三兄弟 プロフィール:長男・川田十夢、 次男・高木伸二、三男・オガサワラユウによる、 いまだかつてない開発ユ ニット。2009年から、とくに AR(拡張現実)に関するネタ(俗にいう作品のこと)を連続的に発表。芸能から芸術、空間設計から学研の科学まで。その拡張範囲は羽田イノベーションシティのように広大である
企画内容:「ものづくりのまち」として知られる大田区のまち工場。その営みから生まれた、異彩を放つ「もの」たちを、「表現する素材」と名づけ、コンテンポラリーデザインスタジオ・we+(ウィープラス)が独自の視点で蒐集、その背景にあるストーリーとともに展示を行う
参加アーティスト:we+(ウィープラス)
会期:2023年11月17日(金)〜26日(日)10:00-18:00
会場:ZONE B 2F Innovation Corridor沿い
林登志也氏(左)と安藤北斗(右)
we+(ウィープラス)プロフィール:リサーチと実験に立脚した独自の制作 表現手法で、 新たな視点と価値をかたちにするコンテンポラリーデ ザインスタジオ。 林登志也と安藤北斗により2013年に 設立。Dezeen Awards / Emerging Design Studio of the Year Public Vote(英)、EDIDA / Young Designer of the Year Nominee(伊)、日本空間デザイン賞金賞他受賞多数。作品はドイツの Vitra Design Museum などに収蔵されている。
Photo: Takehiro Hiramatsu
会場レポート
https://mag.tecture.jp/event/20231119-102315/
企画内容:写真家の保井崇志が切り取った大田区のさまざまなシーンの写真を展示。会場演出を空間表装を手掛ける京都の職人集団・井上光雅堂が担当
参加アーティスト:保井崇志
会場演出:井上光雅堂
会期:2023年11月17日(金)〜19日(日)
開場時間:10:00-18:00
会場:ZONE J 2F HICity Square cafe
撮影:保井崇志(やすい たけし)
作家プロフィール:1980年大阪生まれ。2010年に販味で写真を始め、通送会社で働きながら相学で撮影技術を習行。
Instagramを明期から国内外の企業とSNS上でコラボレーションし、2015年にフリーランスのフォトクラファーとして活動を開始。2023年に合同会社用害を設立し、同年7月に写真集「PERSONAL WORK」を自社
から刊行。日常の携放や日本の伝統美を、塩彩を生かした現代的な観点で従える。
会場風景 Photo: TEAM TECTURE MAG
企画内容:未来食3Dフードプリンタの特別展示&デモンストレーション
出展者:山形大学ソフト&ウェットマター工学研究室
日時:2023年11月17日(金)〜19日(日)
開場時間:10:00-18:00
会場:ZONE E 2F DEJIMA
山形大学ソフト&ウェットマター工学研究室による未来食3Dフードプリンタの特別展示&デモンストレーション Photo: TEAM TECTURE MAG
企画内容:宇宙ロケットの開発廃材を活⽤して新しいプロダクトを⽣み出すアップサイクルプロジェクトの第一弾として、ベンチ、シェルフなどの”宇宙家具”を提案
詳細・出展者:下記公式ウェブサイト参照
会期:2023年11月17日(金)〜19日(日)
開場時間:10:00-18:00
会場:ZONE E 2F DEJIMA
プロジェクト公式ウェブサイト https://and-space-project.jp/
プロジェクトの第一弾として”宇宙家具”を披露。北海道の家具メーカーや製作所と協力し、宇宙ロケットの開発廃材をアップサイクルした家具を提案している Photo: TEAM TECTURE MAG
&SPACE PROJECT 展示風景 / MOMOの初号機より以前の試験用燃料タンクをリメイクした〈宇宙タンクベンチ〉 Photo: TEAM TECTURE MAG
企画内容:アート作品展示
参加アーティスト:尾角典子
会期:2023年11月17日(金)〜19日(日)
開場時間:10:00-18:00
会場:ZONE E 2F DEJIMA
〈Air Lines〉展示風景 ©︎2023 Noriko Okaku All Rights Reserved
尾角典子(おかく のりこ)プロフィール:ロンドン、京都在住。 英国ロイヤル・カレッジ・オ ブ・アート、アニメーション修士を卒業後、 東京の 広告会社で勤務した後、独立。2008年に再び渡英し、フリーのアーティストとして現在まで活動。オバハウゼン国際映画祭、オタワ国際アニメーショ ンフェスティバル、ロンドン国際アニメーションフェスティバルなど国際的な映画祭での上映歴多数
企画内容:HICityにて2度目の開催となる「SOUND&CITY」では、「Pluri-City -多元都市のための音楽-」をテーマに、さまざまな都市を音楽で表現し、音楽を通じて都市を知ることを試みる
企画:齋藤精一(パノラマティクス主宰)、若林 恵(黒鳥社コンテンツディレクター)
プログラム・ディレクション:清宮陵一(NPO法人トッピンクイースト理事長、合同会社ヴァイナルソユーズ代表)
参加アーティスト:渡部高士(HAIOKA)
日時:2023年11月19日(日)
開場時間(予定):12:30-21:30
会場:ZONE E 2F DEJIMAほか HICity内各所
※Peatixページにて要申込 ※満席
企画内容:空港が出来る前のまちの姿を実際に歩きながら確認し、まちの歴史を体感する
講師:皆川典久(スリバチ学会会長)
日時:2023年11月17日(金)、11月19日(日)※荒天の場合は中止
開催時間(各日2回):10 00-12:30 / 14:00-16:30
会場:大田区内 およびHICity
参加費:2,000円
参加方法:下記ページより要事前申込
https://helloaini.com/travels/45618
HANEDA INNOVATION CITY®︎(羽田エアポートシティ)公式ウェブサイト
https://haneda-innovation-city.com/
公式SNS
Instagram @haneda_innovation_city
https://www.instagram.com/haneda_innovation_city
X(旧Twitter)@HICity_OFFICIAL
https://twitter.com/HICity_OFFICIAL