2022年7月18日初掲、2023年11月7日経過情報(モックアップ)追記
パナソニック ホールディングスは、2022年7月18日に都内にて、同社が民間パビリオンを出展する、2025年4月13日より開幕する「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」の1000日前イベントを都内にて開催し、パビリオンの名称など施設概要を発表しました。
「ノモの国」と命名されたパビリオンの建築設計を、建築家の永山祐子氏が担当します。
パビリオンのコンセプトは、民間パビリオン出展各社が構想概要を発表した5月30日に、パナソニック ホールディングスがプレスリリースですでに発表している、「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい」。
「ノモの国」の「ノモ」とは、「モノ」を反転させた造語で、さまざまなモノはココロの持ちようによってその捉え方が変わるものであり、モノはココロを写すうつし鏡であるという、パナソニックが導き出したコンセプトに基づきます。
建築コンセプト
・人々の皮膚感覚に近いパビリオンとして、風で”揺らぐ”軽やかで自由な建築とする
・建物の外側には、光によって色が変化する「膜」が張られ、シャボン玉が集まったような外観デザインに
・世界は常に循環し、人もまた循環する世界の一部であることを、パビリオンで表現。循環を表現したモチーフが集まり、ファサード全体を形成する
・これにより、最終的にできあがるパビリオンは、さまざまな与件から有機的に生成される形状となる。その生成プロセスを含め、「予め想定できないからこそ、未来はおもしろい」という、次世代へのメッセージが込められる
・サスティナブルとウェルビーイングの実現を建築の表現として取り入れることで、素材やエネルギ―の循環について肌で感じとれる建築を目指す
パビリオン「ノモの国」では、いわゆるα(アルファ)世代の子どもたちに向けたメッセージが発信されます。
「ノモの国」と「大地」の大きく2つの構成を通じて、気づかないうちに縛られている既成概念やさまざまな制約から解放され、子どもたち1人ひとりが元来、秘めている可能性=天分(てんぶん)に気付くきっかけを与え、自己肯定感を高めてもらう空間づくりを目指すとのこと。
「循環」も重要なテーマの1つで、子どもたちの心が”解き放”たれることで、物(モノ)も心(ココロ)もサステナブルもウェルビーイングも、すべてはつながっている、”つながる世界の中の自分”の存在に、パビリオンでの体験を通して気づいてもらえる場となることを目指しています。
永山祐子氏コメント(キックオフイベント壇上での発言より)
「ドバイ万博で日本館の設計に携わり、次の『2025年大阪・関西万博』にも参加したいと思っていました。パナソニックさんから、こういうパビリオンをつくりたいと示された企画書に、私がやりたいことがギュッと詰まっていた。2児の母として、ものづくりに関わる者として、次の世代に伝えていくというテーマはとても共感できるものでした。
アルファ世代に伝えるとしていますが、今後にも引き継がれる、もっと大きなテーマだと捉えています。私自身のテーマでもある。
私もいま、アルファ世代ど真ん中の子どもを育ており、ドバイ万博に子どもたちを連れて行ったのですが、現地での子どもらの様子をみて、次の万博では、こんなふうに子どもたちがワクワクするようなものをつくりたいと思っていました。
昨今はコロナ禍で、どうしても世相や考えが暗くなりがちですか、これからの未来は明るいかもしれない、一緒につくっていけるんじゃないかというポジティブなイメージを感じ取ってもらえたら嬉しい。コロナ禍で1年延期となり、2021年に開催されたドバイ万博は、なかなか日本から見に行くことが難しかった。現地では多様な人々が集まっていましたが、集ってなにかを話し合うという場を持つことができなかったのが、残念に感じた点です。万博は開催すればゴールではなく、そこからがスタート。『2025年大阪・関西万博』では、いろんな国と地域からいろんな人々が訪れる。フラットに、いろんなことを話し合う場が生成されればいいと願っています。」(永山祐子氏談)
永山祐子氏プロフィール
1975年東京生まれ。1998年昭和女子大学生活美学科卒業。1998-2002年青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。2020年より武蔵野美術大学客員教授。
主な仕事に〈LOUIS VUITTON 京都大丸店〉、〈丘のある家〉、〈カヤバ珈琲〉、〈木屋旅館〉、〈豊島横尾館(美術館)〉、〈渋谷西武AB館5F〉、〈女神の森セントラルガーデン(小淵沢のホール・複合施設)〉、〈ドバイ国際博覧会日本館〉、〈玉川髙島屋S・C 本館グランパティオ〉、〈JINS PARK〉などがある。
主な受賞に、ロレアル賞奨励賞、JCDデザイン賞奨励賞(2005)、AR Awards(UK)優秀賞(2006)「丘のある家」、ARCHITECTURAL RECORD Award, Design Vanguard(2012)、JIA新人賞(2014)「豊島横尾館」、山梨県建築文化賞、JCD Design Award銀賞(2017)、東京建築賞優秀賞(2018)「女神の森セントラルガーデン」、照明学会照明デザイン賞最優秀賞(2021)「玉川髙島屋S・C 本館グランパティオ」など。
現在、東急歌舞伎町タワー(2023)、東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」などのプロジェクトが進行中。永山祐子建築設計ウェブサイト
http://www.yukonagayama.co.jp/
パナソニックのパビリオンに関する最新情報は、パナソニックの公式note「ソウゾウノート」などで随時公開されます。
パナソニック 公式「ソウゾウノート」
https://youth-note.jpn.panasonic.com/
https://twitter.com/sozo_youth
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)関連プレスリリース
パビリオン出展コンセプトなどについて(2022年5月30日)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/05/jn220530-1/jn220530-1.html
パビリオン名称、外観デザインなどを発表(2022年7月18日)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2022/07/jn220718-1/jn220718-1.html
「ノモの国」が起工式を実施、最新パース図を公表(2023年7月12日)
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20230712-03/
パナソニック発表:パビリオン「ノモの国」は資源循環型のパビリオン建築を実現(2023年7月12日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005247.000003442.html
「ノモの国」「循環」を表現したファサードのモックアップ検証を実施(2023年11月6日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005431.000003442.html
2025年大阪・関西万博に出展するパナソニックグループパビリオン「ノモの国」の建築を進めているパナソニック ホールディングスでは、立体形状のモチーフを用いて「循環」を表現したファサードのモックアップを建設予定地の近くに組み立て、検証を行っています。2023年11月6日に発表したプレスリリースで、その様子を公開しました。
パナソニックのパビリオン「ノモの国」では、上の画にみられるような立体モチーフを約1,400個組み合わせ、「循環」を表現したファサードとする予定です。
モチーフの大きさは、直径約1.0m~1.5mの4種類を展開。鉄製のフレームに薄いオーガンジーを張り、風に揺らぐ軽やかで自由な建築を実現し、その時どきの条件でさまざまな見え方を楽しんでもらうデザインで計画されています。
永山祐子氏 コメント
「一般的な構造体ではないので、これまでもさまざまな実験、シミュレーションを行ってきた。今回の確認で調整が必要なところも出てきたが、オーガンジーは想定通りに光ってくれた。子どもも大人もワクワクするようなパビリオンを実現するために、さらにここから進化をさせていきたい。」パナソニックHD 小川理子氏(万博推進担当参与)コメント
「子どもたちが、オーガンジーが風に揺らぐ様子を見たり、モチーフを通して空を見上げたりすることで、いろいろなソウゾウをしたり、自分たちも自然に包み込まれる一部であることなどを感じてほしいと思う。今後は、体験の構想などについても発信していく予定。良いパビリオンに仕上げていきたい。」
※本稿のパビリオン内外観イメージ:パナソニック ホールディングス提供