福岡・博多の那珂川沿いに、食とエンターテイメントを融合させて新たな体験を提供する文化複合施設〈010 BUILDING〉(ゼロイチゼロ ビルディング)が12月1日に開業しました。
昨今、世界的にエンターテイメントの主流となりつつある、イマーシブシアター(Immersive Theater)を内包、こだわりの飲食店も入居し、福岡のリバーフロントから新たなエンターテイメントとカルチャーを発信していく計画です。
施設の運営を担うのは、福岡・博多に本社を構え、映像制作、アートキュレーション、イベント企画・運営、空間演出・デザインなどを事業とするZero-Ten(代表:榎本二郎)。同社は、2021年9月に開業した〈天神ビジネスセンター〉において、館内の常設アート作品の選定・設置を担当しています。
建物のデザインアーキテクトは、米国・ニューヨークに拠点を構えるクラウズ・アオ(CLOUDS AO: Clouds Architecture Office)が担当(同事務所のファウンダーの1人、曽野正之氏は、『TECTURE MAG』のニュースで何度か取り上げている、セレンディクスの3Dプリンターハウス〈Sphere(スフィア)〉のプロトタイプの建築デザインを担当している)。
博多のリバーフロントにお目見えした〈010 BUILDING〉では、螺旋状の外装が特徴的。この地に突如発生したトルネードをイメージしたデザインで、エネルギッシュで、見る物に強い印象的を与えます。
建物の設計監理と、注目のイマーシブシアターの内装デザインは、福岡に拠点を構える2つの設計事務所、NKS2アーキテクツと中原拓海建築設計事務所が共同で手がけました。
建築・デザインの領域で参画した設計事務所のプロフィールと本プロジェクトの担当エリアは以下の通りです。
クラウズ・アオ(CLOUDS AO: Clouds Architecture Office)
〈010 BUILDING〉デザインアーキテクト
設計・デザイン・リサーチ分野の知見を統合する創造性に焦点をあてた活動を目的に、曽野正之、曽野祐子、オスタップ・ルダケヴィッチの3氏が2010年にニューヨークにて設立。理念と知覚体験をベースとした設計手法と徹底したプロセス重視のアプローチにより、住宅、公共施設、パブリックアートから宇宙建築に至る幅広い設計を手掛ける。
アメリカ建築家協会、ニューヨーク市、アメリカ航空宇宙局(NASA)からの贈賞実績がある。
https://cloudsao.com/
NKS2アーキテクツ
〈010 BUILDING〉エグゼクティブアーキテクト、2-3Fのシアターをデザイン。
福岡を拠点とする一級建築士事務所。1995年に末廣香織(すえひろ かおり)と末廣宣子(すえひろ のぶこ)によりNKSアーキテクツ設立。2020年に佐藤寛之(さとう ひろゆき)がパートナーとして参画し、NKS2アーキテクツに改組。
“しなやかな構造”をテーマに、特徴ある個人住宅をはじめオフィス、クリニック、庁舎、学校、保育園、客船ターミナルなど、公共から民間までさまざまな建築・プロジェクトを手掛ける。〈銘建工業本社事務所〉で日本建築学会作品選奨を受賞。
https://nksarc.com/
建築家 / 中原拓海
〈010 BUILDING〉エグゼクティブアーキテクト、2-3Fのシアターをデザイン。
1987年福岡県生まれ。2013年九州大学大学院終了後、隈研吾建築都市設計事務所に入社。名古屋の〈御園座〉(2017)、UR都市機構による〈洋光台団地〉の中央広場大規模改修(2018)、京都の新風館改修(Ace Hotel 京都を含む、2020年)などのプロジェクトを担当。2020年に独立し、中原拓海建築設計事務所を地元・福岡に設立、主宰。同年に九州大学大学院BeCATの設計助手に就任。2022年8月に福岡市天神に開通した因幡町通り地下通路(yHa architects)の内装設計を担当。
https://tnakahara-archi.com/
1F レストラン「GohGan」
福岡・佐賀版ミシュランガイドで星付きレストランに選ばれた[ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ]のオーナーシェフで、「アジアベストレストラン50」にも度々選出されているシェフ・福山 剛氏と、「アジアベストレストラン50」で4度の1位を獲得している、バンコクのインド料理店[ガガン アナンド]のオーナーシェフであるガガン・アナンド(Gaggan Anand)氏がタッグを組み、初めてオープンする実店舗。オープンキッチンを有したイノベーティブなレストラン(室内54席+テラス席19席)
2F「BAR 010(バー ゼロイチゼロ)」
バーテンダー世界大会「WORLD CLASS 2015」でBARTENDER OF THE YEARに選ばれている、バーテンダーの金子道人氏がプロデュースする、本格カクテルを楽しめるバー。店舗の運営は、地元中洲で人気の「バー シャルジェ(La Barre Charager)のオーナーバーテンダー池田繁樹氏が担当。深夜はDJ BARとなる。
店内のカウンターテーブルや頭上に見られるリボンの意匠は、”福岡トルネード”をイメージした建物の外観よりインスパイアされたもの。かつ、ビルに入居する複数の店舗をつなぐ役割でありたいという意味が込めている。
2F「THEATER 010」
3F「THEATER 010 VIP」
英国ロンドン、米国ニューヨークで最もエクスクルーシブなナイトクラブ[THE BOX]を手掛けるクリエイティブ集団・OTBA(Outside The Box Amusements)がプロデュースするショーが日本に初上陸。体験型エンターテインメントを提供するイマーシブシアターでのショーの監修を担当する(アジアでは初)。2層吹き抜けの空間で、観客はショーを見ながら、1Fレストランから提供される料理と酒類を楽しめる。
3F「Goh」
福山剛氏が西中洲で20年営んだ店舗[La Maison de la Nature Goh]を閉め、2023年1月11日に〈010 BUILDING〉に移転オープン。メニューも一新される。ひとつの大きなテーブルで、みんなが料理を楽しむターブル ドットスタイルを採用。コース料理とドリンクのペアリングのほか、シェフのプレゼンテーションによって訪れた人に特別な空間と時間を提供するレストランとなる。
〈010 BUILDING〉は、国や文化の枠を超えたコラボレーションを通じて、福岡をより文化的な都市にアップデートすることを目指して誕生しました。アートやエンターテイメントがもっと日常的なものになるように、これまでにない体験を提供するため、世界で活躍する才能豊かなシェフとバーテンダーが、福岡の地から新しいカルチャーを発信します。
施設内の飲食店とシアターの利用は完全予約制。公式ウェブサイトにて受け付けています。
読み:ゼロイチゼロ ビルディング
所在地:福岡県福岡市博多区住吉1丁目4-17(Google Map)
規模:地上3階
敷地面積:約974.18m²
延床面積:約1,238.18m²
構造・規模:鉄骨造
デザインアーキテクト:Clouds AO(クラウズ・アオ)
エグゼクティブアーキテクト・設計監理・シアターデザイン:NKS2 architects+中原拓海建築設計事務所
010 BUILDING 公式ウェブサイト
http://www.010bld.com