2020年12月24日初掲 / 2021年3月6日 情報追加[*]/ 3月9日 会期ほか追記 / 7月30日 会期延長[**]
アート集団チームラボは、サウナとアートをセットで体験する全く新しい展覧会「チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」(以下「チームラボリコネクト」)を、東京・六本木に、2021年3月から期間限定でオープンすると発表しました。
なお、当初のスケジュールでは、会期は約半年間でしたが、コロナ禍による臨時休館期間や開館時間の短縮などがあったことから、11月23日(火・祝)まで延長されることが、会期途中の7月30日にプレスリリースなどで発表されました[**]。
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止のため、スケジュールが変更される場合あり。最新の開催状況は、会場ウェブサイト・SNSなどで確認してください
チームラボは、佐賀県・武雄温泉の御船山楽園に常設でオープンした「淋汗茶の湯」など、日本のサウナの歴史的背景も紐解きながら、サウナとアートによる新しい体験を試みる展示も展開しています(下の画像)。
東京・六本木で展覧会として開催されるこのイベントは、ととのい、高級な場所でアートを見るのではなく、サウナによって”ととのう”ことで、来場者自身が最高級な状態になってアートを体験するという、世界に類を見ない全く新しい展覧会となります。
チームラボリコネクトは、高級な場所でアートを見るのではなく、あなたが最高級な状態になってアートを体験する、チームラボによるアートとサウナの新しい展覧会。
サウナによる超温冷交代浴によって、脳を開き、どこまでも広がっていく身体感覚でアートと一体となる。心と身体と環境が、自分という存在の全体性であることに気付き、世界と時間に再びつながる。
”ととのう”とは、温冷交代浴(サウナ・冷水・休憩を繰り返すこと)によってもたらされる、脳科学的にも非常に特殊な状態。チームラボでは、”ととのう”ことによって感覚が鋭くなり、頭はすっきりし、美しいものは、よりいっそう美しく感じられ、普段の感覚では気がつかない体験を得ることができるとしています。
タイトルの「リコネクト」とは、温冷交代浴によって脳を開き、どこまでも広がっていく身体感覚でアートと一体となることで、心と身体と環境が自分という存在の全体性であることに気付き、世界と時間に再びつながることを目指しています。
「チームラボリコネクト」では、チームラボの新たなアートプロジェクト「Supernature Phenomenon」をテーマにした新しい作品群を含む、複数の作品が公開されます。「Supernature Phenomenon」とは、自然界の法則を超えた現象を意味する「超自然現象」と、それによる認知そのものの変化をテーマにしたプロジェクト。万有引力に逆らうなどの超自然現象をただただ眺める過程で、人々の認知そのものが変化し、その認知の変化が人々を「日常とは違った状態」へと導くとチームラボは考えています。
会場は、アート浴エリア、冷水エリア、サウナエリアの3つで構成されます。
球体は、質量の概念を超越し、地面でも天井でもない、空中の中ほどに静止したり、空中を上がったり下がったりを繰り返す。球体は、人々が叩くなど衝撃があると、地面に落ち、転がっていく。しかし、何も邪魔がなければ、自らの状態を修復するかのよう、再びゆっくりと空中に上がっていく。
生命とは何か。例えば、ウイルスは、生物学上の生命の最小単位である細胞を持たないことや、自己増殖することがないことから、生物と無生物の境界領域に存在するものと考えられている。生物と無生物を分かつものが何であるかは、生物学上、未だに定義ができない。
一方、あなたが明日もあなたであり続けているのは、形あるものが崩れていく「エントロピー増大の法則」に反している。つまり、エントロピー(無秩序の度合いを表す物理量)が極大化に向かうとされている宇宙の中で、生命とはその方向に反している存在なのだ。生命は、古典的な物理の法則に反する、超自然現象である。
1977年にノーベル化学賞を受賞した化学者・物理学者のイリヤ・プリゴジンは、自然界には外部からエネルギーを取り入れて、内部でエントロピーを生産し、そのエントロピーを外に排出することによってのみ形成され、非平衡状態の中で維持されるある種の秩序・構造が存在する事を発見した。エネルギー(および物質)を外部に散逸させてエントロピーを外部に捨てることによって内部のエントロピーを減少させて秩序を作り出す。生命体は外部から食物としてエネルギーを取り込み、排泄物としてエントロピーを外部に捨て、エントロピーを維持しているとも言える。
生命とは、外部の環境と連続的である、エネルギーの秩序であるかもしれないのだ。
そして、生命の存在そのものが、物理の法則に反する超自然現象であるがゆえに、作品空間に、エネルギーの秩序をつくると、まるで物理の法則に反する超自然現象かのように万有引力に逆らい、球体はゆっくりと浮き上がり、空間の中腹に留まったり空中を上下したりする。目前で起こっている(自然界の法則を超えた現象という意味の)超自然現象をただ観る時、認知そのものが変化していく。そして、その認知の変化があなたを「日常とは違った状態」へと導くだろう。
作品による認知の変化を模索する。
現実世界と同じ時間の流れの中で、1年を通して、咲いていく花々が移り変わっていく。花々は誕生と死を繰り返しながら、増殖していく。増殖しすぎると、一斉に散って死んでいく。
また、人々が観賞するための椅子に座ろうとすると、花々は散って死んでいく。作品は、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けている。あらかじめ記録された映像を再生しているわけではない。全体として以前の状態が複製されることなく、人々のふるまいの影響を受けながら、永遠に変化し続ける。今この瞬間の絵は二度と見ることができない。
空間に円相が生まれる。身体ごと円相を通り抜ける。
禅における書画のひとつ「円相」(円形を一筆で描いたもの)を空間に一筆(空書)で描いている。
禅において、円相は、古来は空中に杖などで円圏を描いて表されたりしてきた。そして、悟りや真理、宇宙全体、そして平等性を象徴的に表現したものとされる。 見る人の心を映し出す円でもあり、解釈は見る人に任せられる。
空間に円相が生まれる。身体ごと円相の中に入り込む。中には別の世界が広がる。
禅における書画のひとつ「円相」(円形を一筆で描いたもの)を空間に一筆(空書)で描いている。
禅において、円相は、古来は空中に杖などで円圏を描いて表されたりしてきた。そして、悟りや真理、宇宙全体、そして平等性を象徴的に表現したものとされる。 見る人の心を映し出す円でもあり、解釈は見る人に任せられる。
人が、ランプのアレイ(高密度に集合しているランプの塊)の底にある一番低いランプの下を通ると、そのランプが、強く輝き音色を響かせる。もしくは、人が各サウナ室に出入りすると、そのサウナ室の出入口付近のランプが、そのサウナ室の光の色に強く輝き音色を響かせる。
そしてそのランプの光は、最も近い二つのランプに伝播する。伝播したランプの光は、それぞれ同じように強く輝き音色を響かせながら、最も近いランプに伝播し、同じように連続していく。伝播していく光は、必ず、全てのランプを一度だけ強く輝かせ、それぞれ全てのランプを一度だけ通る二本の光のラインとなり、最後に、起点となった最初のランプで出会う。人々はきっと、同じ空間にいる他の人々の存在を感じるだろう。一見バラバラに配置されたランプは、それぞれのランプから三次元上で最も距離が近いランプに線を引いたときに、(始点と終点が同じの)一筆書きできる一本のつながった線(unicursal)になるように配置されている。ランプがこのように配置されることによって、人に呼応したランプの光は、最も近いランプに伝播しているだけにも関わらず、一筆書きのように全てのランプを必ず通り、そして必ず一度だけしか通らない。
ランプの配置に関しては、空間上のランプの配置を数学的に求め、ランプの高さ方向の分布のばらつきと、3次元的な経路(光の軌跡)のなめらかさを定量化し、多数の解に対して評価を行った。
ランプの平面配置は、ランプを吊るために、均一な千鳥配置であり整然としたグリッドになっている。これが一つ目の制約となる。二つ目の制約としてランプの高密度な集合が楕円球の塊になるように設定する。そして全てのランプから、三次元上で最も近いランプに線を引いたときに、起点と終点がつながったたった一本の線(unicursal)になることが三つ目の制約である。
このようなプロセスによって生まれたランプの配置は、一見ランダムのように見えるために、光の軌跡が予測できず飽きないが、実際は、物理的に一番近いものに光が連続していくため、まるで火が燃え移っているかのように自然に感じる。
これは、空間が固定化されていることを前提とした静的な美しさではなく、人々がこのランプに近づくことによって生まれる動的な美しさとも言える。それは、デジタルテクノロジーによって変化そのものを自由に設計でき、人の存在による空間の変化や動きを受け入れた新しい時代の空間のありようである。
ランプシェードは、ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)で制作した。
サウナ施設として、男女共用サウナ5室、女性専用サウナ2室を備えています。ロウリュサウナなど、低温多湿から高温ドライまで、さまざまな温度・湿度を組み合わせられるので、サウナ初心者からサウナ愛好家まで楽しんで入ることができます。
また、サウナ室ごとに、白樺・ジュニパー・かんきつ・ほうじ茶などの香りや、焚き火・洞窟の川・水琴窟・森の風・炎など、さまざまな環境音や音楽を体験することができます。ほうじ茶は、九州・嬉野のEN TEAによってサウナ用に配合・焙煎したもので、サウナシュラン2年連続1位を獲得した〈御船山楽園らかんの湯〉でも採用されています。
このほかの館内設備は以下の通りです。
冷水
冷水浴は、チラー(冷却器)によって冷やされ温度が一定に維持された、冷水シャワーを完備。直径30cmのシャワーヘッドを、頭上(オーバーヘッド)および肩口の計2か所に設置しています。頭上から大量の冷水を浴びることができます。また、髪を濡らしたくない方などは、肩口から冷水を浴びることも可能。
冷水エリアは2箇所、それぞれが水の作品空間となっており、身体ごと作品に没入します。
温水シャワー
男女別更衣室に、温水シャワールームを備えています。シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、メイク落とし(女性専用)を無料で提供しています。
更衣室・パウダールーム
男女別のパウダールームには、化粧水、乳液、くし、ドライヤーを備えています。
会期は2021年3月22日から8月31日までの予定でしたが、コロナ禍による休業期間があったことなどから、11月23日まで延長されています。
〈空中浮揚〉や〈増殖する無量の生命〉、 冷水エリアに〈円相を通り抜けて〉や制作中の〈円相に迷い込んで〉、サウナエリアに〈呼応するランプのアレイとスパイラル〉など、多くの新作を含む作品群が発表、体験できます。
先ごろリニューアルした展覧会公式ウェブサイトでは、サウナ施設の詳細、サウナ・冷水・アート浴の3セットを繰り返す、体験の流れや、医学的・歴史的・文化的な観点から見た本展の背景などが公開されています。
なお、本展は、ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」がメインパートナーとして参画します。(en)
#teamLab YouTube公式チャンネル「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木 / teamLab & TikTok, teamLab Reconnect : Art with Rinkan Sauna」(2021/03/13)
会場:チームラボリコネクト(東京都港区六本木5丁目10-25 / Google Map)
会期:2021年3月22日(月)〜8月31日(火) 11月23日(火・祝)
通常営業時間:10:00-23:00(最終入館 21:30)
※3月22日(月)〜4月23日(金)の平日:12:00-23:00(最終入館 21:30)
臨時休館:4月25日(日)〜5月13日(木)
休館日:不定休(公式ウェブサイトを参照)
※COVID-19(新型コロナウイルス感染症)拡大防止のため、スケジュールが変更される場合あり。最新の開催状況は、会場ウェブサイト・SNSなどで確認してください
料金:平日 4,800円 / 土日祝・特定日 5,800円(3月9日[火]より販売開始)
主催:チームラボリコネクト実行委員会
協賛:TikTok
サウナ室監修:メトス
※COVID-19拡大予防の観点からスケジュールが変更される可能性あり。最新の情報は会場ホームページ・SNSを確認のこと
展覧会公式ウェブサイト
http://reconnect.teamlab.art