京都市内中心部に点在する複数の会場にて、国内外の写真家が多数参加した「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024」が5月12日まで開催されています。
「KYOTOGRAPHIE / 京都国際写真祭」は、国際都市である京都のまちを周遊しながら写真作品を鑑賞できるアートイベントです。
今年で開催12回目を数え、テーマとして「SOURCE」を掲げます。八竹庵(旧川崎家住宅)のインフォメーションセンターを含む12の会場にてメインプログラムを展開するほか、サテライトイベントとして、今後の活躍が期待されるアーティストやキュレーターの発掘と支援を目的に2013年よりスタートした写真祭「KG+」なども注目です(街中の黄色い旗が目印。インフォメーションセンターは建築家の安藤忠雄の設計で知られるTIME’S(タイムズ)。
0:インフォメーション町屋
1:誉田屋源兵衛 竹院の間・黒蔵 ▶︎▶︎会場写真を見る
2:京都芸術センター ▶︎▶︎会場写真を見る
3:京都文化博物館 別館 ▶︎▶︎会場写真を見る
4:嶋臺(しまだい)ギャラリー ▶︎▶︎会場写真を見る
5:京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡) ▶︎▶︎会場写真を見る
6:二条城 二の丸御殿 台所・御清所 ▶︎▶︎会場写真を見る
7:両足院 ▶︎▶︎会場写真を見る
8:ASPHODEL ▶︎▶︎会場写真を見る
9:Sfera ▶︎▶︎会場写真を見る
10:TIME’S ▶︎▶︎会場写真を見る
11:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階 ▶︎▶︎会場写真を見る
12:京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階 ▶︎▶︎会場写真を見る
13:出町桝形商店街-DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space ▶︎▶︎会場写真を見る
本稿では先ず、SIMPLICITYを率いる緒方慎一郎氏がセノグラフィーを担当し、二条城 二の丸御殿 台所・御清所で開催されている写真展「ティエリー・アルドゥアン 種子は語る」の概要を伝えます。
二条城 二の丸御殿 台所および御清所(おきよどころ)は、どちらも桃山時代の1625-1626年頃に建造されたとされる歴史的建造物です。そのうちの台所は、1939年に国の重要文化財に指定されています。
この由緒ある2つの会場では昨年、建築家の田根 剛氏(ATTA: Atelier Tsuyoshi Tane Architects)のセノグラフィーによる、写真家の高木由利子氏の個展「PARALLEL WORLD Presented by DIOR」が開催され、話題を集めました。
本展は、世界各地の500種以上の植物の種子の写真を撮影している写真家のティエリー・アルドゥアン(Thierry Ardouin)と、フランスの写真・建築・現代美術を専門とする出版社・Atelier EXB との長年にわたるコラボレーションの一環として開催されます(キュレーター:ナタリー・シャピュイ / Atelier EXB)。
なお、アルドゥアンは今回、本展のために、京都の農家が代々受け継ぎ栽培している「京野菜」の種子の撮影にも取り組み、作品を披露しています。
写真家集団Tendance Floueの共同設立者でもあるフランスの写真家ティエリー・アルドゥアンは、人間とその環境とのつながりをテーマに活動している。本プロジェクト「Seed Stories」でアルドゥアンは、科学機器を用いて限りなく小さなものに取り組んだ。彼が撮影した種子のポートレートは、その魅力的な形の多様性と美しさを浮かび上がらせ、「偉大な旅人」である種子の歴史を描き出している。世界中のさまざまな種から、野生、または栽培されたこれらの種子のほとんどは、パリの国立自然史博物館の所蔵品である。細心の注意を払って選ばれ、照らされ、額装されたこれらのポートレートは、鑑賞者である私たちの主観を揺さぶることだろう。すなわちそれは、単なるありふれたイメージからかけ離れて、私たちの知覚や私たちの起源との関係に疑問を投げかける記号となりうる。
1万年以上前の農業の出現から、今日のハイブリッド種子が提起する問いまで、文化や時代を超えた種子の存在の解明を通じて、「Seed Stories」は多様性への挑戦を探求する。
種子は神秘的な存在です。種子を観察することは生命の歴史を紐解くことであり、人類誕生以前の自然界を再考・再認識 することでもあります。種子の物語は時空を超越した旅であり、それはミクロの旅であると同時にマクロの旅でもあります。 地球の気候が大きく変動した第三紀には、植物は新たな生息域を開拓し、適応していくことを迫られました。さまざま試練を乗り越えるために必要なエネルギーを蓄えた貯蔵庫付きの小さなカプセル、すなわち種子は、多彩な移動戦略を編み出しました。カラフルな色彩で鳥を惹き付けるもの、翼を生やしたもの、防水性の外皮をまとって波に乗り流されるもの、風に飛ばされるもの動物の毛皮にくっつくためのフックを備えたもの・・・・・・何千年もの時間の中で、種子の旅は地球上に植物の豊かな多様性を生み出してきたのです。
野生の植物の栽培化や商品化を通じて、種子は人類文明の発展にも寄与してきました。新石器時代には、作物の栽培によって人類の定住が始まり、社会規範や土木技術が形成されます。古代では植物は学者たちにとって魅力的な研究テーマとなり、中世には物々交換や収集の対象でした。近代に入ると、種子は探検家たちとともに長距離を移動するようになります。農 業、科学、美学、商業を背景とした人類の欲望に翻弄されながら、種子は今も世界中を駆け巡っています。 植物のエネルギーは国境を越えて広がり、その壮大なスケールの旅は地球の多様性の象徴となっています。種子は、政治や科学、知識が絡み合った、人間と自然の複雑な関係性を物語ります。(テキスト:KYOTOGRAPHIE 提供)
「ティエリー・アルドゥアン 種子は語る」
Presented by Van Cleef & Arpels
In collaboration with Atelier EXB
会期:2024年4月13日(土)〜5月12日(日)
開場時間:9:30–17:00(入場は閉館30分前まで)
休場日:なし・会期中無休
観覧料:大人 1,200円、学生 1,000円(学生証の提示要)
注.二条城への入城は16:00まで、17:00閉城
注.観覧料のほかに二条城への入城料(800円)が必要
セノグラファー:緒方慎一郎(SIMPLICITY)
展覧会詳細
https://www.kyotographie.jp/programs/2024/thierry-ardouin/
本稿でピックアップした上記の写真展「ティエリー・アルドゥアン 種子は語る」のほか、「京都国際芸術祭」では今年もさまざまな展覧会・プログラムが用意されています。
今年もインフォメーションセンターは八竹庵(旧川崎家住宅)に置かれ、ここを拠点に各会場には徒歩あるいは公共交通機関を利用しての周遊が容易に可能です。
公式ウェブサイトのMAP通番順に、メインプログラムの各会場を公式写真でレポートします(各会場の最新情報は「京都国際写真祭 2024」公式ウェブサイトの案内を参照)。
中でも注目は、上記で紹介した二条城での写真展のほか、京都三条・高瀬川の川べりに建つ〈TIME’S〉が会場の1つとなっていること。建築家の安藤忠雄氏の代表作として知られ、1984年にオープンした商業施設ですが、近年はテナントが退店して営業を停止していたため、今回の「京都国際写真祭」ではビルに入館できる貴重な機会となっています(▶︎▶︎会場写真を見る)。
所在地:京都府京都市中京区三条町340(GoogleMap)
開場時間:10:00-19:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:なし・会期中無休
入場・利用料:無料
Birdhead(鳥頭)
「Welcome to Birdhead World Again, Kyoto 2024」開催概要
Presented by CHANEL NEXUS HALL
会場:誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵
開場時間:10:00-18:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:4月18日(木)・25日(木)、5月2日(木)・9日(木)
入場料:無料
キュレーター:フィリップ・ティナリ
セノグラファー:小西啓睦(miso)
ジェームス・モリソン
「子どもたちの眠る場所」
Supported by Fujifilm
会場:京都芸術センター
開場時間:11:00–19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:5月7日(火)
入場料:大人 800円、学生 600円(学生証の提示要)
クラウディア・アンドゥハル
ヤノマミ
ダビ・コペナワとヤノマミ族のアーティスト
概要:ブラジル人アーティストのクラウディア・アンドゥハル(Claudia Andujar)とブラジルの先住民ヤノマミとのコラボレーションを発表する日本初の展覧会
会場:京都文化博物館 別館
開場時間:10:00–19:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:4月15日(月)・22日(月)、5月7日(火)
入場料:大人 1,200円、学生 1,000円(学生証の提示要)
キュレーター:チアゴ・ノゲイラ
セノグラファー:おおうち おさむ(nano/nano graphics)
ルシアン・クレルグ
「ジプシー・テンポ」
Supported by Cheerio
会場:嶋臺(しまだい)ギャラリー
開場時間:10:00–18:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月16日(火)・23日(火)・30日(火)、5月7日(火)
入場料:大人 800円、学生 600円(学生用の提示要)
キュレーター:フランソワ・エベル
セノグラファー:山尾エリカ
ヴィヴィアン・サッセン
PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990–2023
Presented by DIOR
In collaboration with the MEP – Maison Européenne de la Photographie, Paris
共催:京都新聞
助成:駐日オランダ王国大使館
会場:京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)
開場時間:10:00–18:00 ※入場は閉館の30分前まで
会期:2024年4月13日(土)〜5月11日(土)
休館日:4月16日(火)・23日(火)・30日(火)、5月12日(日)
入場方法:各種KYOTOGRAPHIEパスポートもしくは限定無料チケット(オンライン配布)での入場
キュレーター:クロチルド・モレット
セノグラファー:遠藤克彦建築研究所
※開催概要は本稿冒頭 PICK-UPを参照
柏田テツヲ / Tetsuo Kashiwada
「空(くう)をたぐる」
Ruinart Japan Award 2023 Winner
Presented by Ruinart
会場:両足院
開場時間:10:00–17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月19日(金)・20日(土)・24日(水)、5月1日(水)・8日(水)
入場料:無料
セノグラファー:小髙未帆(APLUS DESIGNWORKS)
ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)
「カサブランカは映画じゃない」
Supported by agnès b.
会場:ASPHODEL
開場時間:11:00–19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月17日(水)・24日(水)、5月1日(水)・8日(水)
セノグラファー:横前拓磨+Ghali Bouayad(YOKOMAE et BOUAYAD inc.)
イランの市民と写真家たち
「あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──」
In collaboration with Le Monde
会場:Sfera
開場時間:12:00–19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:4月17日(水)・24日(水)、5月1日(水)・8日(水)
入場料:大人 600円、学生 500円(学生証の提示要)
キュレーター:マリー・スマラ、ハザル・ゴルシリ
展示デザイン:辨野翔太郎、イアニス コンブ
ジャイシング・ナゲシュワラン
「I Feel Like a Fish」
KG+SELECT Award 2023 Winner
会場:TIME’S(※1984年竣工の安藤忠雄建築)
開場時間:11:00–19:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:なし・会期中無休
入場料:大人 600円、学生 500円(学生証の提示要)
セノグラファー:木村俊介(SSK)、小寺磨理子(AMK)
※TIME’Sは「京都国際写真祭」のサテライトイベント「KG+」のインフォメーションセンターとしても使用される(詳細はこちら)
川田喜久治
「見えない地図」
Supported by SIGMA
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階
開館時間:10:00–18:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:4月15日(月)・22日(月)
入場料:大人 1,200円、学生 1,000円(学生証の提示要)
※川内倫子・潮田登久子展との2展示セットチケットあり
キュレーター:高橋 朗(PGI)
セノグラファー:おおうち おさむ(nano/nano graphics)
川内倫子・潮田登久子展
From Our Windows
川内倫子「Cui Cui + as it is」
潮田登久子「冷蔵庫 / ICE BOX+マイハズバンド」
Supported by KERING’S WOMEN IN MOTION
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階
開館時間:10:00–18:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:4月15日(月)・22日(月)
入場料:大人 1,200円、学生 1,000円(学生証の提示要)
※川田喜久治展との2展示セットチケットあり
ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)
「KIF KIF KYOTO」
KYOTOGRAPHIE African Residency Program
会場:出町桝形商店街、DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space
開場時間:11:00–18:00 ※金・土曜は21:00まで、入場は全日・閉館30分前まで
休館日(DELTA):4月16日(火)・23日(火)・30日(火)、5月7日(火)
入場料:無料
テーマ:SOURCE
会期:2024年4月13日(土)〜5月12日(日)
会場:誉田屋源兵衛 竹院の間・黒蔵、京都芸術センター、京都文化博物館 別館、嶋臺(しまだい)ギャラリー、京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)、二条城 二の丸御殿 台所・御清所、両足院、ASPHODEL、Sfera、TIME’S、京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階、京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階、出町桝形商店街-DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space、八竹庵(旧川崎家住宅)
入場料:限定無料チケット(オンライン配布のみ)、あるいは各種KYOTOGRAPHIEパスポート(ミニパスポート:一般 1,500円、学生 1,300円|平日限定パスポート:一般 4,000円|エクスプレスパスポート:15,000円)のいずれかが必要(注.無料の会場あり)
パスポートチケット詳細
https://www.kyotographie.jp/tickets/
主催:一般社団法人KYOTOGRAPHIE
共催:京都市、京都市教育委員会
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」公式ウェブサイト
https://www.kyotographie.jp/
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」公式X
https://twitter.com/kyotographie_
京都市(2024年3月15日)
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000323964.html
「From Our Windows」展に関して / ケリング(2024年3月29日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000055433.html
ヴィヴィアン・サッセン「PHOSPHOR」展に関して / クリスチャン・ディオール(2024年4月15日、5月1日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001546.000008795.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001567.000008795.html
柏田テツヲ「Pulling the Void(空をたぐる)」に関して / ルイナール(Ruinart)(2024年4月16日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000698.000006986.html
「輪廻・循環の断片」JINN YAGI展に関して / インターナショナルパブリックアート(2024年3月29日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000101088.html
写真家ヴァンサン・フルニエの個展に関して / 京阪ホテルズ&リゾーツ(2024年4月10日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000416.000083761.html
「KG+」ウェブサイト
https://kgplus.kyotographie.jp/