待望の日本巡回、今年見るべき展覧会の1つ
東京・江東区の東京都現代美術館(Museum of Contemporary Art Tokyo: MOT)にて開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展が大変な人気を集めている。日本国内において、最も入場チケットを取りにくい展覧会の筆頭に挙げられるだろう。
MOTの公式ツイッターによれば、会場は連日、当日券を求める人で朝から長蛇の列ができ、開館前の時点で販売終了に。この盛況を受けて、MOT側では5月の一部土・日曜に限り、20時までの開館時間延長を発表している。
ディオールのヘリテージコレクションからの厳選
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展は、ディオールが保存・管理する膨大なアーカイブコレクションから、ドレス、バッグ、香水、デザイン画などの歴史的資料が多数展示されている。
2017年にフランス・パリからスタートした後、国際巡回展として、英国・ロンドン、中国・上海と成都、米国・ニューヨーク、カタール・ドーハの世界6都市で開催され、その都度で大きな話題を集めてきた。これが待望の日本開催である。
会場ごとに展示点数や構成の違いはあれど、クリスチャン・ディオールの歴史と栄光を讃え、オートクチュールとものづくりを支える職人たちのサヴォワールフェール(savoir-faire)の精神を、多彩な展示で伝えてくれる。東京を含めたどの会場も、さまざまなプロダクトを通してディオールの世界観に没入体験させる空間演出が大きな特徴だ(各会場の様子は、ディオールのYouTubeチャンネルに編集された動画が公開されている)。
Christian Dior YouTube「”Christian Dior: Designer of Dreams” at the Musée des Arts Décoratifs」(2020/04/14)
パリ装飾芸術美術館にて初回の”Christian Dior: Designer of Dreams”が開幕するまでのメイキング映像は濃厚な57分。メゾンを支えるアトリエの職人たちへのインタビューも収録されており、ものづくりへのあくなき精神と、プロダクトとしての完成度の高さを裏付ける資料となっている。
待望の日本巡回!東京都現代美術館「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展の空間演出をOMAパートナーの重松象平氏が担当
この日本巡回展の「セノグラフィー(Scenography)」とディオールが呼んでいる会場デザインを、OMAパートナーで、OMA NYを率いる建築家の重松象平氏が手がけている。
『TECTURE MAG』編集部では、開幕前の12月19日に行われたメディア向け内覧会を取材。重松氏にも会場にてインタビューを行った。
写真を中心とした速報は12月21日に掲載しているが、本稿では、関係者が出席したプレスカンファレンスの様子も交えて、本展の見どころをさらに詳しくレポートする。
INDEX
#待望の日本巡回、今年見るべき展覧会の1つ
#ディオールのヘリテージコレクションからの厳選
#建築家になりたかったクリスチャン・ディオール
#13の部屋を通り抜けてメゾンの歴史を体感する構成
#1着のドレスごとにストーリーがある
#非日常性を創出した重松象平氏によるセノグラフィー
#メゾンの世界観を伝えるデバイスとなる”表面(surface)”をつくる
#日本人アーティストとの化学反応
#「人がまとい、動いてこそ、服は美しい。」
#13ある部屋の配置の工夫
#本展最大のアトリウム空間を使い切る
#日本文化の多様性を表現したデザイン
#似て非なる建築とファッション
#開催概要
#プレスカンファレンスに出席した関係者コメント
建築家になりたかったクリスチャン・ディオール
重松氏によるセノグラフィーを深掘りする前に、メゾンとしての歴史と特色を簡単におさらいしておきたい。
クリスチャン・ディオール(Christian Dior)といえば、創業から76年の歴史を有するフランスを代表するメゾンの1つだが、創業者自身は52歳の若さで没している。さらに、最初からファッションデザイナーを目指したわけでもない。なりたかったのはなんと建築家で、両親の反対にあって断念している。その後、アートギャラリーのディレクターに就き、ここでメゾン創業とその後の展開に影響を与える人脈を築いた。
パリ8区のアヴェニュー・モンテーニュ30番地にて、自身の名を冠したブランドを立ち上げたのは1946年、41歳のときだ。ファッションデザイナーとして活動したのは、急逝するまでの11年でしかない(以降、本稿では彼を「ムッシュ・ディオール」と呼称する)。
短命だったムッシュ・ディオールだが、ものづくりへの彼の精神は、21歳の若さでアトリエから抜擢されたイヴ・サンローランをはじめ、代々のクリエイティブディレクターに受け継がれ、今日に至る。
#13の部屋を通り抜けてメゾンの歴史を体感する構成
日本会場では、本邦初公開となる貴重な資料やドレスを含めて約1,100点もの展示数を誇る。
この膨大なアーカイブを、テーマごとに用意された13の部屋ごとに展示し、創業者であるムッシュ・ディオールから、2016年からクリエイティブディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリに至るメゾンの歴史を、部屋から部屋を通り抜け、旅するように総覧する構成となっている。
13の部屋
1.プロローグ
2.「ニュールック」
3.「ディオールと日本」
4.「ディオールが残したもの」〜ディオールの歴代6名のクリエイティブディレクターの仕事を紹介
5. 高木由利子氏による写真作品の展示
6.「ディオールのアトリエ」
7. メディア・マガジン
8.「コロラマ」
9.「ミス ディオールの庭(ガーデン)」
10.「ディオールのスターたちとJ’ADORE」
11.「ディオールの夜会」
12.「レディ ディオール」
13.「ディオールと世界」
ファッションに携わる人はもちろんのこと、建築・デザイン関係者、そしてファッションやブランドにあまり興味がないという人にも楽しめる内容となっている「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展、重松氏はどのようなセノグラフィーで各部屋を見せたのか?
本稿では、まず各部屋の画像13枚で、会場の様子で伝える(下の画像はスライド式表示)。部屋ごとの見どころは後述とする。
1着のドレスごとにストーリーがある
1着のドレスが誕生するまでに、何から影響を受け、当時の社会や後世にどのような影響を与え、今に受け継がれてきたのか、そのストーリーを1つ知るだけでも知的好奇心が満たされる。
例えば、ディオールを代表する「ニュールック」がテーマの第2室では、1947年2月のメゾン設立にあわせてデザインされた〈バー・ジャケット(英語表記はBar Suit)〉が象徴的に展示されている。
クリスチャン・ディオールとして初のコレクションで発表されたもので、ウエストを絞り、ボトムにかけて丸みを強調したラインは当時、賛否の両面で大評判となった。
戦後の女性を美しくみせたいとムッシュ・ディオールがデザインしたドレスを目にした著名雑誌の編集者が「これぞニュー・ルック!」と表現し、以降の評価を決定づける。
非日常性を創出した重松象平氏によるセノグラフィー
本展では撮影禁止の作品を除き、非営利目的であれば、場内での撮影およびその後のSNS発信も許可されている。
このため、ネット上で「ディオール展」と検索すれば、展示を絶賛するコメントとともに場内の様子を確認できる。重松氏が手がけたセノグラフィーの貢献の大きさもここで裏付けられる。
建築家が展覧会の会場デザイン・構成を担当することは近年では珍しくないが、日本では、什器をデザインした裏方のような位置付けとなり、その評価は定まっていないのではなかろうか。
対して、今回の重松氏によるセノグラフィーは、参加しているアーティストとのコラボレーションをまとめあげた手腕も含め、間違いなく今後、氏の代表作の1つに数えられるに違いない。
「ファッションの展覧会を美術館で開催することは、今は珍しくもありません。でも、ひと昔前はそうではなく、わざわざ美術館で展示する対象としてみなされていませんでした。ホワイトキューブが多い美術館というハコで、ドレスやファッションをどのようにみせるのかという課題についても、これまであまり議論されてこなかったように思います。」と重松氏は、今回の空間デザインのおける大きなテーマを挙げた。
「単にドレスを並べても、ドレスが制作された当時の時代性といったものまで表現することはできない。そういったさまざまな課題を、自身への問いとして抱えながら、今回のセノグラフィーに臨みました。」(会場にて、重松象平氏談)
「ディオールと、展覧会キュレーターのフロランス・ミュラーさんが設定したストーリーのもと、13の部屋をそれぞれデザインしています。各部屋ごとに”表面(surface)”を造作して、それらが単なる部屋の壁にならないように注意しました。」と重松氏。
「”ニュールック”の部屋でいうと、ディオールの出発点としてメゾンを象徴する〈バー・ジャケット〉の上に、膜構造の天井と壁を造作して、この服を特徴づけているコロール(花)のフォルムを表現しています。」(会場にて、重松氏談)
続いての部屋、ディオールと日本との長年にわたる絆を伝える部屋「ディオールと日本」では、青森県のねぶた祭りの張子にも使われている和紙を”表面”を造作する素材として採用。フレームの構造体の上から張り、ドレスのような有機曲線で空間を覆った。
メゾンの世界観を伝えるデバイスとなる”表面(surface)"をつくる
「ディオールと日本」の部屋を覆った紙漉きの和紙について、重松氏は「新しい表面(surface)」と表現した。その意図は何か?
「そもそもファッションとは、人が着用して初めて成り立つアートであると考えています。人が身につける衣服と、美術館の展示室、その間になにかもうひとつ、別のスキンというか、新しい”表面”を差し込むことで、メゾンとしての世界観や、ドレスがそれぞれにもっているテーマやストーリー、非日常性といったものを、なにか感覚的に、もしくは直接的に伝えるデバイスになるのではないかと考えました。
例えば、展示の後半にある部屋”ミス ディオールの庭(ガーデン)”では、切り絵アーティストの柴田あゆみさんが制作した紙製の植物が天井からたくさん吊り下げられ、圧巻の光景です。アート作品であると同時に、新しい”表面(surface)”でもあるのです。」(会場にて、重松氏談)
日本人アーティストとの化学反応
世界6都市を巡回している本展は、開催される国、都市の歴史や文化へのリスペクトがみられるのが特徴だ。本展でも「日本」というものを意識したものにしてほしいというリクエストがディオールからあったという。
「そのほかに、アート・デザイン全般に対して大変強い興味を持っているメゾンらしく、コラボレーションする日本の作家との関係性を大事にした空間にしてほしいというリクエストが大きくありました。
例えば、”ガーデン”でコラボレーションした切り絵アーティストの柴田あゆみさんや、本展で写真を撮り下ろしている髙木由利子さん、東京都現代美術館のコレクションから出展される吉岡徳仁さんの作品〈ROSE〉との関係性ですね。これらアートとのコラボレーションから、なにか新しい化学反応が起こるようにしてほしいんだと。そこで、アートと空間、アートと建築がなるべく一体化するようなセノグラフィーを考えました。」(会場にて、重松氏談)
「”ディオールと日本”の部屋に続く、ディールの歴代クリエイティブディレクターの仕事を伝える”ディオールが残したもの”と題した部屋では、高木さんの写真を大きく引き伸ばして、黒いけれども透過性があるスクリーンに出力して、天井高のある大きな気積の展示室をゆるやかに6分割しています。ディオールの各時代のドレスが、髙木さんのアーティスティックな作品と同居することで、あの部屋はとても魅力的な空間になっていている。」(会場にて、重松氏談)
「人がまとい、動いてこそ、服は美しい。」
本展のメインビジュアル(下の画)が発表されたとき、不思議に思った人は少なくないのではないだろうか。撮影対象が静止しておらず、残像とともに動いている。シャッタースピードが遅いとこのように写る。
この理由を、撮影者の高木氏は、メディア内覧会の冒頭に開催されたプレスカンファレンスにて次のように説明している。
高木由利子氏コメント
「私はこれまで、人と服の関係をテーマに写真を撮ってきた。民族衣装の撮影はあったが、オートクチュールは初めて。ディオールの服を実際に手にして、パッションとエモーションがそこに封じ込められていると感じた。これをどのように表現すればよいか。そして、日本人の私がどのようにこの仕事にインタラクティブしていくかを考えた。ムッシュ・ディオールが自然を愛し、花が好きだったことに着想を得て、日本では茶室などにみられる一輪挿しをイメージして、撮影する服にあわせて花を1種類ずつ用意した。
撮影は、マネキンに着せた場合とモデルでの場合と2タイプあり、マネキンでは顔の部分に花を配置し、モデルの場合は花を一輪だけ手に持たせている。さらに、モデルの撮影ではシャッターの露出時間を8秒と長くして、最初の4秒は静止してもらい、残りの4秒で動いてもらった。服というものは、動いてこそであり、動きが出て初めて服となり、美しさが出ると考えたからだ。
なお、カタログ収録写真を含めた本展の撮り下ろしでは、パリに3週間滞在し、当初は60着のところ、最終的に約120着を撮影している。」
プレスカンファレンスに同席し、高木氏の話を横で聞いていた重松氏は、「服とは、人がまとうことによって”動き”が生まれ、初めてその美しさが伝わる」という高木氏の考えに深く同調している。
だが、展覧会の場では人がドレスを着続けることはできない。そこで重要となったのが、本展においては前述の「ディオールが残したもの」の部屋でとりわけ顕著な、高木作品とのコラボレーションによるセノグラフィーである。
「ドレスの動きでディオールの美を表現した高木さんの写真作品によって、ドレスそれぞれの本質を伝えることができた」と重松氏は語っている。
13ある部屋の配置の工夫
本展における展示の課題はそのほかにも挙げられる。展示室の数が13と多く、さらにグランドフロアの1階と、エスカレーターを降りていく地下2階に分かれていることだ。
展覧会全体の統一感、連続性の保持について、重松氏はどのように対応したのだろうか。
「13の部屋を、暗い部屋のあとに明るい部屋が、暖かみのある部屋のあとには逆の印象を与える部屋が、というふうに、異なる部屋が交互にあらわれるようにしました。」(本展会場にて、重松氏談)
この言葉どおりの構成となっている、次の6番目の「ディオールのアトリエ」から、13番目の「ディオールと世界」の部屋までを一気に見ていこう。
本展最大のアトリウム空間を使い切る
重松氏に課せられたミッションの中でも大きなものに、本展の終盤に位置するアトリウム、地下2階から3階までの吹き抜け空間への対処があった。
スケールも気積も大きいため、最大の難所となる大空間を、重松氏は本展最高の見せ場へと昇華させた。
その画期的な空間デザインについて、重松氏は次のように振り返っている。
「アトリウムでの展示は、これまでにMOTでの展覧会の会場デザインを手がけた人たちを最も悩ませてきたと思います。あの大空間での展示は過去に幾つか見ていますが、空間が持っている強さにフィットできている作品は限られていた。
さらに、動線の面でも考えないといけないのが、来場者はまず1階から会場に入って、あの大空間を先に見下ろします。展示作品に近づくのは、展示の終盤、地下2階に降りた後になるのです。
上と下とで異なるシークエンスをどうしようかと。それにどうせならこの大空間を使いきりたい。考えに考えて、天井に鏡を張り、階段状にマネキンを並べて、夜会(舞踏会)を演出した今回の空間デザインに辿り着きました。」(会場にて、重松氏談)
「ディオールの夜会」の部屋では、天井に鏡を張ったことで、もとの吹き抜けの高さ以上の圧倒的なスケール感を生み出している。
展示も1つではなく、イブニングドレスをまとった35体のマネキンが階段状に並び、プロジェクションマッピングで流れる映像と相まって、華やか。まさに「ディオールの夜会」だ。
「デザイン次第でトランスフォームができるということを示したかった。階上と地階、上と下とで大きく異なる2つの視点に耐えうる空間になったと思います。さらに、斜面の裏には最後の展示となる”ディオールと世界”の部屋を配置して、空間を最大限に有効活用しています。」(会場にて、重松氏談)
これまでにもアトリウムではさまざまな展示が行われてきたが、重松氏の大空間へのアプローチは、東京都現代美術館における新たな展示の1ページを刻んだといっていい。
日本文化の多様性を表現したデザイン
今回のインタビューでは、海外に活動の拠点を構え、実際に活躍もしている日本人建築家の代表的な1人である重松氏に対して、いわば”日本凱旋”となる本展にどのような心づもりで挑んだのか、尋ねてみた。
「僕は建築家としてかれこれ27年ほど海外で活動してきました。今回、日本で仕事をするとなったときに、日本人だから、というバイアスを自らかけてしまうと、どうしても不要なオリエンタリズムをまといかねない。そうはならないように強く意識しました。」(会場にて、重松氏談)
「冒頭の展示、”ディオールと日本”の部屋などでは、和紙を使っていて、どこか日本ぽいけれども、透けてみえている構造体も含めて、空間全体としては現代的な表現になっています。この日本の伝統文化と現代性の境目の曖昧さはあえて残すようにしました。
ひとくちに日本といっても、伝統文化だけではないし、新しいテクノロジーも日々生まれている。和紙も、ペーパー特有の白さだけでなく、温かみもあり、色もある。今回のセノグラフィーでは、日本にはいろいろな多様性があるのだということを伝えることも意識して、全ての会場をデザインしています。」(会場にて、重松氏談)
似て非なる建築とファッション
建築家として今回、ファッションの世界を伝える展覧会のセノグラフィーを担当した重松氏。建築とファッション、この2つの世界の類似性について、プレスカンファレンスの席上で次のように見解を述べている。
「ファッションデザイナーと建築家の類似点は、どちらもオンリーワンを提供する仕事であるということ。建築は土地にあわせて、ドレスはその人にあわせてつくられ、そしてどちらも人を介して成り立つアートフォームです。生活のシーンがそれぞれにあり、ストーリーがある。
若い頃に建築家を目指していたというクリスチャン・ディオール。あらためて彼のクチュールのつくりかたを見てみると、建築との親和性が感じられました。」(プレスカンファレンスでの記者会見にて、重松氏談)
今回のセノグラフィーについて、重松氏は「もっと建築的なアプローチもやろうと思えばできた」と取材の最後に言葉を添えた。
「純粋に、ディオールのドレスがすべての中心にあったので、これをいかに美しく見せるか、ドレスそれぞれのストーリーをいかにきちんと伝えるかに注力しました。メゾンのストーリーの演者であるドレスを美しく見せることで、ディオールの世界観を表現することができる。今回の仕事はまさに舞台美術(セノグラフィー)でした。舞台美術のように、空間をデザインできたことが嬉しい。ムッシュ・ディオール以降のデザイナーたちへのリスペクトも表現しつつ、ディオールの作品群との化学反応を楽しむことができました。」
さらに重松氏は「本展は、決してレトロスペクティブ的な回顧展ではない」と強調する。これに続く氏の言葉をそのまま借りれば、本展はメゾンの未来を象徴するものである。[了]
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展 開催概要
会期:2022年12月21日(水)〜2023年5月28日(日)
休館日:月曜
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
夜間臨時開館(2023年3月22日発表)
盛況につき、下記日程で20時まで特別に開館(展示室最終入場は19:30)
5月13日(土)、14日(日)
5月20日(土)、21日(日)
5月27日(土)、28日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/ B2F
所在地:東京都江東区三好4-1-1(Google Map)
観覧料:一般 2,000円、大学生・専門学校生・65歳以上 1,300円、中高生以下無料
※オンライン予約優先チケット(日時指定券・日付指定券)を導入中。5月分のオンライン予約優先チケットは4月5日(水)10:00より販売開始。美術館チケットカウンターで販売する当日券は連日早期に販売終了しているため、最新の情報は東京都現代美術館ウェブサイトやSNSなどを要参照
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
特別協力:クリスチャン ディオール クチュール
※シャトルバス特別運行あり:本展開催期間中、展覧会のラッピングを施した特別仕様のシャトルバスが、銀座6丁目のGINZA SIXと東京都現代美術館を往復する(注. メンテナンスのため臨時運休する場合あり)。乗車は無料。但し、乗車には、バス停に常駐するスタッフのiPad上にて、LINEの順番待ちアプリに登録し、発行された整理券が必要。
展覧会詳細
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Christian_Dior/
東京都現代美術館(MOT)公式Twitter
https://twitter.com/MOT_art_museum
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展 特設ページ
https://bit.ly/3V8GZMI
本展キュレーター / フロランス・ミュラー氏コメント
「ディオールは、創業以来のドローイング、プロダクトなど、業界でも随一のアーカイブを誇ります。ドレスは数万枚におよび、これらを保管する専用施設も完備しています。この膨大なアーカイブから厳選する作業は困難を極めました。先ずは本展のストーリーを決め、展示する各美術館の規模にあわせて削ぎ落としていきました。
日本巡回展では、創業者のムッシュ・ディオールが幼少期より抱いていた日本への憧憬や、戦後において、欧州のオートクチュール・メゾンが日本に初めて進出し、当時の窓口を担った大丸百貨店の役割、当時の皇太子(現上皇)のご婚礼の際に美智子妃殿下(現上皇后)のドレスを製作したこと、その後も続く日本皇室との深い絆を伝えることも意識しました。
また、本展においてとりわけ重要だったのは”ガーデン(ミス ディオールの庭)”の創出です。フランス・ノルマンディー地方のグランヴィルに残されている生家にその痕跡が見られますが、ムッシュ・ディオールは、自然を愛した母親が丹精込めて育てた美しい庭に囲まれ、日本の浮世絵を模したフレスコ画にも接して育ちました。この幼少期の美しい体験は、彼が41歳でディオールを創業したのちにも大きな影響を与えています。
本展では、知られざる日本との絆や本邦初公開の資料などとともに、新しい角度からディオールを見て、深く知ってほしいと願っています。」
本展学芸員 / 小高日香理氏コメント
「本展では、東京都現代美術館(MOT)のコレクションから、吉岡徳仁氏、手塚愛子氏ら7作家・16作品をセレクトし、本展においてとりわけ重要な空間である”ガーデン”を含めた幾つかの展示室に配置しています。
約120年におよぶディオールの歴史、各時代の様相を示すとともに、美術館としての歩みを示すものとなっており、それらを含めて本展を総覧してください。」
Photo by Jun Kato, Naoko Endo
Interview by Jun Kato
Reported by Naoko Endo