本誌『TECTURE MAG』でこれまでにお伝えしているとおり、渋谷区内に公共トイレを設置する、公益財団法人日本財団によるプロジェクト「THE TOKYO TOILET」が進行中だ。
9月15日の午後には先日オープンした、安藤忠雄デザインによる神宮通公園のトイレ〈あまやどり〉について、安藤忠雄氏本人が現地で解説するメディア向け内覧会が開催された。
安藤氏は現地に到着後、日本財団の笹川順平常務理事と完成したトイレをじっくりと様子を確認。
その後、笹川常務とともにトイレを設計した背景や狙いを語った。
撮影:TECTURE MAG _jk / 動画編集:toha
※ 視聴の際には、映像中の音量またカメラのブレにご注意ください。
※ 複数のプレスが一斉に撮影し質疑応答を行ういわゆる「囲み取材」で、敷地脇に通る電車の音や周囲の音声を拾っています。
※ この動画は、TEAM TECTURE MAGが撮影した内容について速報性を重視し、掲載しております。
安藤氏は、プレスからの質問にも1つずつ丁寧に回答。
当日なされた質問は、次のとおり。
Q. 素材選定の基準は?
Q. インクルーシブな社会での建築のあり方は?
Q. 実際に見ての率直な感想は?
Q. 行列ができたら困らないか?
Q. 外壁のアルミの特徴は? 木造は考えなかった?
Q. 外国からトイレを依頼されるのでは?
Q. 日本の建築の特徴と清潔さ
Q. コロナの影響はあった?
Q. 同プロジェクトのほかのトイレの感想は?
質問に対して答え終えると、安藤氏は「最後に」とマイクを取って次のように発言。
「トイレは、建物ですから。箱ですよね。
(宝石箱と見立てれば)建物の中にいる人間が、宝石です。
宝石であるみんなが、楽しく、使っていただくのがいいだろうと。
我々は箱をつくらせていただきましたし、公園の中に1つこうしたトイレがあることで、公園というものも見直していただけるといいなと思います。
…(中略)…
建物は、大きさではないんですよね。
我々は大きい建築物も設計していますが、小さいのもやっています。
小さいなりに、大きな発信力のある建物もある。
このトイレは小さいけれど、頑張りました」
この神宮通公園のトイレ〈あまやどり〉、ほぼ隣接する〈MIYASHITA PARK〉を含め、変貌を遂げている渋谷・原宿界隈。
「清潔で安心なトイレを」という想いを込めた安藤氏のデザインの一石は、渋谷や原宿、そして東京と日本を超えて世界に広がっていくことだろう。
(jk)
〈あまやどり〉コンセプト:
小さな〝あずまや〟なりに、公衆トイレという機能だけではない、都市施設しての意味、パブリックな価値を持つものでありたい。そのもっとシンプルかつ明快な回答として、円形平面の棟から、屋根庇が大きくせりだし縁側をつくる造形を考えました。安全で安心な空間とするため、外壁は風と光を通すたて格子とし、利用者が円形をその壁に沿ってグルリと通り抜けられるようになっています。「神宮通公園」の木々の緑の中にひっそりと佇むトイレ、名付けて「あまやどり」です。(安藤忠雄)所在地:神宮前 6-22-8(神宮前6丁目交差点、都バス「宮下公園」バス停前)
THE TOKYO TOILET 公式ウェブサイト
http://tokyotoilet.jp/