万博における海外パビリオンは、各国が自国の文化・技術・未来像をパビリオンという空間として表現した存在です。その造形や構成には、国のアイデンティティや建築的な思想が色濃く反映されており、万博全体の風景をかたちづくる核の1つとなっています。
本記事では、建築的な観点から見ておくべき大阪・関西万博の海外パビリオンを、その特徴とともに紹介します。
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〈オランダパビリオン〉
設計:RAU Architects
▶︎日本との425年の貿易の歴史を象徴する全長425mの外装スラットと、中央に浮かぶ巨大な球体「人工の太陽」

© Zhu Yumen
〈アメリカパビリオン〉
設計:トレイハン・アーキテクツ
▶︎両側に延びる大型LEDスクリーンが生み出す「峡谷」のような空間に浮かぶ、吊り下げ式の大きなキューブ

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈バーレーンパビリオン〉
設計:リナ・ゴットメ
▶︎伝統的な木造帆船「ダウ船」から着想・再解釈した建築により、バーレーンの海洋文化の歴史を体現

Photo: IWAN BAAN
〈サウジアラビアパビリオン〉
設計:フォスター アンド パートナーズ
▶︎伝統的の村の有機的な形状を想起させるボリューム群が、涼しい風を呼び込むパッシブクーリング

© Nigel Young / Foster + Partners
〈フランスパビリオン〉
設計:コルデフィ、カルロ・ラッティ・アソシエイツ
▶︎地上から屋上までを巡る1本道からなる、人間と他の生命体との新たな関わり合いを暗示する「自然劇場」

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈英国パビリオン〉
設計:WOO architects
▶︎モジュールシステムにより再利用が可能なフレーム材と、光と時間によって表情を変えるファサード

© Hufton+Crow
〈カナダパビリオン〉
設計:レイサイド・ラボシエール、ギオン・ペレテイエ・アーキテクト、SO&CO.
▶︎大屋根リングからの目線を活かした、凍った川の水が溶けて流れ出す様子を模したパビリオン・舗装デザイン

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈カタールパビリオン〉
デザイン監修:隈研吾建築都市設計事務所
▶︎カタールの伝統的なダウ船と日本の木組み技法「木組」から着想を得た構造

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈UAEパビリオン〉
設計:Earth to Ether Design Collective
▶︎ナツメヤシ農業廃棄物と日本の匠の木工技術を融合した、最大高さ16mのラキス柱が90本立ち並ぶ壮麗な空間

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈マレーシアパビリオン〉
設計:隈研吾建築都市設計事務所
▶︎マレーシアを象徴する織物「ソンケット」を想起させる、合計5,177本の竹が使用された竹の外装

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈ポルトガルパビリオン〉
設計:隈研吾建築都市設計事務所
▶︎万博終了後も再利用予定の、吊り下げられた約1万本のロープが波のようにゆらめくファサード

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈フィリピンパビリオン〉
設計:Carlo Calma Consultancy Inc. / cat
▶︎ラタンパネルと手織りファブリックパネルをファサードに用いた”織る”がテーマのパビリオン

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈チェコパビリオン〉
設計:Apropos Architects
▶︎木とガラスの螺旋構造と、全長260mの通路を歩きながら上昇する空間を活かしたアートインスタレーション

© BoysPlayNice
〈アイルランドパビリオン〉
設計:アイルランド政府公共事業局(OPW)
▶︎ケルトのシンボルである3つの螺旋「トリスケル」をモチーフに自国産のダグラスファー材を用いたファサード

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈クウェートパビリオン〉
コンセプトデザイン:LAVA
▶︎クウェートのもてなしの精神を象徴する、歓迎の意が込められた開放的で美しい翼

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈スイスパビリオン〉
設計:マヌエル・ヘルツ建築事務所
▶︎屋上の「ハイジカフェ」から万博会場を見渡すことのできる、世界最軽量級の膜構造による球体建築

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈ウズベキスタンパビリオン〉
コンセプトデザイン:アトリエ ブルックナー
▶︎日本国内から調達した286本の丸太材と、積層する三角形の組子と梁が生み出す木漏れ陽のような光と影

Photo: 松村芳治
〈北欧パビリオン〉
設計:ミケーレ・デ・ルッキ&AMDL Circle
▶︎北欧の伝統的な納屋をイメージした木造構造と、廃棄米を使用したライスペーパーによる展示スクリーン

〈北欧パビリオン〉オフィシャル素材より
〈タイパビリオン〉
コンセプトデザイン:Architects 49、Rightman
▶︎巨大なミラーパネルの壁面により表現する、伝統的な曲線をもつ大屋根

Photo: 松村芳治
〈ベルギーパビリオン〉
設計:Carré 7
▶︎水の三態(液体、固体、気体)とベルギーの3地域(ブリュッセル、フランダース、ワロン)を表す3層の建築

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈イタリアパビリオン also hosting the Holy See〉
設計:マリオ・クチネッラ・アーキテクツ
▶︎分解を前提とした、集成材による乾式・モジュール工法の構造と半透明のテキスタイルファサード

Photo: Yumeng Zhu
〈ポーランドパビリオン〉
設計:インタープレイアーキテクツ、コムワイスタジヲ
▶︎来場者を内部へ引き込み、展示のための空間的ツールとしても機能する木製モジュールの螺旋壁

Ⓒ Fernando Guerra
〈コロンビアパビリオン〉
設計:MORF建築設計事務所
▶︎照明の色彩に染まるポリカーボネートの立方体で構成されたアイスキューブのファサード

Photo: Forward Stroke Inc.
〈オマーンパビリオン〉
設計:バヤン・ビント・ムスリム・ビン・セレム・アル・ラマダーニら
▶︎伝統的な灌漑水路「ファラジュ」を表現した水が流れる中央回廊のガラス天井

Photo: TEAM TECTURE MAG
〈シンガポールパビリオン〉
設計:DP Architects
▶︎リサイクル可能なアルミニウムでつくられた約1万7千枚の赤いディスクに覆われた、高さ約17mの赤い球体

Photo: TEAM TECTURE MAG
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